薄暗い部屋の中、一組の男女が一つの寝台を共にしていた。
一人は若い男で、もう一人は青みを帯びた肌の女だった。
「ふふふ、また動いたわ…」
膨れた腹を撫でながら、女が男に語りかける。
「今度はどんな子かしら?」
「さあね…ただ、君に似て美人な子だってのは確実だね」
「ふふふ、嬉しいわ…」
男の言葉に、彼女は身を摺り寄せ、彼の腕に乳房を押し付けた。そして、しゅるしゅると彼の両足に、寝台に乗っていた蛇身が巻き付いていく。
「おいおい、またかい?その子が生まれるまで、我慢するんじゃなかったのか?」
「ふふふ、我慢はするわよ。セックスのね」
彼女は蛇身と男の両脚を絡め合わせると、右手を彼の股間に伸ばした。
期待に半ば勃起した肉棒に指を絡め、コリをほぐすように指を動かす。しかし彼女のマッサージは股間の強張りを悪化させるばかりだった。
「変に我慢してストレス溜めるより、ほどほどに楽しんだ方がいいって言うじゃない?」
「そうだな。じゃあ、ほどほどに楽しむとするか」
男はそう言うと、顔を女に近付け、そっと唇を重ねた。
同時に彼女の乳房に指を伸ばし、優しく指を添える。
ヒビの入った生卵を握るよりも、もっと優しい力で、乳房に指を埋め、ゆるゆると揉む。
「ん…」
男の掌の温もりと柔らかな心地よさに、彼女は喉の奥から声を漏らした。
そして、お返しとばかりに肉棒を揉んでいた指を止め、屹立を握りしめ、男の口内に自身の舌を差し入れながら、肉棒を扱いた。
「んむ…」
「ぅん…ん…」
鼻にかかった吐息を漏らし、互いの唇を吸い、舌を絡め合う。
そして相手の乳房に、肉棒に指を絡めながら、二人は互いの肌を撫でた。
男の指に、彼女のしっとりと指に吸いつくような肌が触れる。
女の指に、彼の内側にたくましい筋肉を収めた、硬さと弾力を備えた肌が触れる。
首筋から肩へ、肩から二の腕へ、二の腕から脇腹を伝い、腰を擦り、腹をなぞる。
唇を重ね、目を閉ざし、身を寄せ合っていると言うのに、二人の手の動きはまるで、互いの身体の形を確かめようとしているようだった。
いや、事実そうだった。
側にいるだけで心地よさをもたらしてくれる相手の存在を確かめ、意識の奥深くに刻みつける作業を、二人はしていたのだ。
「ん…!」
男の指が乳首を擦った瞬間、エキドナが上擦った声を漏らし、身体を細かくふるわせた。
そろそろ彼女の限界が近いのだ。
男は、乳房に埋める指に僅かに力を込め、股間からジワリと這いあがってくる快感に素直になった。
エキドナは、強まった乳房への刺激に身を震わせ、肉棒を握る腕を少しだけ早く上下させた。
互いに与える快感が、相手をもっと気持ち良くしてやりたいと言う想いにつながり、自身の手を動かす。
音叉が共鳴し合うように、互いの興奮が高まり、互いの肉体が熱を帯び、絶頂が近づいてくる。
「…!…!」
唇の間から、どちらの物とも知れぬ呼気が漏れ、互いの自由な手が相手の身体を抱きよせた。
肉体と肉体が密着し、女の蛇身が男の足をきゅっと締めあげる。
瞬間、二人の内側で快感が弾けた。
ぶるり、とエキドナが身体を震わせ、男の肉棒から白濁が迸る。
互いを抱き寄せ合っていたため、男の絶頂の証は彼女の腹の間にへばり付き、熱をきめ細やかな肌に伝えた。
「………」
絶頂を迎えてもなお二人の間に言葉はなく、ただ唇を重ね、気だるい余韻に身を任せていた。
そして、汗がひき、男の放った白濁が熱を失ったところで、ようやく唇が離れる。
「ふふふ…こういうのもいいわね…」
唇こそ離したものの、身を寄せ合ったままエキドナは微笑み、腹を汚す粘液に指を伸ばした。
熱こそ失ってはいるものの、精液は未だ濃厚な臭いを放っており、指で触れれば指先に絡み付いた。
エキドナの愛撫と、男の興奮の証は、腹に注ぎ込まれれば新たにもう一人子を孕めそうなほど濃密だった。
「いただきます」
遅まきながら、彼女はそういうと、腹を濡らす精液を手で掬いとり、掌を口元に運んだ。
唇を窄め、自身の掌に接吻するように吸い付いた。腹から掌に移った精液が、彼女の喉を通り過ぎ、胃袋へと降りていく。
「ん…む…」
ずずず、と啜る音を立てぬよう、ゆっくりゆっくり精液を飲んでいく。そして最後に、掌を細く長い蛇の舌でなめてから、彼女は唇を離した。
「美味しかったわ…」
「それは良かった。俺も気持ちよかったよ」
二人は寝台の上で、身を寄せ合ったまま微笑んだ。
「ん…動いたわ…」
胎内の蠢きに、彼女はふと声を漏らし、膨れた腹に手をやった。
「お母さんとお父さんが仲良くしてるから、混ぜてもらいたいんだろう」
「ふふふ、仲がいいと言っても、ちょっとこの子には早すぎるけどね…」
「大丈夫だ。そっちの仲の良さは、しばらくは俺達二人だけのものだ」
エキドナの手の上に、自身の手を重ねながら、彼はそう続
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