『私もアナタもサンダーボルト♪』


「ふぅ、なんだか怪しい天気だな?」
独り言を放つ青年が、小石がゴロゴロと転がる岩場をやや速足にして駆け抜ける。
なるほど、確かに青年の頭上を見れば黒く厚い雲がまさに雨を降らそうとしているではないか。

「まったく……おっと!」
青年の愚痴が続くかと思いきや、不意に起きた遠雷に止めさせられてしまう。
そして青年に吹き付ける風がどんどん低下していき、鼻が良い人や魔物であればまず間違いなく風に湿気を含みだしたことに気づく。
幸いにも青年はこの天気がよく変わる山間部の住まいということもあり、そのことは薄々感づいてはいた。

「雷か。もっと速度を上げないと、妹の誕生日に遅れてしまうな……」
呟く青年の懐にはなんとも女の子向けという感じのラッピングが巻かれた人形であろうプレゼントが抱えられているではないか。
次第に強くなる向かい風に苛まれつつ、青年は慣れた様子で走る走る。


だが……


「ぐっ! 雨か! あと少しで家に着くのに!!」
歯噛みする青年を嘲笑うかのように天は彼へと唾を吐く。
しかし天は彼へと唾を吐くだけではなかった。


ピカッ!


「うおっ!?」
まさに閃光。
ついで耳を裂く程の爆音。
豪雨になった上に雷まで鳴りだしたのだ。

「ぐっ……ん?」
もしもの為にと持ってきた雨合羽の代わりとしてコートを深々と羽織る青年は見てしまった。
真っ暗な視界の中、空にほんのわずかだが……燐光を放つものがいることを。
その燐光、徐々にだが青年に対して近づいているようである。

「な、なんだ?」
風雨をしのぐ為に深くかぶっていたコートを少し緩め、落雷の際の明るさを利用してその燐光を確認しようと目を細めてみてみれば時遅し。
すでにその燐光は彼の目の前へといたのだ。



この暴風雨で且つ落雷の中、常識外の速度で彼との距離を縮めた者は……やはりと言うか当たり前と言うか、魔物であった。



「あはぁ♪ 男発見っ♪」
「ッ!?」
燐光を放っていたのは人でいう手の部分と目であった。
手先をコバルトのような青とし、根本へ肩へ行くにつれてそれは翠、更には本体に接続されている部分はレモンイエローへと変化する羽を持ったハーピー。
足先は黒く、足の毛はやはりひかっている。
緑黄色に淡く輝く彼女は青年を捕えると有無を言わさず肩をがっしりと足でつかみ、そのまま彼の意見を聞かずに空へと連れ去ってしまったではないか。
まさに刹那の出来事に彼はなすすべなく、彼女の為すがままになっている。

「お、おぃ! はな、離せっ!!」
「嫌だね! アンタはアタイと番(つがい)になるのさ!」
「なっ!? 」
元々親魔物領の為に魔物に対して嫌悪感と言うものを持ち合わせていない彼であるが、普段周りに泣いるのはワーシープやホルスタウロスのようなまったりおっとりした魔物ばかりの為にここまで押しが強い彼女にじゃっかん気後れするのであった。

「た、頼むっ! 離せっ! 離してくれっ!!」
「しつこいね! ……ならば、ちょっと痺れて大人しくしてもらうよ♪」
「え?」
暴風雨の中でもわかる彼女の燐光が一段と激しくなった、と思った次の瞬間。



ビリビリビリッ!



「あ、がぁぁっ!? ぐぅぅ!?」
「えへへ、どう? シビれるだろぅ♪ アタイにね♪」

サンダーバード。
己の体内に発電機構をもった珍しいハーピーの魔物である。
また彼女の作った雷撃は決して人を傷つけることはない。
ただし……

「ん? クンクン……あはぁ♪ 服の中でイッちゃったのぉ?」
「ぁ、ぅぁ、ぁ……」

彼女の電撃は強い快楽を与えるものである。
あまりに強すぎる快感は人を文字通り雷に打たれたように無力化してしまうものでもある。
彼はその今まで得たことなどない強すぎる快楽に、己の下着の中へと盛大に精をぶちまけてしまったのだ。
その匂いをかぎ取った彼女はまさに発情しきった雌の顔で彼をうっとりと見つめていたのは言うまでもない。

「さぁ、もうすぐアタイの巣さ♪」
「ぁ、ぁぁ……」
未だ止まない雨風、そして射精。
飛びながら電撃を浴びせ続けられた彼にもはや理性など皆無である。



「ふふふ……嵐はまだまだこれからさ♪」
「あ、ぅぁ……ぁぁぁぁぁぁ!!!」
彼女の巣に着くや自分の衣服を力ずくで剥ぎ、彼女のまだ濡れもし……いや、訂正しよう。
すでに雨ではない何かによってぐっしょりと濡れていた秘所めがけて彼は己を突きたてた。

「あん、まだベットじゃないよ♪」
「ああ゛っ!!」
「ふわぁ!? ちょ、ちょっとワイルド…あふぅん♪」
勿論彼女は魔物なのでいつでもオーケーと言う意気込みではある。
しかし帰って早々に立ちバックなのには予想外だったようでちょっと困った顔だが、彼はさらに彼女の予想を軽く超える動きをしたのだ。
彼女と結合
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