―――わたしに出会ってくれてありがとう。
アナタは初めて私と会ったのは、貴女が家族で潮干狩りに来ていた時ですね。今でも覚えていますよ。アナタが夢中になり過ぎて潮の流れが出来て危ない砂浜まで来て流されそうになっていましたね。それを助けてあげたのが私でしたね。その日からアナタは私にわざわざ会いに来てくれるようになりましたね。
―――いつも私に気付いてくれてありがとう。
私はねキャンサーだから、という理由でもないけれど人と喋るのが苦手なの。アナタがせっかく会いに来てくれても私は言葉を紡ぐのが苦手だったから、たくさん迷惑かけちゃったね。それを気にかけてくれたアナタは私のしたい事、嫌な事、好きな事、いっぱいいっぱい理解してくれていっぱいいっぱい「ごめんね」とか「ありがとう」とかいっぱい声をかけてくれたね。私、とってもとっても嬉しかった。とっても嬉しかったよ。今でも嬉しい、ありがとうって気持ちになるの。
―――いつも私を落ち着かせてくれてありがとう。
私はね、アナタからとか他人から予想外の言葉や行動をされちゃうと何も反応が出来なくなっちろゃう位に慌んぼなの。言葉にはできないけど、体が勝手に泡を出して足をキシキシと動かしてしまうの。ごめんなさい、こんな何もできない私をみんな気にしてくれてくれているのよね。特にアナタはずっと傍で見ていてくれて助けてくれてる。本当に本当にありがとう。ありがとう。
―――いつも隣にいてくれてありがとう。
私はねアナタ、どうしてかアナタを好きって思い始めてからアナタが隣にいないと落ち着かなくなっちゃったの。ごめんなさい、でもアナタの背中を見続けるがもう辛くなっちゃったの。だから私の傍にいてね。いつもじゃなくてもいいの。でも毎日ずっと隣で居てくれたら私は幸せだよ。もう本当に、幸せなの。この気持ちを、この思いを満たしてくれていつもいつもアナタにありがとうの気持ちが溢れちゃう。本当にありがとう。
―――潔癖な私でごめんなさい。
私はね、すごくずるいと思うの。自分でも解ってる。アナタに他の魔物娘さんの匂いが付いているのが嫌なの。だって私はアナタしかいないから、私のお婿さんはアナタだけだから、他の娘に盗られそうな気持ちになっちゃうの。だからいつもアナタには匂いを付けて貰いたくないから私はいつも掃除をしちゃうの。アナタが嫌そうな顔をしても嫌。でも他の魔物娘さんの匂いを付けたままでいられるよりはずっとずっとましなの。だから、これだけは絶対に絶対に譲らないよ。
―――こんな我儘な私だけどずっと愛してくれますか?
「……ん」
手紙を読み終えたアナタはすごく笑った。すごく笑ってた。ひどい。悔しいから泡まみれにした。ブクブクブクブクブクブクブク。あ、一緒にあらっちゃお。ふふっ、「たすけてー」って言ってるけど私が考えた手紙を見て笑ったんだからダメ。許してあげない。ぷんぷん。
「―――んっ」
洗濯終わり。さてなんで私の手紙を笑ったのか話してくださいねアナタ。私、怒ってるんですから。ハサミも鳴らしちゃうんですから。ブクブク。
「……あっ」
ず、ずるい。抱きしめてくるなんてず、ズルい、です。もう怒れないじゃないですか。むー。じゃ、じゃあ理由。理由を話してください。あっそんな顔、じっと見ないでください。見ないでください、見ないで。
「〜〜〜っ」
あ、赤くなってません。赤いのは蟹、そう蟹だからです。蟹だからなのです。いいですか、聞いてたますかアナタ。あっ……ずるいです。キスなんて、不意打ちのキスなんてずるいです。ずるしてはです、だめなんです。か、か、か、顔が赤いのは蟹だからです。です。
「っ
#10084;」
手紙で笑ったのはゴメン、だって私の行動は全然迷惑じゃないし可愛いから苦じゃないですか。う、うう、やっぱりアナタはずるいです。顔が赤いのは、あぁ、もういいです。もう一度キスしてくれたら許しま―――
(チュッ)
―――アナタは本当にずるいです。でも……
「……だいすき
#10084;」
ぎゅうってしてあげちゃいます
#10084; えへへへ
#10084;
【完】
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