ーー【傾国】第八章 反撃の狼煙ーー


翌朝、長海の部屋にて・・・

鳥が囀り、朝日が部屋に差込み・・・

「・・きろ・・・ぃ・・・」
「・・・んん・・・・・」
長海はまどろみの中で誰かに囁かれている・・・
と、同時に肩も揺らされていた・・・

「・・・これは・・・イイという合図・・・だな・・・ふ、ふふ、ふふふふ・・・」
・・・なにやら不吉な言葉が聞こえたが・・・・
途端に布団が剥がされ・・・何かに腹上に【のられた】感覚がきた。

「・・・では・・・いただきm」
「おはよう長海・・・って何してるのっ!? 奈々っ」
・・・が、すぐ後にやってきた声から察するに春がやってきて・・・

「なに、といわれれば・・・まぐw」
「何考えているのよっ! 長海おきてぇ! 葛篭姫様がおよびだよぉぉっ」
・・・そして春の声がやけに近くなって
・・・いつの間にかすぐ隣から聞こえるんだが
・・・なにか踏ん張っている感じで。

と、ここでやっと目が覚めた長海は上体をおこして現状を見・・・ようとしたが、未だに腹上に【誰か】乗っていて動けないので首だけ起こして・・・

・・・目の前には両手で持ってすべて包めるかどうかという質量を持った双丘が桜色の頂上を下に向けてこちらに主張をしていた。

(・・・眼福・・・・じゃない・・・)

「・・・何をしているんだ? 奈々?」
「なにって・・・揺すっても起きなかったから・・・実力行使?」
「だからっ、まずっ、そこをっ、おりなさぃぃぃ!」
・・・長海の右肩に左腕を伸ばして押さえつけ、右手で長海の下の寝巻きを擦り下ろそうとしている奈々とそれを無理にやめさせようと奈々の右手を力いっぱい・・・なのだろう・・・引っ張って顔を赤くしている春がいた。

「・・・とりあえず奈々。まずどいて。」
「・・・はぁい・・・」
未練がましく尻尾と耳を垂れ下げて・・・腹上から退いた。
・・・そのとき自慢の胸が揺れていたのは言うまでもない。

「さて・・・着替えるから先に行っててくれないか? 二人とも。」
「待っている。」
「っ、あ、あたしも待つ。」
・・・?春が何か妙に焦っているが・・・

暫くして長海が着替えを済ませて三人揃っていつもと同じように屋根裏から後宮へ侵入するのであった・・・

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

・・・場面は変わって葛篭の部屋。

そこではいつもと同じように『人除けの術』と『絶音の術』を施していつもと同じ会合を行う・・・はずだった。

「・・・あなたが・・・奈々姫ね・・・」
「・・・お初にお目にかかる・・・葛篭姫・・・【の影武者様】・・・」
・・・いきなり二人とも目と目を向け合い視線を逸らさず互いの目を不機嫌そうに見合っている・・・・
顔同士がくっ付くまであと半歩・・・・のところで・・・

はっきりいって・・・

この部屋の空気が重い・・・
どれくらい重いか・・・

「・・・・・ぁ・・・・・ぁぅ・・・・ぅぅ・・・・」
・・・呻きながら春が床に横たわって気絶してしまうくらい・・・・

「・・・あなたが暴れてくれたおかげで私の計画が大幅に狂ってしまったんだけど?」
と、眉間に皺をよせて額に青筋を立ててにらみつける焔。・・・最初からばれているみたいだから素がもとから出た状態であるが変身は解かない・・・

「はんっ・・・貴女の計画なんて知ったことか・・・・大体、人を駒のように考えていないか?それがすごく不愉快なんだが? に・せ・も・の・さ・ま・・・・・」
確かに今までは焔の計画なんて知りもしない上に敵方だった奈々は【何故か】焔に突っかかるように返答する。

・・・本音は・・・・

(なにこいつっ、長海の匂いがついてる・・・・なに? 寝取る気なのっ!?)
(長海からしていた匂いはコイツかっ!! ・・・・ふん、長海は貴様だけのオトコじゃないんだぞ。あたしにも長海から愛されてもイイ権利があるっ!)
・・・・長海絡みで揉めている様だった・・・

と、ここで意外な人物から声が出た。

「・・・・お二人ともいい加減にしてください。でないと・・・私も怒りますよ?」
・・・普段の葛葉を知っている人物なら果たして彼女がこのような台詞をいうと誰が思うだろうか・・・
その発言には・・・・葛葉から無意識に覇気がともに出ていた・・・

「っ、ご、ごめん【葛篭】っ! 」
「なっ、この人が・・・葛篭姫か・・・・っ! 」
その覇気に吃驚した焔は慌てて謝罪をした。・・・葛篭の本名で。
それを聞いて葛葉の正体が判り・・・しかも少なからず覇気を纏っている事に驚きを隠せない奈々。

「・・・奈々姫。」
葛葉から名を呼ばれ驚きで体が少し跳ねた奈々・・・だが次の瞬間・・・・


奈々はふわりと両手を葛葉に包まれた。


「妹様の件・・・肉親を失う悲しみ・・・想像しただけでもこころが痛いです。でも
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