「ハァハァハァ・・・・っぐぅっ!・・・ゼェハァゼェハァ・・・」
ヒカリゴケのおかげで少し明るい洞窟内。そこから少し遠くを望めば密林特有の木々が少し見えるその場所で男ハンターは必死になって何かから逃げていた。
髪の毛をアフロにして所々焦げ付いている肌を随分と涼しい格好になった防具から晒しているがそんな恥も外聞も構わず只管洞窟から見える密林に向かって全力で走り抜ける。
そんな男の後ろから洞窟内に不釣りあいなほど重々しい低い足音が徐々に迫っていたのだがやはり男ハンターはそんなことをいちいち気になどしておれず、スタミナがもうすぐ切れようかというその刹那。
「っ!! ひぃぃ!!・・・ま、まだ・・・死にたくねぇぇってうをっ!?・・・・・・・・・・・・・・くっ!!」
独特の方向が洞窟内ということもあって反響し、嫌がおうにも耳にへばりつく様に聞こえて男ハンターはその恐怖に耐え切れずに洞窟の外にあったキャンプベースの見える崖から身を縮込ませてダイビングを決行。勿論唯でさえ薄かった防具のせいで体中に打撲の跡がコレでもかとついたのは言うまでも無い。
ベースキャンプに満身創痍でついた男はベッドに寝込むなり震えた声でこう呟く。
『こぇぇ・・・フル・・フ・・・ル』
対してこちらは例の竜、フルフル。
侵入者に対して少々警戒してその場に留まっていたが、暫く経ってもやってこないハンターに警戒を解いてその重々しい図体をのそりと反転させて洞窟奥にあるであろう自身の住処に向けて歩き始める。その洞窟に低くよく響く足音には一歩一歩に怒りが篭っているようで必要以上に足を力強く踏み出しているせいで洞窟全体が地震にでもあっているかのような振動に包まれていた。
(もぅ・・・ゆっくりと寝られないじゃないっ・・・・そもそもナルガちゃんが森にいて中々来れないはずなのに・・・どうしてココ最近頻繁にやってくるのかしら?)
目が無いためその表情を伺うことはできないが、ふと漏らした鳴き声には苦悶の感情が含まれていたのは確かだ。
(はぁ、とりあえずねようかしr・・・)
そんな彼女が自身の巣についたとき音も無く地面が光って『また』円を書き始めたが如何せん目が見えない彼女はそれに気付かずにどんどん歩みを進める。
すると線だったものが複雑な文様の魔方陣に瞬く間に変わりちょうどその上に彼女が足を置いた瞬間に一際強く眩しい位の光を発して・・・・消えた。
彼女もろとも。
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「ふぅ・・・1ヶ月前は酷い目に会った上にトルネオ様に怒られたけど・・・」
ここはとある親魔領のサバトの地下室、ではなくてどこかの洞窟。
やはりココで前回と同じように魔方陣を書いてブツブツ独り言を呟く魔女アスコットがおり、その目は死んだ魚のように濁りきっている。
「フフ・・・今度こそ・・・今度こそっっ!!」
そしてまた最後の円を繋いだ瞬間、再び強い発光が発生しアスコットは期待に胸膨らませ・・・否、期待を胸に秘めて光が落ち着くのを待っていた。
が、アスコットはまたやらかしたのであった。
「フフッ・・・オニイチャン・・・オニイ・・ぃ・・・ぃぁ!? ま、またドラゴンっ!?!?」
光が収まっていくにつれて目以外向日葵のようににこやかだった顔がみるみるくすんでいき、キョヌーを自慢されて超えられない壁を垣間見た瞬間のような絶望に染め上げられた。
「な、なにこの(ピーーッ)コみたいなドラゴンっ!?」
と大声を出すのも当たり前。フルフルの彼女は場所が悪かったらしくちょうど首半分まで魔方陣の近くにあった岩の中に埋まってしまっていた。
勿論竜であって呼吸していることには変わらない。呼吸が出来なかったらどうするか自明の理というもの。
『〜ぅぅ〜っ!! 〜ぅぅ〜〜ぅぅぅ〜っっっ!!!!!』
フルフルは埋まった首を出そうと必死に翼や尻尾をところ構わず振り回し脱出を試みると洞窟が激しく振動を始めたのだった。
その頃街ではちょうどトルネオとアリアの二人が街を散歩していた。
「どうじゃ? 一月も経てばこの世界も慣れてきたじゃろ?」
「はい、トルネオのおかげでね♪(グラグラグラッ!!)・・・っ!?」
天高く持ち上げられた両手の荷物を軽々と持ちトルネオとの談笑していたアリアだったが不意に地震とは違う揺れを感じその和やかだった談笑は中断させられてしまう。
「な、なんじゃっ!? 地震かのぅ?!」
「地震で・・・ん? ・・・クンクン・・・・あれ? コッチから『懐かしい匂い』がする??」
「なにっ? ・・・アリア、それは何処からじゃ!?」
その揺れの中、風に乗ってフワリと香った懐かしい匂いに首を傾げるアリア。
その事を聞いたトルネオは背中に嫌な汗を流しつつアリア先導のもと、匂いの発
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