「いい天気だね」
「ああ」
青空の下、私は車いすを押しながら、彼女の言葉にうなづいた。
「こう、さわやかな天気だと、軽く運動して気持ちよく汗をかきたいものだ」
車いすに腰掛けた彼女が、空を見上げる。
「運動といったって、お前はあまり地上じゃ動けないだろう。それともあれか、泳ぐのか?」
「ははは、なにを言っているんだ、君は」
彼女は軽く首をひねり、俺の方をみると、赤い帽子と桃色の髪の下でニヤリと笑みを浮かべた。
「青空の下、気持ちよくセックス・・・青姦さ」
「そうか、そうだよなあ。お前が気持ちよく、なんて言った時点で気がついているべきだった」
彼女はメロウ。桃色の髪の毛と同じく、頭の中も桃色なのだ。
「お褒めに与り光栄だよ」
「褒めてはいないが、貶してもないからな」
「そうか、それはよかった」
彼女は顔を正面に戻し、こくこくと頷いた。
「それで・・・青空のもとで気持ちよく姦淫、つまり青姦が駄目なら、僕はなにをして汗をかけばいいんだい?」
「そうだなあ・・・」
車いすを押しながら、私は考えた。
メロウは人魚型の魔物のため、陸に上がる際はこうして車いすや荷車に乗せる必要がある。
今こそ私が車いすを押しているが、車いすになれた彼女ならば、一人で車輪を操ることもできる。
ならば、多少の身動きする運動ならば、できるはずだ。
「うーん・・・テーブルテニス、とか・・・?」
「テーブルペニス?テーブルを使うのか」
「テーブルは使うが、チンコは使わない」
一言否定してから、私は簡単にテーブルテニスについて説明した。
「なるほど・・・二人で手にしたモノを使って、タマを叩き合うのか」
「おおむねその通りだから、私はなにも言わない」
「むぅ・・・」
彼女はなぜか呻いた。
「でも・・・テーブルの幅によっては、結構身動きしなければならないんじゃないかな?こう、テーブルの横に回り込む必要もありそうだし」
「その辺は、お前の側の左右の縁に壁をつけるとか、ハンデがあっていいだろう」
そうすれば、車いすに座ったままの彼女でも、テーブルテニスを楽しめるはずだ
「僕としては、そう言うハンデをつけてもらうよりも、君と二人で楽しみたいんだけどね」
「もちろん私が相手する。いっておくが、テーブルテニスの話だからな」
先回りして言うと、メロウは一つ頷いた。
「わかってる。というより、君が僕の相手をしてくれるんじゃなくて、君がサポートしてくれるとうれしいんだ。こう、今みたいに車いすを押して、僕を移動させてくれないかな?」
「それって、結構難しくないか?」
自分の足で、テーブルを跳ねる球を追うのと違い、私が車いすを押しては思うように動けないだろう。
「難しくてもいい、二人で楽しめれば、それでいいんだ」
彼女は顔を私の方に向け、腕を伸ばして車いすを押す私の手に触れた。
「それに、共同作業というのはなかなか興奮するものだよ、昼も夜もね」
「お前の言う共同作業って、昼も夜も同じ内容じゃないか」
「そう言う説もあるらしいね」
指の感触を私の手に残し、彼女は手を下ろした。
「ほかにいい運動はないかな?二人で楽しめそうなの」
「そうだなあ・・・水泳とか」
「水泳?確かに浜辺ならば僕も体が濡れて力がでるけど、砂が入って痛いんだよ」
「普通に泳ぐだけだからな。砂は入らない」
どこに、とは明言しない。
「うーん、でも泳ぐなんて慣れているし」
「じゃあ、私に泳ぎを教えてくれないか?もしくは二人で海中散歩」
私はある程度泳ぐことはできるが、本格的に長距離を泳ぐことはできない。
だが、彼女がサポート役についてくれれば、心おきなく泳げるではないか。
「海中散歩かあ・・・うん、いいね」
海の中を二人で泳いでいる様子を思い浮かべたのか、彼女が楽しそうに声を漏らす。
「日の光が降り注ぐ青い海の中を、二人で泳ぐ。もちろん君は、水中呼吸の魔法をかけているから、息継ぎのために海上に戻る必要はない。色とりどりの珊瑚をみたり、魚の群を眺めたり・・・」
「うん、いいじゃないか」
泳ぎの練習ではなく、海中散歩の方がメインになっているが、それはそれで楽しそうだった。
「そして泳ぐのに疲れたら、すこしそこに潜って、岩場の影に並んで座って休むんだ。持ってきていたお弁当を食べて、ぼんやりと水流が肌をなでるのを感じて、ゆっくり過ごす。そうしていると、何となくそう言う気分になってくるはずだから、そのまま青い海の底で姦淫、つまりは青姦さ」
「そうなる前に散歩再開だ」
「ちぇー」
私の言葉に、彼女はつまらなさそうに言った。
「しかし、何でお前はこう・・・口を開けばペニスにおっぱいにヤるだのするだの・・・」
「なんでって?楽しいからさ」
彼女は心底楽しそうに、くすくすと笑った。
口を閉じていれば美人なだけに、発言のひどさとの落差が、彼女の残念
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