「アリー、勤務時間終わったらどうする?」
「ふぇ?・・・・うぅ〜ん・・・とりあえず読書・・・かな?」
ココは天界。主神の管理の管轄外で別の女神が管轄する天使達の居住区。
その中で下位の天使達の住まう居住区の一角にてふよふよ〜、と飛びながら会話する二人の天使がいた。
「ふ〜ん・・・アリーってさ、読書ばっかりだよね? 少しは体動かしたら?」
「もぅ〜ナズリーと一緒にしないでよ。第一貴女、力天使志望でしょ?・・・私は知天使志望なのっ!」
金色の髪の毛を短く襟上で綺麗に切りそろえたストレートにした力天使志願の下位天使【ナズレイン】。
彼女と対照的に緩いウェーブのかかった金髪を腹のくびれの裏まで伸ばして、その髪と顔に良く似合う気品のある赤いフレームでレンズの小さい眼鏡をかけた知天使志望の下位天使【アリサエル】。
この二人が世間話に華を咲かせて大きなメインストリートのようなところを飛んでいる。
・・・やはり天界だけあって回りに魔物はいないが、主神の管轄であれば道の所々に貼ってあるべき『反魔運動推進ポスター』が貼られていないあたりここの管轄の女神は魔物に寛容な用だ。
「ははっ! ゴメンゴメンっ! 冗談だから。」
「もぅっ!」
ナズリーは片手でお腹を押さえて笑い声を上げ空いたもう片方の手でアリーに向けて手をプラプラさせると、頬を膨らませて腰に手をやり如何にも怒っていますよっ、という態度のアリー。
アリーのその仕草・・・普通にかわいいのでたちが悪い・・・
そして幾許の距離を飛んだ二人はやがて見上げるほどに大きな白い建物の前までやってきた。
その建物の前では門番である中位の力天使であろう彼女達が槍を地面に突き立てて建物に出入りするほかの天使たちを眼光鋭く監視していた。
「・・・ぅぅ・・・やっぱり慣れないわね・・・アレ。」
「あはははっ! 心配しすぎだってアリー。別段悪いことする訳でもした訳でもないでしょう? ほらっ! 問題ないっ!」
そういってニコッと微笑むナズリーはポンポンっ、と少し腰が引けているアリーを励ました。
「そ、それもそうだよね・・・・うんっ!」
「そうそう、その調子♪」
小さく胸の前でガッツポーズをするアリーの行動をみてクスクスと声を殺して笑うナズリーは肩に置いた手をどかすと今度はさっきよりも明るい笑顔でニカッと笑いながらアリーを建物の中に進ませるのだった・・・
門兵達へ挨拶もソコソコに中に入る為に扉を開けると・・・・
「はいっ、こちらが証明書です。紛失等した場合は速やかにここ、【職種管理所】まで届け出をだしてくださいね?」
「すいませ〜ん!! 知天使管轄所までの案内状をください!」
「こらソコっ! 嬉しいからといって飛び回るな!! 他のモノに迷惑だし通行の邪魔だっ!」
天井から吊るされた案内板・・・
白で統一された清潔感ある室内・・・
活気ある人々、いや天使たち・・・
何か嬉しいことがあったのかはしゃいでいる天使を注意する天使複数人・・・
そう、ここは天使たちの職場を決める為の管理施設【デモニス・スターツァシィ(仕分け場)】である。
ここで初めて下位天使はそれぞれの属性を決められ、それぞれの知・力・愛の上位目指して己を高めていく。
ある程度は希望通りになるのだが時折需要が多すぎて他の部署になることがあるらしい。
らしい、というのはそんなにその事象が起きないからである。
さて、話を戻して・・・
「はぁ、お互い希望通りになっているといいんだけどね・・・」
「あぅ・・・・うん。」
さっきの門外の威勢はどこへやら。
二人ともコレカラのことに不安だらけなのだろう、翼が先ほどから垂れているようにみえる・・・
ふと並んでいた列が動き出した。
そしてあれよあれよ、という間に二人が目の前にカウンターに向き合う。
カウンター越しに見えるはアリーと似たように黒縁眼鏡をかけて微笑んでいる天使だったが、よく見れば羽織っているシスター服が全て真っ白になっていて胸に中位知天使の象徴であるエンブレム・バッヂがついていた。
「はい、次の方どうぞ?」
「は、はぃ。ナ、ナズレインです。力天使希望です。」
「ナズレインさん、ですね?・・・少々おまちを・・・」
ナズリーは緊張のあまりギクシャクしながら己の素性を言うと知天使は自身の直ぐ後ろに並べられた何万冊というファイルの中から迷わずにナズリーとルビが振られたファイルを取り出してカウンターまで戻ってきた。
「お待たせしました。・・・ではこちらが辞令です。」
最初と変わらぬ柔らかな微笑のままファイルの中にある一枚の紙を取り出してソレをカウンターの上においた。
そこには【辞令】とかかれており直ぐ下にたった一文だけ『力』と書かれていた。
「・・・あら。ふふ、おめでとうございます。ご希
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