『汗をかいたら・・・』

文明の利器が跋扈する近現代の都会。
電車が通るその上空をハーピーの郵便配達員が飛び、車行き交う車道を時折制服を着たコカトリスやケンタウロスが疾走するそんな世界。

その都会の住宅街の一角にてベッドに身を捩じらせて人参型の大きな抱き枕を抱きしめて苦悶の声を漏らすケンタウロスが一人いた。


「・・・どうしようかなぁ・・・」
はぁ、なんでココまで互いに奥手なんだろう・・・。
あたしは確かに稔(みのる)に告られたとき言ったさ?

『わ、わかった。君のその熱意に惚れたよ。・・・で、でも性交は暫く先だぞ!? い、いいな!!?』

あ゛あ゛ぁ〜!! あたしの馬鹿っ! 馬鹿ぁ〜っ!!
半年前に戻れるなら戻って自分に言う前に考え直せと説いたい。小一時間説教したい。
そんな軽はずみの照れ隠し的な発言を聞いた稔が律儀に守ってこの半年間というものキス止まり・・・

いや、稔のそういう律儀なところは大好きだけどさ?
でも・・・男は狼、っていうのに一向にてを出してくれないの。
はっ!? これが噂の草食系男子?!

・・・んぅ・・・幾度と無くあたしの方が耐え切れなくて露骨に誘惑とかしても反応が薄かったしなぁ。

「・・・よし、次がダメならあたしからイこう・・・」
むふふ♪ 絶対に稔から手を出させてみせるわ!
そして・・・

『むぅ・・・こんなに出して・・・ちゃんと責任は取ってもらうからな?』

きゃぁー♪ 稔に逆プロポーズとか!!
もう最高すぎるわっ♪
それでそれで・・・

『実は黙っていたんだが・・・あたしも稔のことが気になっていたんだが、まさか君から告白をしてくれるとは思っても見なかった。』

とか言っちゃってぇ! 相思相愛を強調してぇ!

『じゃあ今夜はたっぷり愛してあげるよ、菘(すずな)。』

いやぁーーん!! 極上すぐるぅ♪
ハァハァ・・・い、いけない・・・濡れてきた♪

「・・・ん、稔ぅ・・・んぁ♪」
やだぁ、気持c



バタン!



「ちょっと姉さん! 静かにしてよっ! 勉強に集中させてよぉ!」
「あ、あぁ・・・すまん・・・」
「さっきからドタバタ、ギシギシ五月蝿いのよっ! もぅ!」


バタン!



・・・あ、あぶなかったぁ〜

うん、妄想も程ほどにしよう。

「・・・ふふ、明日が楽しみだ♪」
なんといっても明日が決戦日だもの。
うふふっ♪

絶対に稔からてを出させて見せるわ!


・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

時は進んでココは公園の時計台の下。
ここでよくカップルが待ち合わせをするのだが菘も例に漏れず、ココを待ち合わせ場所としていた。
その場所にはすでに一人、背が小さめで顔が中性的な子が一人待っていて、しきりに左手の手首の内側にある文字盤を女性のような仕草で見てはソワソワと落ち着き無く立っている。

「ねぇ、彼女? 一人?」
「俺らとちょっと珈琲でものまない?」
いるところにはいるもので、この待ち人を果敢にもナンパしようとするどう見てもチャラい二人組みが近づきながらお決まりの誘い文句を囁くも?

「・・・あのぅ・・・僕、男ですが・・・?」
『『・・・!!』』
その発言にどれほどの衝撃が詰まっていたのだろうか?
そのナンパ男二人のみならず、周りにいた男を物色していたサキュバスや公園に自生していたドリアード、イチャラブしまくってるワーウルフのカップルなど見物していた観衆までもが衝撃を受けていた。

(う、嘘・・・あたしよりスタイルいいし!?)
(ば、ばかな・・・どう見ても女の子だろうJK)
(合法レズですね・・・(ジュルリ・・・)

・・・一部に不純な思考が混ざっていた気がするが、キノセイダ。
ナンパ男共はがっくりしてその男の娘からいそいそと離れ、変わりに遠くのほうから軽快な蹄がアスファルトを叩く音を響かせて徐々に気配が近づいてくるとその音の発生源は額に汗の珠を貼り付けて走るのを止めて急ぎ足で男の娘のところにやって来た。

「す、すまん。待ったか? 稔。」
「ううん、待ってないよ? 菘さん。」
ふむ、無事合流できたようなのでココからは菘の視点に切り替えることにしましょう。




「じゃあ、何処に行きましょうか? 」
「う、うむ。体をもっと動かしたいんだが・・・どこか無いか?」
いやぁん♪ 頬が勝手に緩むぅ♪
あぁ、はやく稔と会いたいからって早く起きすぎちゃったのがいけなかったかな?
性欲を抑えるために走りこんでいつの間にか万歩計につけた走行距離計測が120kmを差したときは吃驚したけど・・・
そして気付いたら待ち合わせまであと数分。

いやぁ〜焦った。
危うくスピード違反(公道を走るときは原付と同じ扱いなのよ♪)で捕まりそうだったけどなんとか振り切ってきた甲斐があったわ♪

っとと、嬉しさのあまり頬がまた・・・
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