「へぇ、ここが君の家なんだね」
二人でレジ袋を持ちつつ、とあるマンションのドアの前に立つ。
あの後、とんとん拍子で話が進み、流れでスーパーに寄って適当に食材を見繕い、黄昏色に染まった道を歩んで……そして今に至る。
ただ歩いて、買い物しただけ。それだけで、長年寄り添った関係のように心が温まり、自然と高揚してくるのを感じた。
そしてドアの前。
もう、この光景はいつぶりだろうか?ずっと、隣にいる彼女に……薫に、持ち帰られて、長い夜はひたすら愛されイジメられてたから……
そう、一ヶ月前。あのバレンタインの日に家を出て以来、ずっと帰ってない。
……ゴミはどうしたか?冷蔵庫の中は?
あの日はちょうど1か月前の……土曜。ゴミの日だから、捨てたはず……だけれども、薫のことで頭がいっぱいだったから記憶があやふやだ。
冷蔵庫の中は……
「ん?どうしたのかな?」
「いや、その……長い間家を空けていたから、ちょっと中の様子が不安でな」
そんな危惧から、カギを片手に躊躇するも、くすりと笑われ
「今さら、そんなことを気にする仲かい?」
首をかしげて、当然のように尋ねられた。
そして、鍵を持ってた手に手を添えられ、ケーキに入刀するように……かちゃんと差し込んだ。
そこから開いたドアの光景は……何も変わってなかった。
多少散らかっている廊下、その奥に見える7畳の自室のフローリングは、掃き出し窓から差し込む光によって、オレンジ色に照らされている。
物置と化したローテーブルに、ベッドの上でクシャクシャになった布団たち。デスクの上にある閉じたPCとモニタ。洗い忘れたマグカップ。どれも、変わっていなかった。
「うん、ちょっとだけ埃っぽいとこ以外は……特に問題ないかな?」
家主を置いてけぼりに、当然のように先に上がられる。冷蔵庫の中身を一目確認してはすぐに閉じ、冷蔵庫の上部についた埃をつつーっとなぞりつつ
「じゃ、まずは軽く掃除をしようか」
振り返って、そんな提案をされた。
そこから過ごした時間は、とても他愛ないものだった。
二人がかりで手分けして埃を落とし、要らない物やゴミは分別して袋に纏めて、掃除機をかけて……窓から夕闇が入り込む頃には、すっかり綺麗になっていた。
そしたら『時間も時間だし、晩ご飯でも一緒に作ろっか』と言われ、狭いキッチンで共同作業。
互いの身体が触れ合いつつも、手際よく調理を進め、時に軽いイタズラを仕掛けられたりもした。
特に……炒めた野菜に牛乳を注いでいた時の様子をジッと見つめていたら
「……もしかして、こっちの方が良かったかな?」
これ見よがしに、大きなソレを両手でたゆんと跳ねさせるように持ち上げてきて、からかわれたりもした。
軽くジョークと言わんばかりに平然と微笑んだ表情が、正常を狂わせる。
そうして出来上がったシチューをローテーブルの上に並べてよそい合う。
軽く会話をしつつも、何事もなく食べ終わり、洗い物を済まそうとシンクに食器を持っていく。
「あぁ、いいよ、ボクがやるから、先輩さんはゆっくりしてて」
なんて事を言われるが
「いや……いいよ、俺がやる」
そこは譲らずに洗い物をし始める。正直、客人にやらせる気にはなれなかった。
すると、気に食わないな、と言わんばかりに
「ダメじゃないか、ボクがやると言ってるのに……言う事聞かない先輩さんにはお仕置してあげよう……ふぅー……
#9825;」
後ろから抱きつかれ、服の上から股間を撫でるようにまさぐって、耳に吐息を吹き込まれ、甘噛みされて、唾液の音が弾けて
「ほら、洗うならさっさとして欲しいな……ボクが退屈で仕方ないじゃないか……
#9825;
#9825;」
腰をくいっくいっと誘うように押し付けられ、その手はお腹や胸元、乳首をイタズラするようにイジってきて……
#9825;手慰みに発情させられるペットのようにっ……
#9825;
#9825;
「や、めっ……変なことするな、ぁっ、ぁぁっ……
#9825;」
「変なことも何も、いつもしているだろう?他愛ないスキンシップさ……ほら、早く済ませてしまおうよ」
こちょこちょと、子供に構う時のように、指を立ててまさぐられ、甘い声が漏れ出てしまう。
逃げようにも、柔らかくもしっかりした太ももにブロックされて、逃げられない。むしろ、身を捩ると更に熱が伝わって……
#9825;
「……っ
#9825;ほ、ほら、もう終わったから離れて」
「うん、ありがとう、こんなに手を冷やしながら洗ってくれて……お礼に、ボクの手で温めてあげるね……
#9825;」
そんな興奮を膨らませられつつも、何とか洗い物を済ませると、その過激さから一転して、ふわふわのタオルで優しく包み込み、水気を丁寧に拭き取ってから、重ねるよう
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