俺は今、バフォメットさん夫婦の部屋に居る。
何をしていたかと言うと、
昨日爺さんに襲われた時の事や、俺がこの世界で召喚された時にメンセマトで体験した事を村長夫妻やハリーさん夫妻とアオイさんに話していた。
だが、今朝になって傭兵さん達と話し合った事がきっかけで見出だせた「仮説」も皆に話しておこうと考えたのだ。
そして、その為に発した言葉がコレだ。
「結論から申しますと、
メンセマトには普通じゃない力を持ったヤツが何処かに居ます。
その力とは、俺が予測するに『命令をする事により、相手を思うがまま操れる力』です。
領主の近くに力を持った誰かが居るのか、
領主本人がそうなのかは分かりませんが、恐らくその辺りでしょう」
「え、ええと、マモル様……?」
「それは本気で言っておるのか、マモル殿」
俺の仮説聞いて、皆がポカンとした表情を浮かべてしまった。
皆は、全く俺の考えを理解出来ないといった感じなのだろう。
「今の所は仮説でしか無いですが、今此処で話しておく価値は有ると思います」
まあ、話の内容的に当然の反応だけども。
「では、順を追って説明しますね」
俺は、仮説についての説明を始める。
「間違いだらけの理由で、佐羽都街へ戦いを挑もうとしているメンセマト。
3年前の戦いに関して、佐羽都街とメンセマトが把握している情報が全く違う事。
……俺は最初、これらの『異常』が起こっている原因が、
主神教の教団による大規模な情報統制だと思っていたんです」
「教団か……。
彼等の上層部のタチが悪いのは、今も昔も変わらないね」
俺の言葉に、英次さんが応える。
この世界の宗教についてはまだ詳しくは分かっていないが、
俺の世界にもタチの悪い宗教団体は沢山居るし、
俺がこの世界で聞いた情報からも教団の上層部はロクな連中では無さそうだ。
だから、メンセマトに戦いを強要していた「主神教の教団」が権力や財力を以て、
人々に間違った情報を教えているのではないかと考えたのだ。
「……ですが。
それだけでは説明出来ないような状況が連続して起こってしまいました」
コクリ、と。
少しだけ暗い表情でアオイさんが頷く。
爺さんが死んだあの事件だって「そう」なのだ。
「まずは1つ目。
さっきも言った3年前の戦いについてです。
メンセマトの騎士であるティアさん、マーカスさん。
それと、3年前より此方の味方となったハリーさん。
どちらもその現場を見ておきながら、証言が食い違うという事は可怪しいですよね。
まあ、これはマーカスさん達が嘘をついていないという前提があっての話ですけど」
3年前の戦いを見ていたハリーさんは大きく頷いた。
『化け物だと思って敵対していた勢力が実はこれっぽっちも悪い連中じゃなかった』という光景を見たであろうメンセマト騎士団は、
その時の記憶をそうそう簡単に「勘違い」するなど出来ないだろう。
「俺はこの時点で『何かが可怪しい』と思うようになりました。
なぜなら、メンセマトの騎士さん達は基本的に『いい人達』なんです。
俺自身……メンセマトで彼等と接したからこそ言える事ですけども。
例え佐羽都街と敵対していたとしても、
魔物が人間を愛していると知りながら……彼女達を敵として恐れたり、
何の罪も無い人や魔物に対して戦争を仕掛けるような『狂信者集団』じゃあ無い筈なんです」
俺は領主と口論になった際に、魔物の事を「憎くも無い連中」と言った。
にも関わらず、魔物と敵対している筈の彼等は俺に対して酷い扱いを決してしなかった。
それどころか、この世界やメンセマトの事情について色々と説明をしてくれたのだ。
彼等が善人であるという事は、元・メンセマトの勇者であるハリーさんを良く知る佐羽都街の皆には説明するまでも無い筈だ。
「そんな『いい人達』である筈の騎士さん達が所属するメンセマトは、
色々と変な行動を繰り返した挙句、
爺さんの命を使って戦争の口実を作るような『暴挙』を犯してまで佐羽都街へ戦争を仕掛けようとしています。
騎士さん達が正常なら、今頃……メンセマトでは内乱でも起きていたでしょう。
しかし、今はそういった事は起きていないんです」
皆が俺の話に理解を示すように「うんうん」といった感じで頷いているのを確認した俺は、話を続ける。
「爺さんが佐羽都街で息を引き取って、
その事を理由にメンセマトからこの街への宣戦布告が届いた時、
俺は『メンセマトの騎士団に何らかの異常が起こっている事』と、
『大きな間違いを引き起こす理由となる、普通では無い何かがメンセマトに有る』事を確信しました。
人の命が無くなっている以上……教団の上層部が誰かを騙しただとか脅しただとかいう次元の話を既に超えています。
そして、貴方の元同僚が正常ならそういった嘘や脅しに
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