メンセマトと佐羽都街を戦争状態にさせない為に俺は行動を開始した。
2つの街の軍を戦わせない為に先程「策のような何か」を考えたが、それを実行するには佐羽都街の皆の協力が必須となる。
特に、アオイさんの協力が絶対だろう。
俺が考えの通りに事を進める為には、彼女の「影縫いの術」を退けた時に判明した『魔法が効きにくい体質』をフル活用しなければならない。
だからこそ『体質』とは一体どんなものなのかをより具体的に理解する必要がある。
その為には、アオイさんに協力して貰うしかない。
そう思い……アオイさんを説得する事を決めて、彼女の元へ行く事にした。
今……アオイさんが何処へ居るのかを知らない俺は、
先程「領主に関する仮説」を皆に説明した広間へと再び向かっていた。
あそこにはまだ皆が居るかもしれないと思ったからだ。
木造の広い館とはいえ、俺の部屋と広間はそんなに遠くは無い。
それ故に誰かと出会う事など無いと思っていたのだが。
しかし、歩いている途中で。
俺は、ハリーさんの妻である筈の白蛇さんに出くわしたのである。
しかも、彼女の夫であるハリーさんがそこには居なかった。
「また会ったわね、マモルさん」
「ええ、奇遇ですね」
一度、会話がそこで止まってしまう。
口ではそう言いながらも、なんとなく今の出会いが奇遇では無い気がしていた。
というか、白蛇さんが俺を待っていたとしか思えない。
偶然にしては確率が低すぎる。
「私は、私の旦那様の事で貴方に話があって来たのよ。
旦那様のことではあるけれど、彼に聞かせたくない話を貴方にしておきたいの」
「ハリーさんの事で、ですか……?」
成程、ハリーさんの為の話でも「彼に聞かせたくないような内容の話」では、
ハリーさんの居ない所でせざるを得ない……か。
……って事は白蛇さんがこの辺で俺を待っていたのかな?
そう考えれば、彼女が一人で此処に居るのも不自然では無いが。
だとしたら、なぜ俺に?
「ええ、そうよ。
貴方、彼が貴方の話を聞いている途中で様子が変になったのが分かったでしょ?」
「ああ……その事ですね」
俺が広間で「メンセマトの領主についての考察」を皆に話している途中、
ハリーさんは様子が変というか……俺の話を認めたく無いかのような様子を見せる時がちらほらとあったのだ。
そして最後に「済まない」と謝られた。
俺が彼に謝られるような事をしていないにも関わらず、だ。
「彼は……自分の祖国であるメンセマトが貴方の言うような異常な行動を沢山しているのは『自分がメンセマトを離れたせいだ』って思ってしまっているのよ」
「……!」
その発想は無かった……!!
だが、ハリーさんの優しい性格を今一度考えれば、
彼がそういう考えに至ってしまう事も理解出来る。
だからこそ、彼が俺の「仮説」を中々理解してくれなかった事も。
ここまでのレベルになると……最早優しいだとかいう次元を通り越した、
彼自身の変わらぬ性分のようなものなのだろう。
「だから、ね?
私の旦那様がコレ以上苦しまないように、手を組まない?」
「え……?」
唐突に「手を組まないか」という提案をしてきた白蛇さん。
「本音を言えば、さっきまでは貴方にこの事を告げるだけのつもりだったんだけどね」
そう言って、彼女は自分の考えの真意を話し始めた。
俺が先程、佐羽都街の皆が居る広間で「仮説」を話していた時に、
白蛇さんはハリーさんの異常に気が付いた。
この時の俺には分からなかったが、白蛇さんは一目で彼の異常の原因まで見抜いていたらしい。
しかし、彼女は同時に「ハリーさんの異常」に気が付いている者がもう一人居る事に気付く。
それが、俺の事である。
俺がメンセマトに関する事を話す時に白蛇さんやハリーさんに気を使いながら話していたのはバレていたらしい。
わざわざ自分達の為に気を使ってくれた事に対するせめてもの誠意として、
白蛇さんは俺に「ハリーさんの異常」についての詳細を説明する事に決めた。
だが、彼女は「今の俺」を見て気が変わったらしい。
メンセマトと佐羽都街が戦わざるを得ないと分かった時に、
それをどうにか出来ないかと本気で悩んでいた事。
そして、今の俺が「それをどうにか出来る何か」を思い付いているであろう事を見抜いたらしいのだ。
今……彼女が俺に協力して「メンセマトと佐羽都街の戦い」が成立しなくなれば、
愛する夫がその為に苦しまずに済む。
だからこそ白蛇さんは「手を組まないか」という提案をして来たのだ。
「――という訳よ」
白蛇さんは、自分の真意を話してくれた。
俺が「策のようなもの」を思いついているのは本当であるが、
それを他人に喋った事は無かった。
白蛇さん曰く、魔物娘は人を見るだけでその
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