染み入る粘体

草原の中を貫く、街道から少し離れた細い道を一人の少女が歩いていた。
軽装の皮鎧に腰に下げた剣は冒険者然とした装いだが、そのあどけなさの残る顔立ちのおかげで、微笑ましさの方が浮かんでくる。
だが彼女の足取りは、長距離を歩き慣れた者のそれであり、彼女がただの冒険者気取りの子供ではないことを示していた。
不意に、彼女の足取りが遅くなり、ついには止まった。
彼女の向かう先に、道幅いっぱい広がった水溜りがあったからだ。
ここ数日、雨は降っていない。仮にこの辺りだけ降ったとしても、道の土に湿った様子はない。
では、なぜこんなところに水溜りが?
ふと彼女の胸中に疑問が起こる。
しかし、彼女は数秒考えたところで、それ以上考えることをやめた。
水溜りの正体がわかったところで、水溜りが消えるわけではないし、避けるか飛び越えるかしなければならないことに変わりはない。
だとすればこんなところでぼんやりしているより、とっとと進んだ方が時間の節約になる。
彼女はそう考えると、道の端に寄って水溜りの脇を通り抜けることにした。
草むらに片足を突っ込みながら、水溜りを踏まぬよう迂回する。
だが、不意に彼女の足が止まった。
「?」
突然動かなくなった足を彼女が見下ろしてみると、そこには自身の足首を握る手があった。
細い指や手首は女のそれである。一瞬草むらに倒れていた女が、彼女に助けを求めているのかという考えが、少女の脳裏を一瞬よぎる。
だが、彼女の足首をつかむ手は青く透き通っており、なおかつ水溜りから生えていた。
道幅いっぱいに広がっていたのは、スライムだったのだ。
彼女がようやくその事実に至った瞬間、水溜りが膨れ上がり、少女に覆いかぶさってきた。
盛り上がった粘液が彼女の肩を突いて押し倒し、足首を握る手が彼女を道の中央へ引きずり寄せた。
そして、水溜りの中央で仰向けに横たわる彼女に跨るように、粘液が凝り固まって形を成していく。
やがて少女の視界に、自身の腹の上に跨る青く透き通ったロングヘアの女の姿が現れた。
歳は二十代半ばほどで、ある種の鋭ささえ感じさせる切れ長の目に細面の顔だちや、肩から腰へと続くスレンダーな体つきは彫像のようで、彼女が一瞬見とれるほど整っていた。
だが、そんな彼女の一瞬の思いも、彼女の肩を押さえる粘液がもぞりと動いたことによって掻き消えた。
粘液は彼女の身を覆う皮鎧の隙間に入り込み、皮鎧の留め具を外したのだ。
「や、あぁぁ!」
彼女は声をあげて粘液を振り払おうと四肢を動かすが、少女の抵抗も空しく、スライムはエビの殻でも剥くようにして、少女の身を守る皮鎧を引き剥がした。
長時間の歩行により、いくらかの汗染みが浮かんだ衣服が晒される。
だがすぐに彼女が横たわる粘液が衣服に染み込み、汗染みとスライムの区別がなくなった。
そして、彼女の衣服にまんべんなく粘液が染み入ったところで、スライムがもぞりと蠢動を始めた。
「ひゃ!?」
ひんやりとした液体が全身をくすぐる感覚に、彼女は裏返った声を漏らす。
スライムに襲われているという恐怖を解すように、スライムは少女を見降ろしながら彼女の衣服にしみった自身を操った。
腕を、太ももを、わき腹を、背中を、うなじを、粘液が擦り、くすぐっていく。
「あ、やっ…ん、ふっ…や、ぁ…」
緊張に硬直していた彼女の体が、スライムの愛撫に合わせて次第に弛緩し、少女の口から漏れる声も次第に甘く上擦ったものになっていく。
そしてズボンに染み入ったスライムの粘液が、自身とは異なる湿り気を少女の両脚の付け根に見つけると、彼女に跨る女がその口の端を釣り上げた。
粘液に体を撫でられるくすぐったさにいくらか霞がかかっていた彼女の脳裏に、自身がスライムに襲われているという事実が浮かび上がり、恐怖がかすかに蘇る。
しかしスライムは彼女の恐怖とは裏腹に、それ以上彼女の両脚の付け根を擦ったりするわけでもなく、全身への愛撫を再開した。
粘液に濡れる衣装の下で、うっすらと浮かんだ肋骨やへそを、布に染み入ったスライムが擦る。
冒険者向けのしっかりとしたつくりの衣装の繊維が、少女の柔らかな肌を刺激する。
「くふっ…ふ、ぅ…んっ…!」
かすかな愉悦の表情を浮かべるスライムの視線を受けながら、少女は懸命にくすぐったさとむずがゆさのもたらす快感を堪え、身もだえと喘ぎ声を押し殺そうとした。
だが、全身を苛む刺激は止むどころか、必死に耐えようとする彼女を徐々に蝕むようにその責めを強めていく。
皮膚表面を這いまわるむずがゆさが、背筋をくすぐりながら伝っていき、快感として脳に届く。
自然と少女の呼吸は荒くなり、じんわりと汗がにじんでくる。
すると彼女を包む粘液は、彼女の汗を舐めとるかのように波打ち、柔らかな刺激を更に彼女にもたらした。
「くひっ、ひっ、ひぅっ…!」
注ぎ込ま
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