待つしかないから・・・

私は物心がついた頃にはここにいた。ここは静かで、暗くて、そして寒い。何時からここにいるのか、何故ここにいるのか、そもそもここはどこかなのも分からない。その中で私がわかるのは、私の体は動かないことと私の首にかけられている首飾りが私の動作を完全に封印しているというだけだった。






私が物思いに耽っているとき、古びた屋敷の玄関が軋む音を立てながら一人のボロ雑巾のような衣服を着る少年が入ってきた。

(また来てくれたんだね。)

その少年は中性的な顔立ちを持ち、年は十四,五で背は恐らく私より少し低い。ここで恐らくと思ったのは私の体は座っている状態から動かすことができず、そのため私の直立した時の身長が自分でも分からないからだ。外から来た少年はゆっくりと私に近づいて私を正面から抱きしめる。冷たい石像の体が彼からの温もりを感じ取り私に何ともいえない心地よさが私を包み込む。その温もりに触れながら私は始めて彼とであった頃のことを思い出す。






私と彼が初めて出会ったのは彼がもっと幼いとき、多分四,五才ぐらいのときだった。幼い彼は何かから逃げるようにこの屋敷の中に入り、私の姿を見るなり小さな悲鳴を上げ目に涙を浮かべ、ぺたりと尻餅をつく。

(私ってそんなに怖いのかな? ちょっと傷つくな……)

だが、しばらくして私が動かない(正確には動けない)ことを理解すると、何を思ったのか私に近づき、私を抱きしめる。当時の彼の体は今の彼ほど大きくはなく、抱きしめると言うより縋り付くと言ったほうが正しい。

「……んっ……」

彼はそう呟くと硬い私の体に顔を埋め、静かに泣き始めた。先ほどの私の姿に怯えた時に見せた涙と違い、明らかに誰かを思うような涙であり気がついたときには一人で誰とも触れ合うこともなかった私にとっては羨ましく感じるものだった。結局、彼はどこかから聞こえる鐘の音が聞こえるまで泣き続け、鐘が鳴った後、目を赤く腫らしながらもこの屋敷を去り、それを見守る私は再び一人でここに佇むこととなった。

(また、いつか来てくれるかな……)

だが、彼はその後も間を空けながらも私の元へやってきては甘えるように泣き、鐘の音と共に屋敷から去る。その周期は彼が大きくなるにつれ短くなっていきやがて毎日来るようになった。






毎日来るようになっても彼は私を腕を回し抱きしめる。しかし彼の成長に伴って彼の行動は変化し始めていた。ある日、彼は何を思ったのか石像である私の胸をしゃぶる様に咥える。その様子は赤子が母から母乳をねだるような動作で、不思議と悪い気はしなかった。

(少し恥ずかしいけどね。)

いくら強く吸ったところで母乳は出ないと悟った彼は次第に胸全体に舌を這わせ、荒い息を吐きかけながらも彼は私を自分のものにするかのように唾液を塗りたくる。当然その快楽は私にメスの本能を植え付けるのには十二分すぎる効果を持っており、この時間がいつまでも続くように祈り続けたこともあった。だが、現実と言うのは非情らしく、いつも彼は鐘の音を聞けばすぐにその動作をやめ屋敷から出てしまう。

(あ……)

本当はもっと温もりを感じていたかった。本当は彼を追いかけたかっし、せめて別れの挨拶くらいは言いたかった。いつも彼が去る時自分の動かない身体が恨めしく思う。






それからしばらくして、現在、彼はどこからか性の知識を得たらしく、いつものように私を抱きしめた後、大きくなった手で私の体を滑るように触っていく。石の体である私の肌は明らかに生物の感触はなく、滑らかでありながら冷たい無機質な感触を彼に与える。一方、私はというと彼に触ってもらうことは動かない体を持つ私にとって唯一の快楽を得る手段であり、至福の時を感じ取ることのできる数少ない時間である。

(段々上手になってきてるなぁ……)

彼の愛撫が一通り終わると彼は決まって私の唇にキスをする。当然、私の唇は開くことが無くただ彼の唇が押し付けられているだけになるのだが。それでも彼は自らの唇を私のと重ね合わせ続ける。やがて彼は唇を離し、幼さを未だ残す顔はいつの間にか赤く染まっており、その瞳は恐らく彼の唾液が付着した私の唇をジッと見ていた。

(やっぱり君にじっと見られるのも恥ずかしいな。)

やがて、見ることをやめた彼は自分のぼろぼろのズボンを脱ぎ捨て、彼の股間を外気に晒す。彼のものは既にそそり立っており、辺りに幼いながらもオスの匂いを発している。もし、私が生身の体であれば、犯してもらうこともできたはずなのに、石のように硬い私の体は彼のものを受け入れることもできない。そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼は私の胸を舌を使って唾液まみれにすると彼のモノを私の胸に押し当てる。彼が性器を当てるときは必ずと言っていいほど胸を選ぶ。

(相変
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