「まったく、いい格好ねえ」
目の前に立つダークエルフの言葉に、私は奥歯を噛みしめた。
頭の中でぎりり、と歯の擦れる音が響くが、手足を縛られた状態でいすに座らせられているという状況に変化はない。
私がいるのは、地下牢めいた一室だった。石積の壁が私の左右と背後を囲んでおり、前方は黒いカーテンで仕切られていた。
そして、カーテンを背にするように、浅黒い肌のダークエルフが立っていた。乳房の下半分と先端を隠す程度の布を胸に巻き、股間をかろうじて隠す程度の下着を太股と腰の境に食い込ませる、淫らな格好をしている。
だが、その一方で私は全裸でイスに座らせられ、両手を背もたれに、両足をイスの足に縛り付けられており、ダークエルフより酷い痴態をさらしていた。
「あら、その目は何かしら?久々の姉妹の再会だっていうのに」
「黙れ。自ら魔に身を投じたお前なんか、私の妹じゃない・・・!」
私と全く同じ顔をした、かつて双子の妹だったダークエルフに、私はそう告げた。
すると彼女は、くすくすと笑った。
「何がおかしい!?」
「いえ、だって・・・エルフの里から追い出されたのに、自分は一丁前のエルフだって顔してる姉さんがおかしくて・・・」
ダークエルフの言葉は、私の胸に深く突き刺さった。
「ち、違う・・・私は、遅かれ早かれお前のようになると思って、みんなに迷惑をかけぬよう自分の意志で・・・」
「そうね、自ら魔に身を投じたわけね・・・私みたいに」
ダークエルフの指摘は、私の言葉を詰まらせた。
「そのくせ、ダークエルフの集落にやってくるほどの度胸もなく、孤独感に苛まれて人里近くに住み着いて・・・もう少ししたら、体の疼きを癒すために、夜な夜な人里に降りてたんじゃないの・・・?」
「ち、ちが・・・」
私の言い訳を先回りして潰すダークエルフに、私はただ否定することしかできなかった。
「じゃあ、あなたが森で会っていた男はなに?」
「っ!」
ダークエルフの指摘に、私は口から心臓が飛び出そうなほど驚いた。
「なぜ彼を・・・」
「ふふ、山菜摘みやキノコ狩りにかこつけて、週に三度も会っていたらわかるわよ」
ダークエルフの言葉に、私の脳裏で彼との日々が浮かび上がった。きわめて危険な毒キノコを採ろうとしていた彼を偶然見つけたのが始まりで、それから食べられる山菜やキノコを教えつつ、一緒に山を歩いていた。
だが、私たちはそんなに会っていたのだろうか?ダークエルフの指摘に、必死に思い返すが、否定しきるだけの材料はなかった。
「今はまだ手も握ったこともないみたいだけど、そのうち彼でキノコ狩りしちゃうつもりだったんでしょ?きゃーやらしー」
「ち、違う・・・!私はそんなつもりじゃ・・・」
「そうね、いつも姉さんが正しくて、周りが悪いのよね。だから今度も、あの男が我慢できずに襲ってくるまで待ってたんでしょ?」
ダークエルフは言葉を紡ぎながらカーテンから離れ、私の方に歩み寄ってきた。
「里を追い出されたのも、双子の妹がダークエルフになったから。あの男と会っているのも、彼が一人じゃ山菜もろくに採れないから。そしていつ襲われるかわからないのに度々会っているのも、彼がそんなことしそうにないように見えるから」
私の眼前で腰を屈め、顔を覗き込みながら、彼女は続けた。
「そうやって、自分はいつも正しいと思っているのよね」
「そんなつもりじゃ・・・」
「いや、悪いって言ってるわけじゃないのよ。むしろ自分が何もかも悪いって思いこむよりずっといいわよ。ベリグー」
親指と人差し指で円を作り、残りの指をまっすぐ伸ばしながら、彼女にっこりほほえんだ。
「だから、これから私がすることも、淫乱で邪悪で自ら魔に飛び込むような愚かな妹がやることだから、気にしなくていいの」
直後、彼女は指を伸ばし、私の肌に触れた。
「っ!」
「ふふふ・・・」
彼女は笑みを浮かべながら、私の方や背中、二の腕を指で撫でていく。私は一瞬驚いたものの、身をくねらせ肩を揺らし、彼女のくすぐりから逃れようとした。しかし、ダークエルフは私の動きにあわせて巧みに手を移動させ、肌から指先を離そうとしなかった。
徐々にむずがゆさとくすぐったさが肌に生じ、少しずつ体内に浸透していく。
彼女の指が触れた部分がじわり熱を帯び、血流とともに広がっていく。
「やめ・・・なさい・・・!」
体内に広がりつつある感覚に、私はいやな予感を覚えながら、ダークエルフをにらみつつうめいた。しかし、何の意味もない私の視線に、彼女は笑みを絶やさなかった。
「いやぁよ、もうすぐで掘り起こせそうだって言うのに」
「掘り・・・?ひっ!」
彼女の発した言葉の真意を捉えかねていると、ダークエルフの指が肩から鎖骨をくすぐり、乳房の脇を滑っていった。肌を滑るくすぐったさに、思わず声を漏らしてしまう。
「ふふ、やっぱ
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