〜〜とあるアーケード街(ウシオニ)の場合〜〜
「おぉ、たっくさん出てんなぁ。七夕グッズ」
「そうだねぇ〜」
商店街が七夕のキャンペーンの催し物として電柱などの柱にこれでもかと笹を巻きつけているアーケードの下、真っ黒のタンクトップを着たウシオニの彼女の上に跨って相槌を打つ男…の子?
さらに男の子の後ろには大量の「酒のツマミ」がこんもりと袋詰めされて彼女の歩く振動に合わせて揺れ動く。
「あ、見てお母さん! ちっちゃい子がウシオニのお姉ちゃんに乗せてもらってるぅ!」
「こらアリサ! お行儀が悪いですよ!」
「…すいません、僕高校2年です」
その男の子を指さして暖かな視線を送りつつ手をつないで歩く買い物帰りであろうユニコーンの親子がいたがその親子の言葉が聞こえた男の子…いや、男が赤面して俯きながら申し訳程度の声を発するとユニコーンの親子は固まってしまいしばしの沈黙が訪れる。
「はっははは! やっぱりその身長じゃ〜しゃ〜ねぇ〜よ!」
「ぅぅ…」
「あ、あぁ…す、すいませんでしたぁぁ!」
デカい笑い声で時を再び進ませた瞬間、腰を深々と折って謝る親子だったがその親子にペコペコ下げ返す男にそれをまた笑うウシオニと場は少なかれ和やかな雰囲気になったのだった。
そしてユニコーンの親子と別れた後…
「いやぁ〜いつみても面白いっ!」
「うぅ…由里(ゆり)ぃ…」
「っはは、わりぃわりい…んでこの後どうする?」
先ほどの騒ぎ(?)があった場所からやや離れた住宅街の路地に差し掛かった時の会話である。
いつも間違われる愛しの彼氏に八重歯が似合う笑顔を向けつつそう聞くウシオニは彼の怨嗟の声を無視。
「…はぁ。まぁ今年もやっぱり『口逢神社(くちあわせじんじゃ)』の大笹に願いを書き込んで」
「で、酒だな!?」
「…また由里はそうやって…ふふっ」
口元を隠すように笑う彼にウシオニはすかさず「笑ったなこのやろぅ!」と頭ワシャワシャの刑を実行したのは言うまでもない。
〜〜とある道端(ユニコーン、バイコーン)の場合〜〜
「さっきの人…悪いことしちゃったね…」
「えぇ…」
こちらは先ほどの親子のようだ。
シュンとして歩く白磁の如き8本の蹄はちょっと元気がないみたいで真っ白でサラサラな尻尾もだらりと垂れている。
ちょっとした不注意だったが中々に割り切れていないようで顔も下に向いていて…とそこに?
「あれ、姉さん? どうしたの? そんな暗くなって…」
「へ? …あ、久しぶr…っ!? なっ、あ、ああぁぁ、アシェン!? あ、あなたっ!?」
「わぁ〜♪ 真っ黒で綺麗な毛並みぃ♪」
俯いてかげっていたところによく通る透き通った声がおそらく母親のことを姉さんと呼んだのだろうその声に母親ユニコーンが顔を上げれば、やはりそこにはよく見た妹がいた。
しかし面影はもう顔と体躯だけで残りの特徴などは母親ユニコーンの中の記憶に合致することはない。なぜなら妹の毛並みは真っ黒、漆黒のような真っ黒に2本のねじり角が天に向かって伸びていたからだ。
「ん? あぁ、マリア姉さんには言ってなかったっけ? ほら先日の商品詐称事件。あれでアルラウネの蜜が混ざったままことに及んでバイコーンになっちゃった♪ 」
「ねぇねぇ叔母さん!」
「ん? なぁに? アリサちゃん?」
叔母さんと言われて眉一つ動かさずに微笑んで応えてあげるバイコーンはよく聞き取れるように近くに体を寄せてユニコーンの娘と同じ高さになるように上半身を屈ませた。
…未だに母親は口をパクパクさせていたが。
「バイコーンっていっぱい色んな魔物娘さんと交わったりするんでしょ?」
「う〜ん私が、じゃなくて夫がだけどね…」
「嫌じゃないの? 自分の愛している人が別な人と結ばれて…」
と眉尻を下げるユニコーンの娘に対して言葉を遮るようにしてバイコーンはこう語る。
「いいえ、視姦しながら自分の夫の味を知らしめて且つ自分にとっての極上な味が楽しめる! まさにこれこそが私の生きがいよ! …そうだ! せっかくだから一緒にまじわろっか? アリサちゃん♪」
「こらまてぇぇぃ! 自分の親戚、しかも実の姉の娘である姪っ子を誘惑するなぁぁぁ!!」
「えぇ〜いいじゃなぁ〜い! 姉さんのケチぃぃ!」
わが子の貞操の危機にようやく戻った母親は悪魔の誘惑をする妹バイコーンに容赦ない攻撃をしたのは言うまでもない。
その後仲良く3人、途中でバイコーンの夫と合流し彼女たちは小脇に笹を抱えて一路ユニコーンの家へと向かったのだった。
〜〜とあるマンション(ダンピール、ヴァンパイア)の場合〜〜
「…なんだそれは? 姉上?」
「え? 七夕用の笹だけど…ディナは知らないの?」
ジャージの上下を着てベランダにて呑気に笹を吊るしだすダンピールの姉に、『シ
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