(51)河童

沼のほとり、開けた土の上に二つの人影があった。一つは人間の少年で、もう一つは河童のものであった。
二人を囲む地面には、大きな円が描かれている。土俵代わりの円だ。
少年と河童は、相撲を取っているのだ。
辺りの地面には、数度土を蹴った跡が残っており、河童の方が少年より頭一つ分は大きいにも関わらず、二人の間で数度の取り組みが交わされたことがわかる。
そして、河童の濡れた肌やあたりの湿った地面で汚さぬようにするためか、少年は着物を脱ぎ、褌も身につけていなかった。
「さあ、見合って見合って・・・」
河童がそういいながら腰を屈めると、少年もゆっくり腰を落とした。
左右に開く彼の両足の間で、年相応の屹立が小さく揺れる。
河童は、手のひらに収まるほどのそれを一瞥して、軽く唇を舌で湿らせてから続けた。
「はっけよい・・・のこった!」
少年と河童が同時に動き、円の中心でぶつありあう。
「のこった!のこった!」
河童はそう繰り返しながら少年の腰をつかみ、ぐいぐいと体を押しつけた。一方少年も、河童に負けじと両足を踏ん張り、体全体を押しつけていた。
しかし、河童の組み方があくまで相撲のそれであるのに対し、少年はまるで河童にしがみついているようであった。
事実、彼の手は河童の腰ではなく、背中に回っており、彼の顔は河童の乳房の間に埋まっていた。
「のこった、のこった」
片手ですくい上げられるほどの乳房の間を撫でる熱い吐息と、太腿にぐいぐいと押しつけられる肉棒の感触に、河童は軽く微笑んだ。
元々、人間と河童では力が違う上、少年の組み方はただ抱きついているだけだ。彼女がそうしようとしない限り、負ける方が難しかった。
「のこった」
彼女は少年にしばし自分の体を許すと、右足を動かした。地面を踏みしめ、彼の体を支える左足を軽く払ってやる。すると、ぎりぎりのところでつりあっていた少年の体が、動き始める。
ぬるぬると独特のぬめりを帯びた河童の肌を、少年の手が滑り、太腿を肉棒がこする。垂直に力を加える分には問題ないが、一度横滑りしたが最後、河童の体にしがみついて姿勢を立て直すことはできない。
驚きに少年の呼吸が乱れ、彼の顔が乳房の間から腹へと滑り落ちていく。そして少年の手が河童の尻に達し、彼の鼻先がへそに触れたところで、彼の右足が折れて膝が地面にふれた。
「はい、きまり」
少年の腕の輪から、ぬるりと滑り抜けながら河童が微笑んだ。
「これで、六戦六勝だねえ」
「あ、あぁ・・・」
河童の肌のぬめりを身につけたまま、少年が震えた声を漏らす。
「じゃあ、六回目、がんばろうか」
「も、もう出ないよ・・・」
「何言ってるのよ。勝負をやめたかったら、取り組みの前に言いなさいよ」
河童はいくらかあきれたといった様子で少年を見下ろした。
そう、二人は賭をした上で、相撲を取っていたのだ。
少年が勝てば、一年の間河童を家来代わりに自由にできる。しかし河童が勝てば。
「キュウリ一年分か、あんたの精一発。負けたんだから、どっちか出してもらうわよ」
「うぅ・・・」
少年は観念したように声を漏らした。河童の家来がいれば、友達に自慢できると思って応じたこの勝負、繰り返すべきではなかったのだ。
しかし、後悔しても後の祭り。少年はおとなしく、取り決めに従うしかなかった。
「それで、どっち?キュウリ?」
「ち、ちんちんで・・・」
キュウリ一年分など、少年が胴がんばっても用意できるはずもない以上、河童に捧げるものは決まっていた。
「じゃあ今度は、地面に両手と両膝をつけて。四つん這いに」
「こ、こう・・・?」
河童に命じられたまま、少年はその場に四肢を着いた。
「両足をもう少し開いて。そう、そのまま・・・」
河童は少年の後ろに回り込むと、ごろりと地面に仰向けに横たわり、少年の膝の間に頭を差し入れた。
「え?何・・・?」
「あんたは前見てなさい」
河童の行為に、とっさに振り向こうとした少年を、彼女は制止した。
少年は、視界の外で何をされるかわからない不安に苛まれながらも、どうにか視線を前方に向けた。
「ふふふ、出ない出ないって言いながら、元気じゃない」
先ほどまで、自信の太腿に押しつけられていた屹立に、河童は指を触れさせた。
「ん・・・!」
不安感と無意識のうちの期待が、少年の屹立を小さく震わせた。
彼女は一度自分の体を手のひらでこすると、肌ににじむぬめりをたっぷりと手に塗り付け、肉棒を握った。
そして、にゅるにゅるとぬめりを塗り付けながら、手を上下に動かした。
「あぁ、あ・・・!」
ぬめりごしに、彼女の柔らかな手のひらが少年を刺激する。やや皮があまり気味の竿も、控えめな膨らみの裏筋も、剥き慣れていない桃色の亀頭も、いっしょくたに粘液が包み込み、柔らかな摩擦を加える。
少年の股間から、むずむずした感覚が腹の奥へと這
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