昔々あるところに3人の男女がいました。
3人はまだ成人していない青年達。
「ねぇ、ネロスぅ・・・や、やっぱり、やめようよぉ・・・」
「えぇ〜またぁ? リアーナぁそれはないよっ・・・ねぇ、マリーリア?」
「そうだよっ! アタシとネロスだけじゃ回復ができないからね、しっかりね? リアーナ。」
「あぅぅ・・・」
後ろから身を屈めるように体をビクビクさせながら二人についていくリアーナと呼ばれた少女の手には身長以上に大きな古めかしい杖を持っていた。
どうやら『治癒魔法専門(ヒーラー)』らしい・・・。
その3歩前を行く男女、ネロスとマリーリア。
ネロスという青年は、重厚な鎧・・・とはいえない軽装の格好であるものの一介の兵士の装備以上に武装していた。腰にはロングソードとスピアを剣を佩いていた。
どうやら『戦士(ファイター)』らしい・・・。
その隣を半歩引いて歩くはマリーリアというネロスとリアーナと同い年で幼馴染、そして町で一番攻撃系魔法の習得が早かった。そして剣の腕前はネロスについで町で二番目に強い。そんな彼女の腰にはネロスのモノに比べたら細いが何かしらの紋章がビッシリと剣と鞘に打ち込まれた実戦に向くとは思えない剣を佩いていた。
「なぁ、マリーリア? やっぱその剣・・・実戦不向きじゃない?」
「ん? ・・・あぁ、この剣は魔法剣よ。斬るのが本職じゃなくて魔法媒体がメインよ。・・・まぁ斬ることもできるけどね。」
怪しく光るその魔法剣を撫でながら当然のようにネロスから投げかけられた質問に笑って返すマリーリア。
どうやら『魔法剣士(マジックソーディアン)』らしい・・・。
「・・・うぅぅ、やっぱり止めようよぉ!」
「もぅ、『私も行くっ』ていったのは誰だよ・・・」
「そ、そうだけどさ・・・」
「『山中の洞窟の探検兼魔物退治』がギルドに貼ってあったから近場だったし、ギルド初任務としてはおもしろいじゃない!?」
「うぅ・・・なにか・・」
ーーー 嫌な予感がするの・・・・ ーーー
ノリノリの2人に対して気乗りのしないリアーナ。
はたしてその予感は『誰に対して』の悪い予感だったのだろうか?
暫く件の山の中を歩く3人。
「なんか、雑魚過ぎて余り楽しくないんだけど・・・」
「う〜ん、こんなものじゃないの?」
「う゛ぅっ」
道中に次々と出てくる野獣の群れを全て切り伏せ、戦士系の2人は剣から滴る血を払いながら3人は進む。
あまり屠殺する場面に慣れていなかったリアーナは顔色が青く、口を押さえて眉尻が下がっていた顔を下に向けながら2人について行った。
「ぁぁ・・・大丈夫か? リアーナ?」
「少し休む?」
「(フルフル・・・)」
その様子を心配して前を進む二人はリアーナに心配そうに声をかけるがリアーナは2人に心配をかけまいと意地になり首を横に振って否定の意を示す。
2人は困った顔をするも視線で「先に行こう?」訴えてくるリアーナに根負けして先に進むことになった。
(ぅぅ・・・絶対ネロスの前では・・・ぅ・・・)
そして数分も歩かぬうちに少しだけ開けた場所に出た。
そこには如何にもな感じで入り口の大きい洞窟があった。
どうやら相当の年月、人どころか動物も入っていないらしくその入り口の日の当たる所には腰ぐらいまである草がコレでもかというほどにビッシリと生えてていた。
しかしその先はまさしくお先が真っ暗。
日の光が全く入っていないまさしく暗黒だった。
ゾクッ
「っ! ・・・ね、ねぇネロス。マリーリア。・・・な、何か嫌な気配がするんだけd」
「よぅし! ここがその洞窟か。じゃあ早く行って食堂で飯でも食おうぜ。」
「賛成。あたしあそこの食堂のシチューがいいわ♪」
1人気配に過剰なまでに敏感なリアーナの弱弱しい勧告は距離のあった2人には届かなかった。
今までの野獣狩りで天狗になっていた2人は何の躊躇もなく洞窟に入っていった。
「ぁ・・・ま、まってよぉー!」
そして取り残されたリアーナは急ぎ2人の後を追っていったのだった。
その身に起こることを知らずに・・・
マリーリアが剣を近くにあった程よい長さの枯れ木に添え、呪文を唱えて火をつけて即席の松明にし3人はどんどん奥へと進んでいく。
罠はない、魔物もいない、動物も植物もいない唯の岩肌が露出したすこし広い洞窟をどんどん進む。
やがて3人は目の前から少し湿った空気が肌を撫でるのを感じ取った。
そして良く目を凝らせば遠くに自分達の起こした松明の赤々とした炎とは違うやわらかな日の光がある空間が見えた。
「多分あそこに居るのね。」
「あぁ、居るだろうな。」
「ぁぅぁぅ・・・・。」
目じりが上がる2人に対してリアーナは眉尻が下がった。
なぜなら1歩ずつその
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想