ラージマウス撃退(?)から一夜明けた冒険者ギルド(親魔物派)。
亭拉はクエスト掲示板から適当な依頼を探している。
気のせいか昨日よりも尋ね人捜索の依頼が増えているようだ。
大尉「同士テイラ!」
依頼探しに集中していたせいか、突然声をかけられてビクッとなった亭拉が振り返るがそこには誰も居ず辺りをキョロキョロと探す。
大尉「…下だ、同士テイラ…」
テイラ「おおうっ!」
本日二度目のビクッの後、亭拉の視界には口角を吊り上げこめかみに青筋を立てたレッド・キャップ隊長の大尉の姿があった。
…
……
………
亭拉と大尉はギルドの喫茶スペースで待っていたシルクと合流し休憩を取ることにした。
大尉「同士テイラ、先日は世話になった。」
そう言ってペコリと頭を下げる。
見た目が小さな女の子なのでその姿はとても可愛らしい(中身はとてもじゃないが『粛正!』ウボアァァァァァ!)
テイラ「同士は止せ、俺はこっち側だぞ。」
腰の辺りからコツコツという金属を叩く音がする、テーブルで見えないが『聖騎士の証』を叩いているのだろう。
大尉「いや敢えて『同士』と呼ばせて貰おう、今朝一番に『週刊 魔物娘』の記者が『レッド・キャップ』に来て取材と宣伝の交渉にやって来た」
大尉の言葉に「何の事やら」と惚けて見せる亭拉に大尉は「そう言う事にしておこう」と微笑みながら目を伏せる。
そしてシルクは二人のやり取りを見てクスリと笑う。
彼女には何故かラミア種特有の嫉妬深さが無く、亭拉と他の魔物娘が仲良く話していても間に割って入る様な事はしない。
大尉「おっと、今日はこんな話をしに来たわけでは無いのだ。」
和やかだった雰囲気から一変して真剣な表情になった大尉を見て亭拉達の顔からも笑みが消える。
大尉「我々が盗人に身をやつした理由は知っているだろう?」
ばつが悪そうに話す大尉を察して亭拉も短く「あぁ」とだけ答える。
大尉「あれにはもう一つ理由が有る、我々は本来下水道を住処にしていたのだが…」
一見冷静に話しているようだがその言葉には悔しさがにじみ出ていた。
大尉「下水道を、スライムに乗っ取られた…」
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大尉の話を要約すると以下の通りである。
とある大雨の日(カンバスに洪水をもたらす大雨の事)に大量の土砂と共にスライムが下水道に侵入した。
下水道は人間はおろか魔物娘さえ滅多に近寄らないためスライムは瞬く間に魔力欠乏に陥りラージマウスやデビルバグから見境無く魔力を奪い始める。
デビルバグは早々に逃亡、ラージマウス達は果敢にも抵抗を試みるが敗北。
何故なら侵入してきたスライムは『クイーンスライム』だったからだ。
彼女の『王国』の前ではラージマウスの数の有利は意味をなさず次々と魔力を吸われ地上に放り出された。
そして今度はラージマウス達が魔力欠乏に陥り集団で食料を盗み始めたらしい。
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テイラ「ふーん、それで?下水道に戻りたいからそのスライムを駆除して欲しいと?」
冷めきったコーヒー(自前)をすすりながら同じく冷めきったジト目で聞き返す。
シルクは『駆除』という言葉に耳の先をピクリと反応させるがまだ静観を続けている。
大尉「命までは取らないでやって欲しい、住処を追われた我々だが今となってはヤツの空腹もわからんではない。」
魔力欠乏に陥り相手構わず魔力を奪って回ったスライムと空腹に負けて盗みを働いた自分達を重ねているせいか歯切れが悪い。
大尉「しかしこのままでは地上の人々にも被害がおよぶ可能性がある、そうなっては完全に駆除の対象に…それに何よりも」
そこで一度言葉を区切り、一呼吸おいてから、
大尉「下水道は反魔物区にも繋がっている、もしそこで被害が出た場合スライムを討伐しに行くのは勿論教会側が親魔物区に攻め込む口実を与えかねない。」
どうやら事態は思った以上に深刻なようだ。
大尉「我々にはもう『レッド・キャップ』と言う居場所があるから今更下水道に戻ろうとは思っていない、しかし一度敵対したとはいえ同じ魔物娘の危機を放っては置けない。」
自分の気持ちを上手く言い表せないのか顔を押さえ悩むような仕草をみせる。
テイラ「あー、もう面倒臭いなぁ…」
そう言うと席を立ち親魔物派のクエストカウンターへ向かう。
現代の時間にして十分程度話し込み、受付嬢(ワーラビット)は後半かなり深刻そうに話を聞いた後奥に小さな布袋を取りに行き亭拉に手渡す。
テイラ「ギルドに事情を(かなり盛って)話してきた、この件は今からギルド直轄依頼になったぞ。」
(親魔物派)ギルドとしてもクイーンスライムによる被害が出ることは避けたいらしく、ギルド
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