毎年7月21日はオナニーの日!

 薄暗い部屋の中に、一人の少年がいた。部屋の扉に鍵をかけ、窓には厚手のカーテンが下ろされている。外光を遮られたやや薄暗い部屋の中、彼は机に向かっていた。
「はぁはぁ…」
 荒く息を吐きながら、少年は机の上に広げられた書籍に目を向けつつ、小さく体を揺らしていた。股間でいきり立つ分身を握りしめる手を上下させているからだ。
 彼は、自らを慰めていた。
「はぁ、はぁ…」
 少年の視線の先、机の上で広げられていたのは、何の変哲もない本だった。文字ばかりが並び、裸婦画はおろか挿絵一つ入っていない本だ。ただ、広げられているページの文字を見ると、不意の雨に登場人物の女性が濡れ、衣服が肌に絡み付いている様子が三文にわたって記述されているのが分かる。少年は、その描写をもとに登場人物の女性を脳裏に描き上げ、衣服が濡れたことで露になった彼女の曲線を夢想していたのだ。
 文章から脳裏に映像を描き上げる彼の集中力は尋常ではないが、彼としては本意ではなかった。金もなく年齢も足りない彼では、自身の性欲のはけ口として女はもちろん、裸体の描かれた書籍を買うこともできない。少年の抑えきれぬ性欲を少しでも発散しようとした、苦肉の策なのだ。
 女性の裸体など見たことのない彼にとって、想像できるのは衣服の上から思い描ける体の大まかな曲線ばかりであった。おかげで衣服越しにうっすらと透けて見える乳房の先端は、少年の薄い胸板に着いている物と全く同じで、股間に至ってはぼやけていた。
 見たい、見てみたい。少年は脳裏に描き上げた女性に迫ろうとするが、彼女の秘所を見ることはできなかった。少年の見たことのない物を描くことなどできないからだ。よって少年は身体の曲線だけで自身の興奮を煽り、自らを慰めることとなったのだ。
「はぁはぁはぁ…」
 少年の呼吸が荒くなり、徐々に右腕の動きも早くなっていく。少年の限界が近いからだ。彼の脳裏では濡れた衣服に身を包んだ女性が、自身の体を強調するように、身体を軽く揺すって見せた。女性の乳房が揺れ、少年の興奮が高まり、限界が近づく。
 その瞬間だった。

バタン!

 不意に大きな音を立て、施錠していたはずの扉が開いた。
「っ!?」
 不意の物音に少年が顔を扉の方に向けると、ちょうど三つの人影が部屋に雪崩れ込んでくるところだった。最後の一人が後ろ手に扉を閉めると、三人は少年と向かい合うように横一列に並んだ。
 金髪のポニーテールに赤髪のショート、そして黒髪のロングの三人組だ。歳の頃は十代半ばほどで、身長は少年より一回り大きいぐらいだ。三人とも丈の短いスカートとシャツを身に着けており、太ももやへそを惜しげもなく晒していた。やたら露出度の高い、同年代の少女たちの格好に少年は目のやり場に困るが、そんな悩みなどたちどころに消えてしまった。三人ともこめかみのあたりから角を生やし、腰の後ろほどに尻尾と蝙蝠のような羽を広げていたからだ。
「お待たせしました!」
「寂しい夜のお友に!」
「オナニー応援隊、サキュバスチームでーす!」
「「「こんにちわー!」」」
 三人は最後に口をそろえてそう言うと、ポーズを取った。彼女たちの手に持ったポンポンがこまかく振られ、小さく音を立てる。
「え、えっと…」
 少年は三人を前に困惑した。突然の乱入に驚いたのはもちろん、三人の名乗りが理解できなかったからだ。
 彼女たちの言葉を信用するならば、三人はオナニー応援隊とやらなのだろう。だが、オナニー応援隊とはいったい?疑問符が少年の脳裏で乱舞する。
「………お待たせしました!」
 しばしの間をおいて、中央に立っていた金髪の少女が再び口を開いた。
「寂しい夜のお友に!」
「オナニー応援隊、サキュバスチームでーす!」
「「「こんにちわー!」」」
「こ、こんにちは…」
 三人の再度の名乗りに、少年は戸惑いつつもそう応えた。応えなければいけないような雰囲気だったからだ。
「はい、私たちは青少年の健全な性生活を目指す、オナニー応援隊です!」
 どうやら彼女たちも少年の返答を待っていたらしく、ポーズを解きながら解説を始めた。
「思春期の性欲と知識の不足による、間違ったオナニーや犯罪まがいの行為を防ぐため、オナニー応援隊はいます!」
「今日は、あなたのオナニーを応援するためにやってきました!」
「「「私達で、正しく気持ちよくすっきりと!」」」
 三人が同時に声を上げた直後、左右の赤髪と黒髪が素早く移動し、少年の隣に立った。
「え?」
「準備完了!」
「オナニー応援!」
「スタート!」
 突然の彼女たちの行動に、少年は左右に顔を向けるが、三人は構うことなく声を上げた。
「「「そーれそれそれ!」」」
 掛け声とともに、金髪の少女が踊り始めた。
「がんばれチンポ!」
 足を交互に高々と上げ、短いスカートの内側を惜
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