『気まぐれな風の行方は・・・』

その日、トレジャーハンターのティルはとあるギルドにて『探検』の依頼を受けた。
直ぐに彼は準備を終え、件の洞窟へ向うことに。
そして洞窟を隈なく探検し、少ないながらも確実に着々とお宝を回収していった。

そして洞窟の奥に行く通路を発見し更に奥に進む。

「ふふふ〜♪お宝〜お宝〜♪」
「こらこら、まだ途中なんだからしまっておきなさい。」
奥へ足を進めながら後ろでフワフワ浮いてる「彼女」に対して微笑みながら注意するティル。

「彼女」・・・フワフワ浮いていると言う表現でお分かりいただけるだろうが、人ではない。
実は『魔精霊のシルフ』である。ナゼココにいるのか?
そう彼女は『たまたま』洞窟前にてティルを発見し、
「こんちわ!! あたし、シルフィ。あなたなにしてるの?」
「へぇ、これから探検?」
「ふぅん・・・」
とティルに興味をもっただけで『ただ一緒にいる』だけである。・・・そう、『契約』をしていないのである。

「・・んしょっと・・・ん〜何してるの〜? 」
と、シルフの彼女・・・シルフィは器用にもティルの肩からぶら下がりプランプランとぶら下がっている。

「おいおい、歩きにくいよ・・・ふふっ。今・・・地図で・・・場所を確認しているんだよ。」
そういってティルは地図をクルクル回し、コンパスと睨めっこながら辺りを見回している。

「ふぅ〜ん・・・・・・うんしょっと・・・ここならいい、地図の人?」
と、シルフィがぶら下がりを解いて肩車をするようにティルの首に座った。

「おっと・・・ははっ、それなら許す!! ・・・ふふふ♪」
「あははは♪」
こうしていると仲の良い兄妹(きょうだい)にも見えなくも無い。

「・・・ん? ねぇ地図の人、なにかな? アレ。」
「うん? ・・・・扉、か。・・・どうやら最後の部屋に来たみたいだ。」
そうこうしていると目の前に扉が現れた。ティルは地図を確認しここが最奥ということを確認する。

「なにがあるかな♪」
「じゃぁ・・・あけるぞ? 」
シルフィはワクワクした様子で開門をティルに促し、ティルも深呼吸の後にシルフィの要望どおり扉を開けた・・・


ぎぃぃぃぃぃ・・・・


そして中に入り辺りを照らそうとしたところ・・・


ズルズルズル・・・・


何か音がして、音のするほうへシルフィ共々注意しながら照らし出した・・・
すると・・・

「ZZzzz・・・・んぁ・・・? ・・・あらお客さん?」
「きゃっ!? へ、蛇ィィ!!?」
「えっ!? ラミアかよ!?」
なんと、ついさっきまで寝ていたであろう『ラミア( ? )』が起き上がってきてしまった。

「あら失礼ね。私は『エキドナ』のミラ。・・・シルフのお嬢ちゃん? 蛇、は無いんじゃないかしら? 」
と、エキドナは少しムッとしながら答えた。

「だっ、だって蛇苦手なんだもん!! 」
(ヤバイな・・・逃げなきゃ!! ・・・・あれ!? 扉が開かない!?)


ガチャガチャッ!!


扉は硬く閉ざされていた。


「あら、ダメよ。貴方達は『お客』よ? ・・・『侵入者』と言う名のね!!」
と、ミラは言い放つと瞳孔がが縦に割れ、蛇の舌をチロチロと出した。

「くっ、やるしか・・・ねぇか・・・」
「ぅぅぅ〜蛇ヤダー!!」
ティルは腰に挿していた短剣を抜き取り、シルフィもイヤイヤ言いながらも魔力を手に練りこみ始めて二人が戦闘態勢に入った。

「さぁ、どう楽しませてくれるのかしら?」
ミラは挑発するようにとぐろを巻いた尻尾の先端をフリフリゆらした。

「いっけぇぇ!! 風縛陣!!」
と、シルフィが呪文を唱えるとミラを中心に風の壁が・・・小規模の竜巻が洞窟内に発生した。

「あら涼しい。・・・こんなものなの?」
と、2人に聞こえないくらい小さな声で発言するミラ。かなり余裕みたいだ。

「うぉぉぉぉっ!!」
と、短刀を構えて突進するティル。
ちょうど風が止んだところで、タイミング的にはぴったり・・・なんだが・・・

「あら、おそい♪」
ヒョイ、と避けられてしまった。そして・・・

「うぉっ!?」

ずざざ〜っ

と見事に前のめりにコケるティル。

「まだまだ!! えい、えい、えぇぇぇい!!」
と、この隙を逃さず空気の塊を投げるシルフィ。

(・・・契約していると思ったんだけど・・・連携が取れていない・・・まさか未契約なの?・・・)

あからさまに不機嫌になりつつも全て避けるミラ。

「まだだ!! うぉぉぉぉぉっ!! 」
再び立ち上がりミラに『また』突進するティル。

「・・・いのしし、ね」
やはりよけられるが・・・

「っと! なら・・・こいつはどうだ!?」
と、通り過ぎ際に返し刀でミラに切りつけるティル!!


サクッ!!


「っく!?」

一瞬、ミラの表情が曇る。

「っ?! きいた
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