そして二日目の夜になり・・・
また一日目と同じように帝王の部屋へ向かう焔がいた・・・
そしてその焔を部屋から見送る葛葉。・・・焔の姿が見えなくなると急に暗い顔になった。
そして溜息を一つついてゆっくりと振り返り、自分達の部屋へ足を引き摺るようにして戻った・・・
今回は焔でなく、焔を待っている葛葉を見てみよう・・・
部屋に戻り一番近くにある綺麗に整えた長椅子に葛葉は静かに座り・・・横になった・・・
「・・・まだ・・・まだ始まったばかり・・・」
その表情は・・・不安だった。
「・・・長海。いますか?」
居るはずの無い人の名を呼ぶ葛葉。勿論普通なら返事なんて返ってこない・・・だが・・・
「・・・・なんだ、葛葉?」
・・・いた。・・・長海は天井から微かに・・・そう、葛葉にちょうど聞こえる程度の音量で話始めた・・・
「・・・昨日と今日で史厳帝王は魅了された、と焔が言っていたのですが・・・とてもそうは見えませんでした・・・」
「・・・ふむ・・・葛葉、すぐに分かる様な変化だと家臣の爺さん達に気付かれてしまうんだ・・・ソコは分かるかい?」
目を閉じて上を向いて・・・扇子を広げて口の動きを悟られないようにし、あたかも寝言のように喋る葛葉に優しく問いの答えを言う長海。・・・だが葛葉はその質問に満足いく事は無かった。
「・・・できるだけ短い時間で・・・さもなくば・・・」
「・・・【まわりの国が襲われる】・・・と?」
・・・・その答えに沈黙で答える葛葉・・・肯定の意味であった・・・
「・・・心配しなくても大丈夫だ。」
「・・・ですが・・・」
安心を与える回答をすれど・・・それでも不安の様な葛葉・・・
「・・・今、【攻めたくても攻められないのさ】。」
「・・・? それは?」
意味深な言葉を吐いた長海に疑問を投げかける葛葉に・・・
「・・・今日暴言を吐いた男・・・葛葉、覚えているか?」
「・・・っ」
「・・・無理してあの情景を思い出さなくてもいい・・・」
今朝の鮮烈な斬首は少し葛葉には強すぎる印象だったようで・・・危うく吐き出しそうになったが、長海がソレを察して落ち着かせた・・・
「・・・あの男・・・この国の実質の第二位だったんだよ・・・」
「・・・えっ?」
意外な言葉に驚きを隠せない葛葉だったが・・・なんとか表情をかえないでいられた。
「・・・あの男、この国の軍備や人事、軍資金の調整などを一手に纏めていた・・・いわば参謀だな。一度あの男に情報が集められて、あの男が纏め上げて、帝王に最終決定を下して貰っていたんだよ。・・・このことはある程度の位の高いヤツじゃないと知らない情報だ・・・そしてかなりの頑固で古株だった様だ。・・・」
「・・・つまり?」
長海が己の集めた情報を葛葉に分かりやすく説明し始めた。
「・・・つまり、帝王は知らず知らずに自分の首に縄をつけてしまったのさ。」
「・・・でも、別に参謀がいなくても軍備は纏るのではないですか?」
・・・葛葉の意見は御尤もである。いくらまとめ役が居ないからといって簡単に軍縮になるような構造ではないと分かっている葛葉に・・・
「・・・残念ながらこの国にはそれで通じてしまうんだよ、葛葉。」
「・・・? 」
意味が分からない葛葉に再び説明を始める・・・・
「・・・まずこの国の基本は軍だ。そしてその規模は周りの国に比べて群を抜いて最多の兵数だ。ソレを全て纏めるのは用意ではない。そしてココが重要なんだが・・・」
「・・・」
「・・・この国は基本的に政治は一人であの帝王が回している。そしてそれらを補佐するのも帝王が能力を認めた数人のみ。・・・あの男と、数人だけだ。・・・・そしてその【統制者】とでも言うべきか・・・それは秘密にされているのさ・・・【下の臣下にも】・・」
「・・・それでは・・【顔も知らない上官にどうやって情報をあげているのですか?】」
・・・そう一番の疑問である・・・それには・・・
「・・・帝王宛に書類を送るといつの間にかなくなっていて、ソレを纏めたモノが数日で上がっていてな・・・それで謎が解けた。」
「・・・なんと・・・そんなことが・・・」
仕組みに驚く葛葉・・・
「・・・戻すぞ・・・ソレゆえに今、あの男が居なくなって一番苦労するのは・・・帝王自身だ。春から教えて貰ったが・・・帝王自身はこの国の内政で手一杯なんだとさ。そこに軍備が上乗せされれば・・・な?」
「・・・少なくとも【現時点での侵略はない】・・・ということですか・・・」
合点がいったという感じで答えた。そしてその会話中に・・・
「・・・長海、姫。今、焔が『仕事』を終えて帰ってきます。」
「・・・分かった。」
「・・・分かりました。」
・・・春が焔が帰ってくる事を伝えにきた。すると今まで横になっていた葛
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