『誰得・・・・これ・・・パ〜ト3』

「では島安芸(しま あき)警部補。態々遠方から宵ノ宮市への着任、ご苦労である。」
「はっ!」
「未だ慣れないであろう長旅からの疲れを癒してもらう為に今日及び明日は休暇とする。」
自分は・・・いやオレはちょっと色々な事情があって反魔物派市町村からこの街、親魔物派の最新鋭の街・宵ノ宮市へと左遷された身だ。

どんな事情か?・・・教えられないな!
・・・まぁあえて言うなら魔物娘は悪くないですよ、と公の場で発言しただけなんだがね。

ここに至るまでの経緯をさらりと言うと、こうだ・・・



ー/ー/ー/ー/ー/ー/ー/ー/ー/ー


電車に揺られて移動してここでの拠点の公営住宅に入り荷解きをしていたら早々に市役所へ呼び出されて役所に言ったらまぁ驚いた。

市役所の両隣に裁判所と警察署ですよ? 

しかも連絡通路でその3棟が全て繋がっていて・・・どれだけ外に出たくないんだよ?









・・・と思ってた時期が私にもありました。










市役所の受付嬢の五尾の妖狐で左薬指に指輪をはめている【古里瀬 陽】と名札のついた人に案内された市長室。
その扉の上にある木札を見てまぁ吃驚。

『宵ノ宮市最高裁判官裁判長・宵ノ宮市市長・宵ノ宮警察庁長官【禮前】』

・・・え、何この人?? どんだけ職務が好きなの? 馬鹿なの?
と心の中で愚痴を漏らしていざ入ってみるとまぁこれまた吃驚。
見るからに厳しそうなつり眉毛に凛とした表情でパリッとのりがしっかりした黒のスーツとスラックスを着た女の人が先程まで政務をしていたであろう書類の山が折り重なった机から徐にゆっくり立ち上がりコチラを見ながら話しかけてきたその人が市長なのは確実だが・・・

「はじめまして、島安芸警部補。私がこの街の治安全般を仕切っている黒妖狐の禮前だ。・・・ふぅ、休憩ついでに少し話し相手になってくれないか?」
「へ? は、はぁ・・・」
やたらと小さいのは術で小さくしているのだろう黒い尻尾を九本、ちんまりと腰につけて長く艶やかな腰まである黒い髪は日の光を反射しておりその頂点には天を突くように悪事一つ聞き逃さんと立つ一対の耳。
・・・黒い妖狐さんですか!?

「む? ・・・あぁ、私みたいな黒い妖狐は珍しいかな? まぁここいら一帯で黒毛の妖狐は私の血縁だけだからね。」
「は、はぁ・・・」
あまりの驚きで上官だというのにまともに返事ができないで居た自分をフフ、と小さく笑いながら凝り固まっていた肩をマッサージしつつ自分が思っていたことを的確に見抜いて質問を返してきたよこの人。
そのままオレ達は応接のソファへと腰を下ろすとここまで案内してくれた受付嬢の人が気を利かせてお茶を出してくれて「ありがとう。」と一言言う禮前様に習って礼を述べて茶を受け取る。
終始笑顔のこの受付嬢の人・・・凄く可愛いんですが?

「血縁といっても娘は三人、孫が二人だけだがな。」
いや、多くないですか!?
というか孫っ!?

「い、一体いつから生きているんですか・・・」
「ん? ざっと400年か?」
・・・え?
4、400年??
まだ侍のいた時代ですよね???

「まぁ、私みたいな妖狐はざらだ。まだこれでも若い部類だからな。500歳の子沢山の妖狐一家・・・たしか今年で娘が50人目の住民登録だったな。その他には真っ白な毛並みの1200歳の妖狐一家も居るし。興味があるならここから徒歩で15分位の北にある口逢神社にいってみなさい。」
わぁお、妖狐シティ♪
って口逢神社って全国的に有名じゃないですか・・・古参の神社として。
子沢山とか、見てみt・・・


ん? 待てよ?
そういえばこの市役所の受付嬢さんの苗字と同じ人と8人もすれ違ったぞ?
しかも全員妖狐・・・あれれ? まさか・・・っ!?


「あのぅ、もう戻っていいでしょうか?」
「ん? あぁ、すまないな陽。戻っていいぞ。」
「はい、禮前様。」
陽と呼ばれた妖狐さんは折り目正しく一礼すると市長室を去っていく。

「・・・もしかしてその子沢山一家の苗字って・・・」
「む? 感がいいな。そうだ、【古里瀬】だ。ウチの市役所でも10人ほど、警察署で5人、裁判所で2人、消防で1人いる。あと小中高大学校にそれぞれ教員として2人ずつだな。まぁ他にも古里瀬苗字の人はいるが一人の例外なくこの家族の血縁だよ。」
「・・・は?」
いやいやいやっ!? おかしいだろう!?
あ、ま、まさかその人数から察すると『あの建物』って、まさか?!

「え、えっと・・・ここに電車で来る途中に見える馬鹿でかい敷地の家が・・・」
「あぁ、古里瀬さんのところの家だな? アレだけでかいと何かと大変そうだったな・・・」
マジですか。
電車でここに来る途中で路線駅区間二つ分にあたる1kmかけてずーーっと見えてた白い大きな
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