二度目の暗殺予告

俺は、ハリーさんとの会話で得た情報を村長夫妻に話す為、帰路に着いていた。
帰路に着いていた、筈だった。

「……うん? ここ何処だ!?」

しかし、俺が帰路に付いている途中で異変に気づいた時にはもう手遅れだった。

一度は通った道をもう一度通って帰るだけの筈。
変な場所へわざわざ寄り道をしたつもりは無かった。
だが、俺は気が付けば見知らぬ路地裏へとやって来てしまっていた。

「人避け、魔除けの呪術を複数の場所に掛けて正解じゃったな。
お陰で、すんなり貴殿に会う事が出来たぞ、マモル殿」

背中から聞こえた聞き覚えのある声に反応して振り返ると、
そこには俺がこの世界に召喚された時に居た、魔法使いらしき爺さんが居た。
そして、爺さんの後ろには彼の護衛であろう、武装した屈強そうな男も数人居る。

「人避け、魔除けの呪術……ねぇ。
俺は、此処に誘導されたという訳ですか」

「ふふん……その通りじゃ」

自分の魔法には相当な自信が有るようで、爺さんは得意気だ。

おそらく俺が無意識に「此処を通りたくない」と思うような術を複数の場所へ掛けて、
自分達にとって都合の良い場所へ、俺が自ら歩いて行くような仕掛けがしてあって、
俺はそれにまんまと釣られたという訳なのだろう。

俺は、魔術が「効きにくい」体質らしいが、
効かない訳では無いのだ。

そして奴は「魔除け」の呪術も施したと言っていた。
魔物による救援が来る確率は、今のところかなり低いという事だろう。

「それで、何の要件ですか?」

「儂は、お主を連れ戻しに来たんじゃよ」

「俺を、わざわざこんな所まで探しに来たんですか?」

だとしたら一体、何の為に?
俺が役立たずだって事、アンタも知っているだろう?

「お主は、儂らの国では『魔物の国へ亡命した』という事になっておる。
しかし、実際はそうでは無いのだろう?」

「確かに、そうですね」

俺がトイレへ向かったタイミングで、ちょうどアオイさんが現れた。
俺とアオイさんが最初から逃げようとしていたと受け取られても可怪しくは無い。
というか、既に「そういう事になってしまっている」のだろうか?
あの国が、自分達にとって都合の良い話を作る為に事実を隠蔽した可能性は十分に高い。

「儂はお主が攫われた晩、お主を攫ったと思われる魔物に襲われたのじゃ。
もっとも、その時は不意を付かれたが故に逃げるのが精一杯じゃったがな。
そして、あの女は儂に化けてお主に近づいたという訳じゃよ。
さらに、そのせいでメンセマトでの儂の評判は下がってしまった。
じゃから、儂はあの魔物を討伐しなければならん!!」

この爺さん、何を言いたいかと思えば。
彼の言った事を要約すると、
自分がアオイさんに負けて悔しかったから、憂さ晴らしがしたいだけ……か。
そして「憂さ晴らし」の大義名分として俺を利用するつもりだろう。

だが、奴はそんな事の為にわざわざ佐羽都街まで来たのか?
俺の予想では、おそらく違う。
アオイさんが、あの爺さんに攻撃を仕掛けたという事が何よりのヒントだ。

「領主様の命令ですか?」

「フン! 領主の命令ではこんな細かな事は出来んわい!
これは他の誰でも無い、儂の意思じゃ!!」

「……?」

『領主の命令では、細かな事が出来ない?』
爺さんの言った言葉は、この時の俺には理解出来なかった。

だがしかし。
爺さんが領主の命令では無く、
彼自身の意思でわざわざこんな事まで来た……という事が分かった時点で、
俺の頭にある、1つの仮説は確信に変わった。

「……俺、前からずーっと気になっていた事があったんですよ」

俺には、ずっとアオイさんに聞きたいと思っていた事があった。
俺が「やらかした」直後であったり、中々会えなかったりして結局は聞きそびれていたのだが。

「ん? 何がじゃ?」

「俺をこの国へ『連れてきてくれた』クノイチ……アオイさんが、
どうして、わざわざ貴方に化けたのかという事です」

「……ほう?」

俺は、俺の中で確信となった仮説を述べ始める。

「そもそも、彼女が貴方に化ける必要なんて無かったんですよ。
アオイさん曰く、本気で戦うのなら普段の戦装束が一番良いらしいし。
そうでなくても誰かに化けるのなら、体型の近い女性に化けた方が良い」

「……!」

「だのに、彼女はわざわざ貴方に化けて俺に近づいた。
ここからは証拠も無い俺の推測ですが、
アオイさんは恐らく、貴方を俺から遠ざけたかったのだと思う。
そうすれば、貴方の息が掛かった人間も俺から遠ざけられるから」

「フン……、魔物がわざわざそんな事をする意味が分からんな」

爺さんは、無表情に近い顔を崩さない。
だが彼は既に、俺が出すであろう答えに薄々気がついているのだろう。

「貴方は、俺の召喚が行われ
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