(32)ワーラビット

「しにそう」
民家の一室、食卓に着くワーラビットが、平坦な声でそう口にした。
彼女の前には、野菜サラダや蒸し野菜、野菜スープなど野菜を中心としたメニューが、『二人分』並べられていた。
「しぬ・・・しにたい・・・しにます・・・」
腰にぶら下げていた懐中時計を手に取り、少しずつ進む針を見つめながら、ぽつりぽつりと彼女は呟いた。
目元には涙が滲んでおり、頬へと溢れ出すのは時間の問題だろう。
「・・・・・・しにました・・・・・・」
懐中時計の放つ小さな音にかき消されそうなほどか弱いささやきが、彼女の口から溢れた。
「ねえ・・・」
懐中時計の、二本の針に向けて、ワーラビットはふと口を開いた。
「どうして僕を置いていったの・・・?」
ぐるぐると回転する二本の針。一日に幾度も追いつき追い越されを繰り返す、長針と短針。離ればなれになってもいずれ二本の針は重なり会うし、そもそも時計の中心では針の根本はいつも一緒だ。
だが、自分はどうだろう?
「何でつれていってくれなかったの・・・?」
「それは出掛けた先が、斜向かいの酒屋だからだ」
横からの声に、彼女は勢いよく丸めていた背筋を伸ばし、玄関に目を向けた。
そこには、紙でくるまれたワインのボトルを手にした男が、一人立っていた。
「ただい」
「お帰りお帰りおかえりぃぃ!」
男が帰宅の挨拶をすませる前に、ワーラビットは立ち上がり、玄関に向けて走った。
そして、彼の数歩手前で勢いよく床を蹴ると、彼女は男の長身にしがみつくように抱きついた。
「お帰りお帰り寂しかったぁ!」
「ああそうだな。五分は長かったな」
小柄なワーラビットを抱きつかせたまま、彼はスタスタと食卓に歩み寄り、今し方買ってきたワインを、テーブルの上に置いた。
「もう離さない!どこにでも付いていく!ずっと一緒!」
「せめてトイレぐらいは一人にしてほしいなあ・・・」
ワーラビットの宣言に、男はそうぼやくと、しがみつく彼女をなだめようとその頭に手を触れさせた。
すると、必死にしがみつくその小さな体が、不意に強ばった。
「きゅふぅぅぅぅんっ!」
甲高い声を上げ、ワーラビットは身体を震わせる。そして、しがみついたままではあるものの、くたりと力を抜いた。
「あ、あぁ・・・イっひゃったぁ・・・」
とろんとした瞳で、男を見上げながら彼女はそう言った。
「僕にしてぇ・・・」
「食事と風呂の選択肢はないのか」
ふにゃりとした口調に、男は思わずそう言った。
「おねがぃ・・・もう、我慢できないのぉ・・・」
ワーラビットは足を男のそれに絡ませ、腰を押しつけながらそう懇願した。
「夕食の準備が整っているんだけど・・・」
「ごはんはあと・・・僕が先ぃ・・・」
どうやら満足させないと、食事は無理なようだ。男は小さくため息をついた。
「わかった。じゃあ、寝室に」
「今、ここでして・・・」
ぐりぐりと両足の付け根を男の足に押し当てながら、彼女が言う。
男は食卓に向けられていたいすを引き寄せると、向きを変えてそこに腰を下ろした。
ワーラビットの両脇に手を差し入れ、子供でも抱き上げるような様子で、自分の膝の上におろしてやる。
ワーラビットの身体は軽く、膝にはほとんど重みが感じられない。
「ふにぃ・・・」
彼女の両脇から手をはずすと、ワーラビットはふにゃりと男にしなだれかかった。
衣服の上から男の胸板に顔を預け、ゆっくり、深く呼吸する。
「いいにおい・・・」
衣服越しの男の体臭に、彼女はうっとりと呟いた。
「やさしいにおい・・・だいすき・・・」
「そうか」
彼女の言葉にむずがゆいものを感じながら、男は短く応えた。
すると、再び催してきたのか、膝の上のワーラビットが小さく腰を動かし始めた。
男は彼女の背中に手を触れると、そっと撫で擦りながら手を下に移し、上着の下の、柔らかな白い毛に覆われた下半身に触れた。
体格の割に大きな尻に触れると、彼女の身体が震える。
男は小さく揺れる尻を数度撫で回すと、柔毛の奥で尻が柔らかに指を受け止める。
彼は微かに力のこもる尻を解すように指を這わせ、少しずつ下へ下へと手を移していく。
尻のカーブを乗り越え、触れている部分が尻から太股へと呼び名が変わる寸前で、彼は大きな二つの盛り上がりの谷間へ指を差し入れた。
浅い谷間の中程で柔らかな毛がなくなり、すべすべとした肌が指を受け入れる。
そして、肌をくすぐりながら谷間の底へたどり着くと、ひくつく窄まりが彼の指に触れた。
「ひくっ・・・」
指先の感触に、ワーラビットは声を漏らした。
男は彼女の肛門の周りを、ゆるく一周するようにくすぐると、自身の膝と彼女の尻の下に指を差し入れる。
二つの内股と、男の膝が作り出す、ごくごく僅かな隙間は、熱と湿り気を帯びていた。
男は柔らかな三角空間に指を沈め、軽く曲げた。すると、彼女の太
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