『白いということ・・・・・』

ここはジパングのとある山の中腹にある神社・・・
そこで祭られているモノ・・・
それは・・・

『純白に輝くオキツネ様』であった。

その神々しい姿から周りから囃し立てられていつの間にか神になったオキツネ様であった・・・

その日は秋が終わりかけ、冬への足音が近づく木枯らしが吹く中・・・件の神社にて奉納祭を村で一丸となって行っていた。
・・・勿論主役は『オキツネ様』である。

祭りの様子を覗くと・・・


〜社内〜


「・・・いつも有難う御座います。皆様。」
「いやいや、そんな畏まらんでくだせいっ!! それもこれも皆『オキツネ様』のおかげなんですからっ!! 」
と、大げさな態度でワハハと笑う男衆たち・・・


(・・・また・・・『オキツネ様』・・・・)


「さぁさぁ!! 『オキツネ様』っ!! 今年取れた米で作った酒です!! どうか味見をっ!!」
「まぁ・・・有難う御座います。では、おひとつ頂きます。」
と、米酒のビンを傾けて『オキツネ様』の小さめの盃に酒をそそいでいく村長・・・


(・・・・また・・・・お願い・・・言わないで・・・)


「『オキツネ様』っ!! コチラは採れたての野菜ですぞっ!! 『オキツネ様』の願掛けで見事に豊作でしたぞぉ!!」
「まぁ!! ・・・お口がお上手なんですね♪」
と、色とりどりの秋野菜を見せてくる男・・・


(言わないで・・・・私は・・・・私はそんなに偉くないのに・・・)


「・・・・ふぅ。少し酔ってしまったようです。少し涼風に当たってまいります。」
「おぉ!! 左様でございますか!! いってらっしぇいませっ」
「「「いってらっしゃいませぇぇっ、『オキツネ様』!!」」」



(・・・・だって・・・だって私・・・・っ!!)



スッ・・・・トッ・・・トッ・・・トッ・・・トッ・・・

・・・ふむ。どうやらオキツネ様が境内の裏へ行かれたようで・・・
追いかけてみよう・・・


〜境内裏〜

「・・・グスッ・・・ヒクッ・・・・・」
そこでは・・・・オキツネ様・・・『白光(シカリ)』が声を殺して・・・・・泣いていた。

「グスッ・・・いつまで・・・いつまで私は・・・『稲荷』を『演じなければ』・・・いけないの・・・」
・・・・!! すすり泣く白光から信じられない言葉が飛び出したっ・・・

「だって・・・だって・・・・ヒグッ・・・・私・・・・グスッ・・・・」
・・・?










「ただ白いだけの・・・エグッ・・・・『妖狐』なのにっ・・・・ヒゥッ・・・・・」











・・・!! なんと言うことでしょう・・・・白光は白面白眉の妖狐だったのですっ!!

「・・・・・・!」
おや? 誰か聞き耳を立てていたようです。・・・・影の長さからして・・・男のようですが・・・
その男は、しばらく立ち止まっていたが・・・

・・・・・・・スッ・・・・・・

・・・立ち去ったようです。
誰だったのでしょう・・・


〜再び社内〜



「・・・・すいません皆様。お待たせしてしまい・・・」
「いやいや、カマわんですよ。・・・・それよりっ!! さぁさぁ、まずはその冷えたお体を暖めなくてはっ!! ・・・さぁ、どうぞ!!」
・・・・宴は夜通し続いたのだった。



その次の日・・・



「〜〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜♪」
おやおや、鼻歌を歌いながら神社の境内を巫女服をきて掃除する白光が・・・・ご機嫌みたいですね。

(はぁ〜この自分だけしか居ないときが一番落ち着きます・・・♪)

・・・よほど機嫌がよいのか、4本の尻尾をフリフリとゆったり左右へふり、耳も拍子を刻むようににピクン、ピクンと上下しています。
・・・・しかし・・・・自分の社に誰一人いないというのは・・・なにか寂しさが・・・

「〜♪・・・っ?!・・・・どなたでしょうか?」
急に鼻歌をピタッと止め、辺りを警戒する用に見回し・・・・鳥居から・・・・下から誰かが上がってくる気配を感じた白光。

カツッ・・・カツッ・・・カツッ・・・

やがて姿を現した参拝者は・・・・男の子、いや元服して数年の青年と呼べる男がいた。

「あら、いらっしゃいませ♪」
「はぁ・・・白光、どうかと思うぞ・・・・そのつくり笑顔・・・」
その参拝者に白光はニコッと笑顔で出迎えた。対して青年はあきれて溜息を吐き、白光を指差しながら微笑む。
・・・どうやら親しい間柄のようだが ?

「もう・・・愚痴をいいに来たんですか? 『黒江(クロエ)』。」
「ははっ、まさかぁ。仕事だよ仕事♪」
と、不満の白光に笑いで答え自分の服を指差し答える青年・・・『黒江』。
彼の着ている服・・・それは・・・

『翠袴の神官服』だった。

「んで、今日は何すればいいんだい? オ・ヤ・シ・ロ・サ・マぁ〜
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