『ハナサナイ・・・・』



・・・青年は目が覚めた。

青年は目をゆっくり開けて周りを見る・・・

全裸になっている青年の周りは・・・
蒼一色・・・

独特の浮遊感の中・・・

「はむっ・・・んちゅっ・・・・チュパ・・・チュルルル・・・・・レロ・・・・チュルル・・・」

・・・彼女が
・・・この空間の主達が
・・・青年の指を
・・・丁寧に

指を掃除している・・・

「はむぅ・・・・っぷはぁ・・・お目覚めですか? ヤサカ様?」
「う・・・ん・・・食事の後・・寝てしまったか・・・」
「えぇ、・・・ですから今私たちで掃除していますわ。」
片方の腕からもう片方の腕に視線を移す・・・

「っチュルルル・・・・パァ・・・・ヤサカぁ・・・・」
「レロレロレロ・・・・はぁぁ・・・ヤサカさぁん・・・」
「チュパチュパ・・・うふっ・・・クワマサ兄さぁん・・・」

同年代風・・・
年下風・・・
ロリ風・・・

・・・様々な彼女達がヤサカの指をしゃぶり、舐め、銜えている
・・・手どころか足の指まで。

「・・・気持ちよく・・・ありませんか?」
王冠をつけた彼女・・・最初の彼女がヤサカにシュンとした顔で申し訳なさそうに聞いてくる・・・

「・・・ううん・・・気持ちいいよ?」
「そう・・・ですか・・・ふふ♪」
「・・・ねぇナサリ・・・」
良い返事が聞けてご満悦の彼女・・・ナサリは上機嫌だったが・・・

対してヤサカは凄く沈んだ顔をしている・・・

まるで・・・







いつ開放されるかわからない今の生活に怯えているようで・・・・







「いつになったら・・・・オレは自分の家に・・・帰れるんだい・・・」
「何を言っているんですか・・・・ココがアナタとワタシの住処デスヨ?」
・・・事実、彼はもう半年以上自分の家に帰れなかった・・・

そもそもこうなったのは何が原因だったのか?

「・・・あぁ・・・これで何度目でしょうか?・・・ワタシが騎士の方々に殺されそうになったところをヤサカ様が助けていただいて・・・」
・・・ナサリは恍惚とした表情でこの何度目かわからないやり取りをする。やり取りをするたびに彼女は自分が如何にヤサカに愛情を向けているかを語りだす・・・

延々と・・・

「・・・その姿に、その声に、その優しさに・・・ワタシは骨抜きになりましたわ。あっ、骨がないですが例えですよ? ふふっ♪」
・・・彼女なりの小粋を利かせた冗談だったがヤサカは死んだ魚の様な目でどこかを見ていた。
それもそうだろう・・・・今まで何十回と聞いてきた話なのだから。

それを延々と・・・

ナサリの本体が話をしている間もナサリの分身たちは手、足、首・・・どんどん舐めて綺麗にしていく。
ピチャピチャと響くような水音は本来、素敵な時間を過ごす水音だ。
だがヤサカにとっては・・・

苦痛以外の何者でもなかった・・・

いつまでも終わらない愛撫、いつまでも出れない檻。

・・・ヤサカのこころは折れかけていた。

「・・・ナサリ、お願いだから・・・家族にあわせてくれ・・・」
「また・・・ご家族に・・・ですか?」
希望の灯らない瞳で涙を流して家族にあわせてくれと・・・

何度目かわからないお願いをする・・・

「・・・ふふ♪ 仕方ないですね・・・」
「っ?!・・・そ、それじゃあ・・・っ?」
・・・一瞬光が戻ってきた目だった。



だが・・・



「嫌です。・・・アナタをココからダシタクナイデス。ですので・・・」
微笑んで否定の意の言葉を出した彼女は徐に右手を上げて・・・

振り下ろす・・・

「・・・?」
否定されてまた影がちらつくヤサカの瞳はナサリの行動がわからなかった。

「ふふふ・・・・家族の方にアイタイノデショウ?」
ナサリの顔は・・・とても酷く歪んだ笑顔だった・・・

「っ!? それは・・・どういうk」
その笑顔を見た途端・・・ヤサカにかつて無いほどの寒気が襲う。

「・・・ほら、かえって着ましたわ・・・フフフフ・・・・」
言いかけたところでどこかから声が聞こえる・・・
とても懐かしい声が・・・

だが・・・

その声質は・・・恐怖。
さらにその懐かしい声に混じって・・・女性のあえぎ声が聞こえる・・・

「あら? ワタシの所へ連れて来るように命令したのに・・・待ち伏せしていたみたいね・・・」
彼女は残念そうな顔をしていた・・・

「・・・・そん・・・な・・・・」
母が・・・・サキュバスになり・・・・父を犯している・・・

姉が・・・ワーウルフに噛まれ・・・兄を・・・集団で犯している輪の中に・・・

妹が・・・ラージマウスになって・・・叔父さんを犯している・・・

弟が・・・アルプになって・・・妹に混ざって・・・


「一体・・・何を・・・した?」
ブルブルと震える声でその光景から錆び
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