「はぁ〜たまにはこうやって釣りに徹して素材集めもいいよなぁ〜♪」
「えぇ〜本当ねぇ〜♪」
砂漠地域の中にある地底湖、その場所にて軽装備の男女ハンターが釣り糸を湖面に垂らして優雅に釣りをしている。
勿論傍らには彼らの獲物はあるが…ただあるだけで手にしていたり身に着けているわけではない。
「ふぃ〜…一体アイツらどこ行ったんだろうなぁ…」
「…サクラ、ハッカ、メルー…あの後、急に消息を絶ったのよね…」
「あぁ。そして今日でその日から1年だな…」
湖面に垂らす糸はそのままで、男ハンターは岩の隙間から日が入るその場所へと視線を移す。
一息ついたその先に見えるのは青空と時折吹く風に舞う砂だけだった。
ー…キラッ…
「…ん? なんか水面が光ったような??」
「ん? 気のせいだr…うぉぉぉ!? す、すごい引きだっ!? 」
「えぇ!? ちょっと待ってて! 手伝うわ!」
女ハンターが水面に何かいるのに気付いたようだが男ハンターは一蹴することにしたようだ。
しかしその言葉を言い切るちょっと前で強烈な引きを当てた男はいきなり立ち上がって踏ん張りをきかせだす。
男ハンターが立ち上がって足を突っ張っているにも関わらずジリジリと湖面へ引きづりこまれてしまうその異様なまでの引きに大物をいとも容易く連想した女ハンターは男ハンターの背後にすぐさま回り込み男ハンターの腰に手を巻いてさらに踏ん張りを利かせると、もう竿の先端と持ち手がくっつきそうな程に撓っていた釣竿に湖面側からさらに力がかかったようで…なんと彼らは二人纏めて踏ん張ったまま湖面へとズリズリ、ズリズリと僅かずつに吸い寄せられ始めたのだっ!
「ぐぅぬぬぬ…」
「ふぅんぬぅぅ…」
『…ぅっ…てぇぇいぃ!!』
しかしそこはハンター。…伊達に巨体の竜を相手にしているわけではない。
強者の筋力を二人で発揮し釣竿を大きく背後めがけタイミングを合わせて引き上げることでついには釣竿のエサを食っているモノを陸へと上げることに相成った。
…相成ったのだが…。
ざっぱぁぁぁぁーーーん!!!
湖面から飛び上がらせるようにして釣り上げたのは全長30メートル級の大きな魚類…ではなくて??
ウミヘビを思わせる頭から尻尾の先までの長い胴には所々に被膜と鋭いとげのようなものがあり、その体の真ん中程に目を向ければ…魚の尾ヒレに見える尻尾側へ向かって伸ばされた一対の恐竜のような逆関節の足があり、そして目の前にいるハンター達を見つめるつぶらな瞳…体が魚の鱗のそれで武装した竜の一種『ガノトトス』であった。
『げぇぇ!? ガノトトスぅぅぅぅ!?!?』
そして釣り上げたガノトトス、二人の頭上を跨ぐには些か高度が足らなかったみたいで…二人の方めがけ打ち上げられて暴れる魚の如き跳ね具合でタックルをしてきたのだ!
ビチビチビチ……ドゴォッ!
「うぁぁ!?……ァァ…ァ…」
「いゃぁぁ!?……ァァ…ァ…」
あわれ、ハンターたちはその巨体を避けきることができずそのまま空高く舞い…ガノトトスがいるところから遠い場所へ高く水しぶきを立ち上がらせて着水。
…そしてそのまま動かなくなっt…あ、滝へ向かって進んで…あぁ、滝壺へ落ちた…。
『……。…!! …グォt』
暫くハンターたちがいた場所にてビチビチと青魚のように跳ねていたガノトトスはしばらくして器用に二本足で立ち上がりあたりを見回し、誰もいなくなったのを確認すると瞳に安緒の感情を灯して水面に顔を向けて…大きく跳躍した、その時である。
水面に何やら光の文字が何かをなぞるように高速で浮かび上がり、次に強烈な発光をしだしたっ!
…光が収まったその場所には勿論、水中にも、ましてや宙にもどこにもガノトトスを確認することができず、叫びかけたガノトトスの声がかすかに洞窟へと響くだけだった。
そして『得物以外何も無くなった』地底湖には再び静寂が訪れるのである…。
……………
………
…
場面は変わって…
「ふぅ〜♪ たまには釣りもいいものねぇ〜♪ ねぇ? インス、スパイク?」
「だったらもう少し釣ってくれよアリアっ! お前も言ってやれっ、スパイクっ! 」
「おい、インス…ハズレくじ引いたからってあんまりアリアにあたんなよ? 」
暖かな日差しが降り注ぐ静かな湖畔の一角、水面まで高さが平均的な成人男性の背の倍程度ある崖上ではなにやら女性が3人横一列に揃って横になっている何か強い力でへし折ったような太い丸太に腰掛けて釣り糸を垂らしている。
一人は…青い髪のまだ熟れきっていない少女と淑女の中間のような女性で、ほかの二人に睨みを利かせている。
その腰からのびる蒼い鱗のついた尻尾は激しく地面を叩き、叩かれた場所は土がエグれていた。
…あまり周りにはこたえていないようだが。
また
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