「お嬢様、お嬢様…」
高い声が、耳を打つ。幾度も繰り返される声に、彼女は心地よいまどろみから引き上げられていった。
「んん…」
小さく呻きながら彼女は身を起こした。
何か夢を見ていた気もするが、もう思い出せない。
胸元までを覆っていたシーツをのけながら、彼女は伸びをした。
背中に届くほどの緩やかにウェーブのかかった金髪が、さらりと純白のネグリジェにこぼれおちる。
「ん…」
微かに眠気の残る目を開くと、分厚いカーテンが窓を覆い、高価な調度品の並ぶ部屋がぼんやりと目に映る。やがてぼやけた景色が焦点を結び、ベッドの傍らに立つ執事の格好をした少年の姿が視界に入った。
「おはよう、セフ」
「おはようございます、お嬢様」
彼女の言葉に少年、セフは一例と共に挨拶を返した。
「今日は、午後に旦那様がお戻りになられ、夕刻よりシトート氏と会食の予定が入ってます」
「そう、と言うことは午前中はゆっくりできるのね」
少年の告げた簡単な予定に、彼女はそう返す。
「いえ、会食のためのドレスの選定など、いくらかやるべきことがありますから…」
「分かってるわよ。それより、お腹がすいたわ」
「分かりました。朝食を運ばせます」
「そっちじゃないわよ」
一礼し、退こうとした少年に向けて、彼女は続けた。
「ほら、出しなさい」
「…はい…」
少年は彼女の言葉に顔を赤らめつつ、彼女に向き直ると、ズボンの前に手をやった。
そして、ズボンの合わせ目を開いて、年相応にやや小ぶりの屹立を取り出す。
色の白い包皮の先端が広がり、桃色の亀頭が半ばまで露わになっていた。
「……」
「何じっとしてるの?もしかして、私の手を借りたいのかしら?」
「い、いえ!」
少年は慌てたように頭を左右に振ると、肉棒に添えていた指で屹立を包むと、ゆっくりと動かし始めた。
「…」
少年の呼吸音と規則的な衣擦れの響く中、少女はじっと目の前で扱かれる屹立を見ていた。
見られている、という事実によるものか、少年の呼吸が荒くなり、頬が紅潮していく。
やがて、肉棒全体がぴくぴくと痙攣を始めた。絶頂が近いのだろう。
「そろそろね」
彼女はそう呟くと、少年の屹立に顔を寄せ、上目づかいに少年を見上げながら続けた。
「一滴でもこぼしたら…分かってるわね?」
高価なネグリジェに、シーツに彼女の肌。劣情を煮詰めた白濁で汚していいものは、一切存在しない。
少女は、白濁を放つ許可も兼ねて、少年の肉棒の前で口を開いた。
つつましげな形をした桜色の唇が上下に開き、濡れた舌が差し出される。
桃色の舌と口腔が晒された瞬間、少年は身を強張らせ、屹立を強引にそちらに向けた。
直後、少年の手の中で屹立が大きく脈動し、震えながら白濁をほとばしらせた。
ともすればあらぬ方へと迸りそうになる劣情を、少年は懸命に押さえ込み、少女の口腔に向けて放った。
突き出された下の上に、ぷりぷりとした粘液が積み上げられる。
「…っ…っ…っ…!」
セフは小さく声を漏らしながら文字通り精液を絞り出す。
やがて、肉棒の脈動が弱まり、射精が収まっていく。そして最後に、いくらか柔らかくなった肉棒を扱き、尿道に残った残滓も舌の上に搾りだした。
「はぁはぁ…」
荒く呼吸する少年をそのままに、少女は口を閉ざし、舌の上で白濁を転がした。
仄かな苦みを含んだ、噛めるほど固い粘液。
歯にまとわりつき、舌に絡みつく精液を、鼻腔へと抜ける香りと共に彼女は味わった。
やがて口内で転がし、たっぷりの唾液と絡めてから、彼女は喉を鳴らして嚥下した。
「ん…美味しかったわ…」
「はぁ、はぁ…ありがとうございます…」
少女の評価に、セフはそう返した。
「朝食は下で食べるわ。着替えるから準備しておいてちょうだい」
「は、はい!」
彼は肉棒をズボンの内へ収めると、朝食の準備をするためか部屋を飛び出して行った。
「……」
少女はしばしの間彼が出て行った扉を見つめると、ベッドを下りて衣装ダンスに歩み寄り、ネグリジェに手を掛けた。
ネグリジェの下から、雪のように白い肌が現れた。生まれてこの方一度も陽光に晒されたことのないような白い肌だ。
きめ細かい、最高の絹織物を連想させるその肌は、ある意味その通りであるといえた。
なぜなら、彼女はヴァンパイアであったからだ。
ダーツェニカの期限は、街道が交差したところで開かれていた市場だった。
街道をたどって四方から品物を抱えた商人が集まり、取引を行い、各々帰っていく。
そんな場所だった。
だが、市場の巨大化と共に、この土地に建物を建てて店を構える商人が現れ始めた。
そして、市場街を訪れる商人達も、そう言った店を構える商人を相手に、あるいは仲介役にして商取引を行うようになっていった。
この時、建物を築いた職人たちと店を構えた商人たちが組織したのが、市場での商取引を監
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