最近、誰かに見られている気がする。
見られているというか、狙われている気がする。
例えるなら常に自分の額にスナイパーライフルとかに付いているレーザーポインターの光が当てられている様な気分がするのだ。
普通なら勘違いで済ませるところなのだが登下校中に始まり授業中やトイレまで、しまいには家にいる時ですら誰かの視線を感じる始末。
もちろん、学校終わりで友達数人と一緒に帰っている今も誰かの鋭い視線を感じている。
あれか?
これが噂のストーカーってやつなのか?
「おい、どうした?さっきからキョロキョロして。」
「あ、ああ。何か最近誰かに見られている様な気がしててよ。」
「自意識過剰乙www」
「いやマジなんだって。現に今も・・・はっ!殺気!?」
俺は反射的に身体を仰け反らせた。
瞬間、俺のいた場所めがけて何か棒状のものが飛んできて、横にあった塀に突き刺さった。
恐る恐る飛んできた何が飛んできたのかを確認する。
矢だ。
矢じりの部分がハートの形をしている金属製の。
「「「・・・・・・。」」」
さっきまで馬鹿騒ぎしていた奴らも黙り込み、沈黙だけが流れる。
「・・・え、何これ?矢?」
「矢、だな。矢が飛んできた・・・。」
「つーか、狙撃?」
顔を見合わせ、我に返った俺たちは一目散に駆け出した。
何が起きたのかも分からず、その場から逃げ出した。
その後も矢の飛来は続き、俺たちの後ろには矢が次々と突き刺さってきており、それがさらに恐怖心を煽る。
「うおぉぉぉ!?何!?何で俺たち狙われてんだよぉ!」
「知らん!でも、ひょっとしたら俺が最近感じてた視線に何か関係があるのか
も・・・!」
「はぁ!?俺たちは巻き添えかよ!?」
「敵の狙いはお前だ!生贄になって俺たちを助けろ!」
「嫌だね!俺たち友達だろ!?なら地獄の果てまで付き合えやぁ!」
「「だが断る!!」」
死にたくない!
俺はまだ死にたくねぇよ!
どうせ死ぬなら彼女を作って童貞捨ててから死にたい!
「くそ!せめて何か遮蔽物があれば・・・おっと!」
「本部!本部!こちらアルファ1!何者かに襲撃を受けている模様!至急援護を要請し・・・くぺっ!?」
「田中ぁぁぁぁぁ!?」
俺の避けた矢が落ち武者よろしく、前を走っていた田中の頭に突き刺さる。
「あ、俺死ん・・・あひぃぃぃぃぃぃぃ!!?」
撃たれた田中は気色の悪い声を上げて地面に突っ伏した。
倒れた奴の顔は恍惚の表情を浮かべており身体は小刻みに震え、何故か内股になっていた。
「「こ、これは・・・!」」
撃たれたら殺られる(社会的に)!!!
「田中はお前が避けたせいで撃たれたんだ!お前が田中を殺したんだぁぁぁ!!」
「大丈夫だ!田中は死んでない(たぶん)!死んでいたとしても死因はテクノブレイクだ!」
田中、お前の犠牲は忘れない!
大切な友の死を惜しんでいるといつの間にか俺は一人で走っていた。
「山田ぁ!どこ行った!?まさか奴も・・・!?」
振り返ると山田は一人脇道に逸れて難を逃れていた。
「こんなのもうごめんだ!俺はここらで戦線離脱させてもらうぜ!」
「裏切り者ぉぉぉぉぉぉ!!」
「はははっ!せいぜい気張って走るんだな・・・って、え?何でこんなところにワーキャットが!?しかも発情中で・・・え、ちょ、やめて!ズボンを下ろさないで!い、いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
山田・・・馬鹿な男よ。
一緒に来ていれば弾除けぐらいにはなったものを。
結果的に馬鹿二人がいなくなったことで相手は『もう部外者に流れ弾が当たる心配はない』と判断したのか、さっきにも増して矢が次々と飛んでくるようになった。
俺はそれを紙一重で躱していく。
当たってたまるかぁ!
小学校の頃ドッチボールでいつも最後までコートに残っていた俺の実力なめんなよ!
「うお!?ひゃ!?危ねぇ!」
そうは言ってもいつまでもこのままじゃいけない。
俺は細い路地に曲がって身を隠すことにした。
しかし、それがいけなかった。
「な!?行き止まり!?」
路地の先に道は無く、無機質な壁が無情にもそびえ立つだけだった。
どうする!?
よじ登るか!?
それともいっそ思い切って戻って元の道を走って・・・!
(コツンッ、コツンッ・・・。)
「っ!?」
足音が聞こえる。
それは徐々に大きくなっていき、やがて止まった。
振り返ると・・・そこには大きな弓を持った女が立っていた。
その眼光は鋭く、そして獲物を追い詰め勝利を確信した狩人のように赤く血走っていた。
「ふふふっ、やっと、追い詰めた・・・。」
あかん、殺られる。
もう無理だ。チェックメイト。万事休す。もう逃げられない。
女はゆっくりと背中
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