(72)ダークスライム

魔界の縁、まがまがしい形の草が生い茂る平原に、水音が響いていた。
あたりに川や池はない。だがよく見れば、草の真ん中に青黒い水たまりが一つあり、その中に鎧をまとった人物が一人転げているのがわかる。
「んぶ、ぷはっ、はぁ・・・!」
鎧に身を包んだ人物が、自身の背丈ほどの円を描く水たまりの真ん中で、溺れていた。
それもそのはず、青黒い液体は鎧に絡みつき、もがけども離れようとしなかったからだ。
すると、鎧の右肩のあたりにへばりつく液体が膨れ上がり、何かの形を作る。
現れたのは、青黒い少女の頭だった。
「うふふふ、びっくりしたわ・・・あなた、女の子だったのね・・・」
青黒い少女の頭、ダークスライムの頭部が兜の傍らでささやくと、水たまりから伸びた腕が面当てを剥がした。
目穴と呼吸用の穴だけが開けられた、無機質な金属面の下から現れたのは、苦しげに眉根を寄せて喘ぐ少女の顔だった。
「く、この・・・!」
鎧の少女は、悔しげにうめいて握り拳を肩口のダークスライムに向けて叩きつけた。
しかし、籠手に覆われた彼女の手が、ダークスライムの頭部を打ち砕いても、青黒い粘液は離れなかった。
「ふふふ、水を殴りつけてどうにかしようだなんて、おもしろい娘ねえ」
水たまりに膝をつく、鎧に覆われた少女の足の間から、ダークスライムが頭を出した。
「この、しぶといスライムが・・・!」
スライムはある種の打撃に弱い。だが、このダークスライムには全く攻撃が通じていなかった。
少女の打撃ではほとんど損傷を与えられないほど、このダークスライムが馬鹿げた体力を有しているのか、それともそもそもの攻撃方法が間違っているのか。
「ふふ、そのスライムにヤられちゃっているおバカさんは誰かしら?」
「ひぐっ・・・!?」
ダークスライムがくすくすと笑うと同時に、鎧の少女が体を震わせた。
鎧の内側に染み入った青黒い粘液が、彼女の地肌を撫でたからだ。
冷たそうな外見とは裏腹に、以外と温もりのある粘液が、彼女の肌をさする。
指や手のひらでは再現できないほど柔らかく、唇や舌では覆えないほど広い範囲を、粘液が撫でる。
生来の敏感な体質のため、肌を撫でる風を遮るための鎧を纏っていたが、この年期には全く効果がなかった。
肌から神経へ、神経から脳髄へ、柔らかな刺激が少女の頭に注ぎ込まれる。
「ふぁ・・・あぁ・・・!」
「なぁに?もう感じてるの?」
先ほどまでの嫌悪感が消えてしまった少女の声に、ダークスライムはクスクス笑った。
「もしかして、魔界に来たのもこうされるのが目的だったんじゃないの?」
「ちが・・・あぅぅ・・・!」
魔界の調査という崇高な目的を小馬鹿にされ、抗議の声を上げようとした彼女が、不意に背筋をそらした。
彼女の背中にへばりついた粘液が、彼女の背筋をなぞり上げたからだ。
ゾクゾクするような、寒気にも似た感覚が背筋をかけ上り、少女の体を震わせる。
「誤魔化しちゃだめよ・・・ほら、ここもこんなになってるじゃない」
「あぁぁぁっ!?」
胸当ての下で、僅かな隙間に入り込んだ粘液が、彼女の乳首を摘んだ。
年相応の、まだ固さの残る乳房の先端に加えられた力は、そう強いものではなかった。
だが、唇で軽く挟まれた程度の刺激であっても、少女の口から喘ぎ声を絞り出すには十分だった。
粘液が乳頭に圧力を加えたまま、ゆっくりと渦を巻く。
敏感な桃色の肌を撫でる粘液の感触は、乳房から痺れとなって前進に広がり、少女を苛んだ。
「んんんっ・・・!」
歯を食いしばり、唇を横一文字に結んで、彼女は口から喘ぎ声が漏れないようにした。
あくまで、これは肉体が反応しているだけ。自分は感じてなどいない。
必死に自分に言い聞かせ、ダークスライムの愛撫を受け入れぬよう、彼女は必死にあらがった。
「我慢するのね・・・あまり体によくないわよ・・・」
青黒い水たまりから、少女を見上げながら、ダークスライムは鎧の内側に入り込んだ自信を操った。
少女の全身を濡らす粘液の一部が、小さく動いた。少女の肌を撫でるわけではなく、ただ軽く圧迫するだけの、小さな動きだった。
だが、胸部に走った刺激は、彼女を仰け反らせた。
「っ・・・!?」
胸を両手で掴まれ、もまれるような粘液の蠢きに、声こそでなかったものの少女の唇が緩む。
同年代の少女のそれに比べれば薄いものの、まだ発展途上にある乳房を、粘液が手のひらで包み込むように、優しく揉んだ。
圧力を乳房に加えつつ、肌と接する面を波打たせ、乳房の芯に残る固さをほぐしていく。
「・・・っ・・・ん・・・!」
胸への不意の刺激に緩んでしまった唇を引き締め、声をかみ殺しながら彼女は耐えた。
屈服してはいけない。心を折ってはいけない。勝機は必ず訪れる。
その時まで、耐えるのだ。
「ぐっ・・・く・・・ぅ・・・!」
乳房全体をゆっくりと
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