長海らは帰路の途中で兵装を剥ぎ取った兵士へ綺麗に装備を付け直して廊下の壁に寝かせた。
そして急ぎ焔の元へ向かうのであった・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
そして現在葛篭の部屋にて・・・
いつものように『人除けの術』と『絶音の術』を施して傾国勢が全員集合していた・・・
「よし、上出来。」
「っぁ・・・はぁ♪・・・・・ンクゥゥ・・・」
「・・・焔大丈夫なのか? この【壊れかけ】の状態で・・・」
無事救出した女を寝具に寝かし、その周りを奈々以外で囲っていた。
・・・奈々は部屋の片隅で鼻を掃除していた・・・がようやく復帰して輪に加わった。
「よし、やってみるか・・・」
・・・おもむろに焔は『転写』をといて本来の姿になる。
余談だが・・・服はすでに着替えていたので寸足らずにならずに済んでいた。
「ほぅ・・・尻尾が【八本】か・・・」
「うわぁ・・・綺麗です・・・」
奈々と春は初めてみる本来の焔の姿に感嘆の意をしめしていた。が・・・
「・・・この計画で尻尾が増えるのは仕方ないが・・・なにか複雑な気がするな・・・」
眉を顰めて一人愚痴る長海であった・・・
そんな周りの声など聞こえぬと言わんばかりに集中して行く焔・・・
段々と空気が張り詰めていき・・・
「あわ・・あわわ・・・ぁ・・・」
・・・あまりの氣の圧迫感により春が気絶してしまった・・・・
なおも膨れ上がる膨大な氣・・・
やがて・・・
「・・・・ふぅ・・・葛篭、筆を貸して。」
「・・・はい、どうぞ。」
一息ついた焔は山吹色の光を全身に纏っていた・・・・
そして間を空けずに葛篭から筆を渡されると・・・
「・・・壱の項、弐の香、参の功・・・」
「あひゃん♪ くひぃ♪ おんふ♪」
・・・なにやら女の体へ【何かを書き込んで行く】焔。
書き込まれたところからは焔と同じ山吹色の・・・【文字や線や記号】が書かれていた。
・・・それがよほどくすぐったいのか・・・暴れだす女。
「・・・長海、奈々。・・・押さえ込んで。」
無表情のまま二人に対して声をかける焔だったがすでに名を呼ばれた時点で行動に移して・・・
奈々が両足を、長海が両腕を押さえ込んでいた。
「・・・上出来。・・・・肆の講、伍の候・・・・・」
と、再び筆を走らせる焔。
そして・・・
「・・・玖の慌、十の幸・・・・・・・喝っ!!」
筆を止めて・・・氣を篭めた右手の手のひらで女の丹田を・・・強く打つっ!!
肌と肌を打ち付ける音とともに先ほどまで書かれていた呪印が強く光る。
「ぁぁ♪・・・あぁうっ?! ・・・あ゛っ・・・あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
するとさっきまで嬌声しか上げていなかった女が急に苦しみだし・・・全身の毛という毛を逆立てて一際強く反り・・・叫び声を上げていたがしばらくすると・・・
「あ゛ぁ・・・・・・ぁ・・・・・スゥー・・・スゥー・・・」
・・・静かにまぶたが閉じていき、脱力し、寝息を立て始めた・・・
「・・・はい、終わり。」
・・・いつしか焔はいつもの様子に戻っていた。
「・・・それで・・・心は?」
長海が・・・全員が気になっていることを代表して焔に問いかけるが・・・
「・・・わからない。」
えっ、と皆が目が点になるも・・・
「【コレ】はあくまでも自我を取り戻す切欠をつくるだけだもの・・・あとは・・・」
焔は目線を下へもって行き・・・
安らかに微笑んで寝ている女・・・『黒狗理人』にあわせると・・・
「・・・この娘しだいだよ。」
と・・・
・・・・・しばしの沈黙の後・・・・・・
「・・・最悪、私の策の第二案を使って・・・」
・・・皆に対して苦笑して代案の説明を始めようとした・・・
その時・・・奇跡はおこった・・・
「・・・っぅん・・・・う〜ん・・・・・アレ?・・・ここは・・・?」
なんと先ほどまで寝ていた筈の女が起きたのだ!
コレだけ早い復帰は焔も想定外だったようで・・・
全員の顔が驚き一色に染まっていた。
そして女はムクリと上体を起こして、掛け布で前を隠して周りを見回した。
「・・・ここは後宮の一部よ。自分のこと・・・思い出したかしら?」
焔はこの起き上がった女に質問をしてみた。
「あ、はい。・・・えっと・・・みなさんは・・・どちら様でしょうか?」
・・・意識もはっきりしているようだ。
呂律もしっかりしている。
「・・・あたしは奈々。一応姫だよ。」
「私は春。私も姫だよ。・・・庶民出だけどね・・・」
いつの間にか復活していた春と奈々が自己紹介をした。
・・・同じ魔物としてか、暗い過去を持つもの同士かはわからないがなにか共感するものがあったのだろう・・・
「はじめまして。私は葛篭です。理由があって今は【葛
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