サァァァーーーーーーー・・・・
今日は天気予報で大雨が出ていたが・・・夜にそのとおりになった。
「・・・はぁ、傘・・・如何しよう・・・」
この溜息をついて商店の軒下でたたずんでいる男・・・『加藤 芳樹(カトウ ヨシキ)』は大変お人好し・・・親切・・・いや、【親切過ぎる】男であった。
「あっ、不動産の資料・・・・会社に忘れてしまった・・・」
・・・そして少し抜けてもいる。
なぜ傘の無い状態になっているのか?
それは数分前・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「えっ? お金足らなくて帰れない?・・・んん〜・・・・どうぞ・・・」
「あ、有難うございますっ! 」
まず駅前にて飲みすぎて金が無くなったというキャリアウーマンを助けて・・・・
「えっ? 酔いが回って動けない? ・・・んん〜・・・・どうぞ、肩に手を掛けて・・・」
「うぅ・・・す、すいません・・・・」
ベロベロの酔っ払いを近くのタクシー乗り場まで連れて行ってあげて・・・
「えぇっ?! 喧嘩ぁ〜!?・・・・しかたない・・・仲裁を・・・」
「あ゛ぁん? にぃちゃんも文句あんのか? #」
「お゛ぅ!! 邪魔すんなやっ」
酔っ払い同士の喧嘩に【ボロボロに為りながらも】仲裁をして・・・
そして・・・
「えっ? 傘が誰かに盗られた?・・・・じゃあ、この傘使ってください。」
「・・・いいの、おじちゃん?」
ちょっと心に【キズ】を負いながらも塾帰りだろうか・・・泣いていた娘に訳を聞いて傘をあげた。・・・・【貸し】でなく、【あげた】。
そして・・・雨が降り始め・・・
冒頭に至るわけである・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「はぁ・・・走るか・・・・うち、すぐソコだし・・・」
と、足を踏み出したところで・・・
「・・・ん? 電灯の下に誰かいる?」
そう・・・暗くてぼやーっとしているが・・・そこには確かに『誰かいた』・・・
・・・・『びっしょりと雨にうたれながら』・・・・
「わわっ!? ちょ、ちょっと?! 傘差さないでどうしたんですか?!」
それを確認したら慌てて近づく芳樹だが・・・
「んぅ〜? ・・・あぁ〜・・・なんか気持ちいいのでぇ〜」
「ダメじゃないですかっ・・風邪ひいてしまいますよ!?・・・しかも『女性』なのに雨に濡れていては・・・その・・・目のやり場に・・・・///」
なんとその女性は薄い着物のみ着ていた・・・きれいに着ているあたり普段着としているのだろうか・・・・彼女の胸の先端が・・・透けていた・・・・
「とっ、とにかく・・・はやく家へお帰りになったほうが・・・」
「・・・実は・・・家・・・ないんです・・」
早々の帰宅を進めるが、なんと彼女・・・家無しだった・・・
そのとき芳樹は・・・このあとの事を決定付ける『一言』を言ってしまった・・・
『そうなんですか? ・・・じゃあ・・・うち、近くなんでもし良かったら服でも乾かしていかれませんか?』
「・・ふふふ・・・・・えぇ、ご迷惑でなければ・・・」
・・・あわれなり・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
家に着いた芳樹は着替えもそこそこに彼女に暖かいコーヒーと大き目のタオル、乾かしたばかりの大き目の『Yシャツ』を渡した。
「ごめんね・・・他のは全部洗濯機の中なんだ・・・」
「いえ〜お構いなく〜・・・・はぁ〜♪ あったか〜い♪・・・」
ズズッとコーヒーを飲む彼女・・・・だったが・・・
「(・・・あれ? 心なしか・・・・・肌が黒くなっていってないか?)」
そう、口周りから少しずつ・・・比喩ではなくて本当に黒く【染まって】いるのである・・・
「あ、あれ? き、君・・・・人間さん?」
「はぁ〜♪・・・あっ、申し送れました〜私ぃ〜『ぬれおなご』の『怜(レイ)』・・・と、もうしますぅ〜・・・」
・・・・人じゃなかったしっ!!
「あのぅ・・・お名前・・・」
「あ。自分は加藤芳樹っていいます。・・・しかし聞いた事のない魔物ですね・・・」
ちゃんと律儀に返すのがイイ人クオリティ。
「この周辺にはぁ〜まだあまりぃ〜いらっしゃらないですからぁ〜」
「どんなのが特徴なのですか?」
「ん〜と・・・・えい♪」
と、彼女が可愛く念じると・・・
「なっ・・・フリルのエ、エプロンっ・・・・ただしぬれてるっ!?」
「あとは・・・えい♪」
「おぉっ?!・・・・ビ、ビアガール・・・ただしぬれてるっ!!」
・・・と、一通り『コスプレ☆濡れコレクション』を堪能した芳樹だった・・・
「・・・という風にぃ〜着てるものをかえられるのですぅ・・・ただし全部ぬれていますけどぉ〜」
「な、なるほど・・・」
・・・鼻を押さえて迸りを押さえ込む芳樹・・・・
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