森の中を少年が歩いていた。大人たちからあまり奥に入るなとくぎを刺されていたが、遊んでいるうちに道に迷ってしまったのだ。
よく知る森の入口ならば、方角がわかれば森の外にも出られるが、少年にはどちらが村の方かすらわからなかった。
彼に出来ることは、出口を求めてまっすぐに進むことだった。
だが、行けども行けども木々は途絶えず、少年の体力だけが減っていく。
そして、ついに彼は木の根元に腰を下ろしてしまった。
ほんの少し休憩するだけ。そう少年は考えていたが、心のどこかで日が沈むのが先だと確信していた。
日が沈めば魔物が森を彷徨う。そうなれば少年の命はない。
木の根元に座り込み、呼吸を整えながら、少年は体を休めた。
すると、少年の耳にどこからともなく震えるような音が聞こえて来た。まるで、ハチか蝿のは音のようだ。
少年が目だけで音の方に顔を向けると、彼の表情が強張った。
視線の先にいたのが、ハチめいた装いの少女だったからだ。尻の後ろに黒と黄の縞で彩られた楕円を生やし、背中の羽で空を飛んでいる。ハチの魔物、ハニービーだ。
少年が見ていると、彼女はふと少年の方に顔を向け、一瞬の驚きを挟んでから笑みを浮かべた。
彼女は飛ぶ方向を変えると、少年の方へまっすぐ近付いてきた。
「うわあ…」
近寄ってくる魔物に、少年は逃げようとしたが、想像以上に脚を酷使していたためか、立ち上がることすらできなかった。
足を動かし、踵で地面を擦る少年の前に、ハニービーが降り立つ。
「こんにちは」
ハニービーは怯えた様子の少年に向けて、にっこりとほほ笑んだ。
「こんな森の中で人間を見るなんて思わなかったわ。どうしたの?」
安心させるように、彼女はそう言った。だが、少年は初めて見る魔物の姿に怯え、体を震わせるばかりだった。
「…道に迷ったのね」
土にまみれた少年の靴や衣服にくっついた木の葉に、彼女は少年の状況を察したようだった。
「うーん…ま、いいかしら…」
ハニービーはしばし悩んだように呻くと、少年の前に屈んだ。
そして、腰に結わえつけていた小さな壺に手を差し入れると、指先にねっとりとした黄金色の蜜をつけた。
「はい、お口を開けて」
蜜に浸した指を少年の顔に寄せる。
少年は魔物の行為に口をつぐんだまま、必死に逃れようと顔をそむけた。だが、ハニービーが顔を抑え、唇まで指を近づけたことで、彼は観念した。
唇を薄く開き、蜜の付いた指を受け入れる。
すると、少年の口内に甘みが広がった。
村でも味わったことのない、果物や花の蜜を濃縮させた、純然たる甘み。
強烈な甘みは舌から全身に広がり、体の奥を温め、疲労による手足の震えを押さえ込んでいた。
「噛んじゃ駄目よ」
いつの間にか指にしゃぶりついていた少年の耳に、ハニービーのたしなめるような声が届く。
だが少年は甘みに意識を犯され、半ば夢うつつとなりながら指をしゃぶり続けた。
指を逃さぬよう唇を締め、蜜の残滓を味わうべく舌を絡める。
爪の隙間や指紋の凹凸に舌の表面を押しあて、擦りながら唾液をまぶし、少しずつ嚥下していく。
僅かに残る蜜の味を求めて舌が、頬が、勝手に動いていた。
「はい、おしまい」
たっぷり数分、指先の皮膚がふやけるほど舐めさせてから、ハニービーは指を引き抜いた。
少年の口から小さな声が漏れ、糸を引きながら離れていく指を追おうと、彼の身体が僅かばかり前のめりになる。
「どう?少し元気になったでしょ?」
ハニービーの言葉に、彼はようやく自身の身体を満たしていた疲労が、少しだけ癒されていることに気が付いた。
このまま歩いて帰るのは無理だろうが、少なくとも一歩も動けないという程ではなくなった。
魔物が人間を助けてくれた、という疑問にも似た感情が、少年の心中に浮かんだ。
「さて、できればこのまま連れて行ってあげたいんだけど…ちょっとゴメンネ」
ハニービーは少しだけ困ったような顔をすると、謝罪の言葉とともに指を少年のズボンに伸ばした。
前の合わせ目を開き、その奥に手が差し込まれる。
「っ!」
「ごめんねー、ちょっとじっとしててねー」
突然の行動に驚き、身を強張らせる少年をなだめつつ、彼女はズボンから彼の性器を取り出した。
疲労した肉体が子孫を残そうとする本能に従ったためか、そこは屹立していた。
だが、ピンク色の亀頭は年相応に半ばほどまで包皮に覆われている。
「うん、元気になってるね」
ハニービーはにこやかに言うと、腰の壷に指先を浸した。
再び彼女の指先が黄金色の蜜に塗れるが、ハニービーは指を少年の口ではなく、屹立に伸ばした。
小さく震える肉棒に、少しだけ冷えた蜜が触れる。
「ひうっ!」
一瞬の冷たさに少年が身体を震わせるが、すぐに蜜に負けぬほど甘い喘ぎが彼の口からあふれ出した。
蜜に塗れた指が、少年の肉棒を擦り始めたからだ。
包皮越しに
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