「…で? 何故私が車の運転なんだ?」
『カルディナさんおねがいしまーす♪』
とある年末。
この世界では早くから魔物娘達との融和がすすんで今に至っては隣が彼女達というのがザラな世界。
その世界の一角、とある大豪邸前で深夜にも関わらず7人の娘達が屯っていた。
「だって自分だと二輪しかないし。」
「黙れカリーナ。…まぁ、無免ではしかたないか…」
集団で一番背の高い彼女は長耳の青の短髪でカリーナと呼ばれた女性はあまりに暇だったのか自分の首をクルクル回して遊んでいた。
…彼女はデュラハンです。
「む? まて。お前仕事はどうした?!」
「ホンカンハキュウヨウノタメ3カカンケッキンイタシマス(キリッ」
更にいうと警官です。しかも警官の華というべき高速機動隊の白バイ隊。
「まぁまぁ〜いいんでない? 俺は人それぞれで、ってことだと思うよ♪」
「ワタシも思う。誰だってそう思う。」
「黙っていろ骨と肉食い。…というより貴様らも仕事はどうした!?」
キリッ、とかっこよく眉を立てたカリーナに対してため息を漏らすカルディナにポンと骨だけの手と赤茶色の手が両肩にそれぞれ乗る。
…また彼女らも人ではない。
「ソアラ、お前急患きたらどうするんだ!? それにカレン! 貴様も公務員なら仕事しろ!」
『アーアー、ナニモキコエナーイ。』
ソアラと呼ばれた女性骨だらけの両手を両耳に当てて塞ぎ、カレンと呼ばれた女性は右手で耳を穿ってカルディナのお小言を回避した!
…ソアラはスケルトンで歯医者を、カレンはグールで市役所勤めである。
「まぁ僕の場合仕事ないほうがいいんだけどね♪」
「あ、うん、いやまぁ…そうだが…」
その二人の様子に呆れていると横から呑気な声で突っ込みを入れられるカルディナ。
その横槍を入れた人物の職業を知っているからこそ何もいえなくなってしまうのだが…
「儲かってる〜? セリカ?」
「そうなのよー…この頃寒さのせいでポックリ逝く人が増えて棺桶がたりないn」
「黙っとけ腐人っ! そしていらぬ質問をするな悪霊めっ! 」
そう彼女セリカは葬儀屋です。
そして奥さんの「やーねぇー」と手を拱くような動作をすると…
ポトッ
「あらいけない! 接合が甘かったかしら? 」
「ちゃんと縫ってこぃぃぃ!!(怒」
『あー、今日も平和だわー(笑』
腕が落ちた…。
そう彼女はゾンビです。
どこか他人事のようにする態度にすかさずカルディナが突っ込みを入れるとその漫才みたいなノリを各自持っていたお茶(ホット)をすすりだすその他の面々。
「きゃはははは!! ふっひひひひ!! っ〜! っ〜〜!!」
「何だその笑いは! 下品にも程があるっ! この悪霊ルシーダめっ」
そしてそのコントめいたやり取りにバカうけして宙をふよふよ飛んでいるのはゴーストのルシーダ。
…そのあまりの下品さに初対面の頃から悪霊といわれても仕方ない。
「というより貴様っ! 年末年始は忙しいはずだろうがっ!!」
「…夢の国にも休暇って必要だと思うんだ…(ニコッ」
『(…こいつサボったな?)』
実は彼女、某夢の国にてスタッフをしているのだが…
「え、えっと…お、お願いします…」
「…なぁクレスタ? いつになったら私になれてくれるんだ?」
「っ! す、すいません…」
ルシーダに対してツッコミを入れているとカリーナの影からビクビクとしつつ顔を出してカルディナに宜しく挨拶をするものがお、まさに影が妥当な表現だった。
そのビクついている影へ近づいて膝を折り距離を近くしたカルディナはいつまでもおびえた眼差しを向ける彼女に声をかれるとその声にまたビクついて再びカリーナの後ろへ隠れて…否、影と同化してしまう彼女、ドッペルゲンガーのクレスタであった。
「あぁー脅迫ぅ? 弁護士さんらしくないなぁ〜(笑」
「おまわりさん、こいつです(笑」
「どれどれ? …ヴァンパイアですかぁー?(笑」
「うるさい死人どもっ! 車ださんぞっ!?」
そしてこのカルディナさん…吸血鬼なんです。弁護士なんです。
周りに小馬鹿にされて顔を真っ赤にする彼女は涙目で抗議するのであった…
「…む? カローラは?」
「あー…アイツなら…」
『夫とお楽しみ中。』
「…そうか、私は何も聞かなかった。何も、な…」
本来もう一人いるはずのマミーのカローラさんはとある企業のキャンギャルをしていたが今年の秋にめでたく結婚。
そのまま今年の冬は夫婦性活をいそしむということで今回の戦は辞退していたのだった。
…全員が静かに涙を流したのは秘密だぞ?
一通り挨拶(?)も済んだ彼女らはカルディナが用意した8人乗りのミニバンに乗り込む。
…乗り込むのだが…
「おい、カリーナ。」
「んぅ? 何さ?」
「なぜ貴様はスーツケースが2つもあるっ!? 邪魔なんだが!?」
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