「教団プレイがしたい」
それは空も薄暗く、時たま付近をうろつく小さな黒い太陽がアヘアヘ言いながら周囲を黒く照らす、いつも通りの平和な一日のこと。
家でぐうたらしていた時、唐突にある事を思いつき、それが口に出ていた。
俺がそう言うと、ベッドでうつ伏せになりながら雑誌を読んでいたサキュバスのサキナがこちらを向く。
その顔は、なんとも言えない微妙な物だった。
「教団プレイ……教団プレイかー」
一度目は下を向いてその言葉を確認するように呟き、二度目には思案に耽るように天井を見つめながら呟いた。
反応は悪くない。
というかこういうエロ関係の言葉に対して、反応が悪かったことはないんだが。
「正確に言うと教団の勇者とサキュバスプレイ」
「相手はサキュバス限定なのね」
「サキュバスじゃなくてスライムとかラミアとかスキュラとかの方がよかった?」
「ごめん、あたしが間違ってた」
自分で言っておきながら、サキュバス以外もいいな……と思ったが、口に出すとサキナに問答無用で搾られそうだからやめておく。
「まぁ、面白そうだしたまにはいっかー」
「サンキューサッキュン!」
「あんたそれが言いたいだけでしょ」
ということで。
俺はとある民家の前にいる。ぶっちゃけると俺の家である。
右手には柔剣しゃもじ、左手には剛盾なべぶたを装備し、一度息を吐いた。
そして、自宅と言う民家の玄関扉に手をかける。
「おい魔物! ここに隠れている「スキあり!」のぶふぉ!」
扉を壊さない程度に力強く開けながら入ると、横からタックルを喰らい、そのまま押し倒される。
俺の剛柔な相棒達が手から離れ、ついでに意識も手放しそうになる。
しかし、意識だけは何とか引き戻すと、気付けば俺の上に跨るサキュバスがいた。
「ふふふ、見誤ったわね……あなたが来ることなど想定のうち……」
「ちょま」
そしてその目は既に獲物を如何に美味しくいただくかという、情欲に溢れた物で理性など微塵も感じられず。
「ちょ、ストっ、ストップ、ストーップ!」
サキナにとっては想定内でも、俺にとってこの展開は想定外であるので、思わずストップをかけてみるが。
「待ったは無しよ……これは食うか食われるかの戦い……あなたは運悪く食べられる側になっただけ――精的な意味で」
全く聞く耳は持たず、むしろ舌なめずりをしながら、俺のズボンに手をかけて聖剣チンポを取り出そうとしてきていたので。
「スタァァァップ! サッキュンスタァァァップ!!」
過去の人生でも現在の魔生でも、恐らくここまで本気になったことはないレベルのストップを発動した。
「……なによ。今すごい盛り上がってるのに。もう盛り上がりすぎてぐちょぐちょよ」
「おいやめろ腰を揺らすな」
本当にぐちょぐちょじゃねぇか。
その音だけで射精三回いける気がする。
「で、なにがご不満?」
「俺の思ってる教団と違う」
教団の勇者は、何というか、もっと強くて、(性的な意味で)救われなくちゃあならないんだ。
「それなら今のタックルは避けるべきだと思う」
「俺の本職は教団勇者じゃねぇから! そこんとこ理解しろ!」
元々勇者の「ゆ」の字もない、おまけに街の外にも出たことねぇ民間人だった。
インキュバスになって変わったのは、絶倫になったことぐらいだし。
「勇者になれば?」
「おま……俺に死ねと?」
俺っちったら、もう立派な魔物ですよ。
教団に行ったら「こんにちはしね!」になるのが目に見えすぎている。
「大体あたしら魔物からしたらさー、教団の人間にはスキ見せちゃだめなのよ。下手したら死ぬから」
「いや、だからプレイだっつってんだろうが」
なんでこいつは本気の教団とヤり合う気になってんの。
魔物たちが本気出したら、俺なんて押し倒されてアヘらされるという、幸せだが望んでいない未来しかない。
「なに、どうして欲しいの?」
「率直に言うと俺にイニシアチブを取らせろ」
「なんだ、そういうことかー。なら実力で奪い取ってみなさい。それが魔物たちの掟。言ったでしょ――これは食うか食われるか、なのよ」
「あ、あねごぉ……」
イケ女なサキナさんに一生付いて行きたくなるが、既に俺達は一生モンだった。
「ってそうじゃなくてさ」
とりあえず俺の上から退いてもらって、相対しながらこちらの要望を提示してみる。
「サキナが教団に捕まって、捕まえられた勇者に拷問をかけられる、みたいなシチュがやりたいんだ」
「ほほぉ?」
「『さぁ……魔王の居場所を吐け……吐かないなら俺の聖剣がお前を貫くぞ……』みたいな」
そう言いながら、俺は腰をクイクイッと動かす。
「なにその性剣」
「こんな感じでいかがでしょう」
「うーん、ま
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