「・・・・(ガタガタガタ」
「・・・・(ガタガタガタ」
互いに背あわせになって及び腰。
しかも手に持つそれぞれの大剣と太刀の切っ先を見るに空に止まらずにプルプルと震えているあたりよほどの恐怖なのであろう。
一体その状態になってどれだけ経ったか、彼ら2人の足元には影が小さく点のようになって今が中天近辺ということは分かる。
しかしここには彼ら以外の影が一切無い。
遠くに見えるは陽炎に揺らぐ草原が見え、そこからは岩山も見える。
異なる方向を向けば遠くに煙を勢い良く噴出す火山も視界の端にとらえることが出来、また違う方を向けばどんよりとした黒き雲の下に白銀の世界が広がっていた。
では近くは何が見えると問えば・・・・
砂、砂、砂、砂。
彼らがいるのは砂漠地帯のど真ん中。
『とある竜の討伐依頼』の為にはるばる森林地帯を通り洞窟を抜け、草原を越え岩山を横切って来た二人は流した汗がすぐに蒸発するこの砂漠にてゆうに30分はこのままでいいた。
なぜならそれはずっと【砂の中】にいてずっとこちらの様子を窺っているからに他ならない。
依頼者曰く、
『そいつが来てからどんな生物も寄り付かなくなっちまったんだ。おかげで俺らはそこを迂回するしかなくなったが如何せん遠回りになっちまって・・・頼む! コイツをなんとかしてくれっ! この黒い竜をぉ!』
・・・と。
「・・・な、なぁ・・・もうそろそろクーラードリンク・・・飲んだほうが良くないか?」
「・・え、えぇ・・・そうね・・・そうしましょう・・・」
流石に長時間砂漠の真ん中にいても大丈夫なようにドリンクは欠かさなかったがもうすぐ効能が切れてしまうということで男は太刀を構える女に提案をする。
女のほうもこれは死活問題になるということで注意を周囲に向けつつ一度武器をしまってお互い背中合わせのままドリンクを飲m
ざばぁぁーーっ!!
「うあぁぁ!?」
「きゃぁぁ!?」
としたところで強襲を受けた。なんと下から。正真正銘足元を突き破るようにして現れたその巨大な黒角竜によって。
行き成りの強襲に対応が間に合わず、ハンターのペアはほぼ隣同士になる形で数m先に投げ出されて突っ伏してしまうのだがすぐに顔を上げて上体を戻して抜刀しながら後ろを向く。
だが!
「・・・っへぇ!?」
「っぇ!?」
黒角竜が尻尾をフルスイングしておりすでにもうハンター達のすぐ隣にまで来ていた。
・・・南無三。
ドゴッ!
「っぎゃぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・ァァァ・・・」
「っきゃぁぁ・・・・・・・・・・・・ィィァァァァ・・・」
残響を残して飛んでいくハンター達の放物線の落下予定地にはくしくも湖が出来ておりすぐそばには滝があった。
ハンター達は着水した後暫くその衝撃で動けないところに滝に巻き込まれて落下という不運な事故に見舞われてとてもクエストが出来る状況ではなかたのは言うまでもない。
ではハンターを飛ばした張本人はというと?
「ぐぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」
(あたいのシマに勝手にはいってくんじゃねぇぇ!!!)
荒ぶっていた。
彼女、ディアブロス亜種はちょうどここを縄張りとし、黒角竜の名に恥じない黒くて太く大きく捻じ曲がった角を使い砂漠に住まう「あらゆる生き物」をすべて追い出していた。
まさに砂漠に降り立った暴姫だ。
(・・・む? 誰かまた着やがったな・・・・このヤローがっ!!)
どうやら彼女は砂の振動を敏感にキャッチしてその方向へ向き直り走り出したその時。
足元がフラッシュのように光り、彼女の影をなくしたかと思うと次の瞬間には・・・
彼女の走りかけた足跡だけがその場に残っていたがやがて吹いてきた熱風にその痕跡すら消されてしまいその場には何も残らなかった。
ついでに彼女が去った跡に何か小さな杖と動物のキバで作ったピッケルのようなものも落ちていたが、その持ち主はここにはいないようだ。
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「ふぃ〜・・・いやぁ、パイア達が来てからというもの仕事が楽になって助かるのじゃ。」
「そうですか? 今まで大変だったんですね、トルネオさん。」
サバト支部の執務室にて書類処理をモフい手に羽ペンを持って書類にサインをしていく作業をするバフォメットのトルネオ。
その机には明らかに天井まで届きそうなほどの書類の山があり、そのすぐ傍に臨時にという感じで置かれた机の上で同じように羽ペンを持っているゴツゴツの桜色の鱗をスラスラと動かしてトルネオの書類処理を手伝う元リオレイア亜種のパイアが書類に視線を固定しながら話をする。
「全くじゃ、アヌビスであるラガは憲法、立法の担当。ワシは軍事担当。政治担当のエ
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