色を混ぜすぎてドロリと濁った瞳。美術品のように整った顔は、逆光で陰り、能面のように無表情。
その声は、まるで死刑宣告。処刑を下す裁判官のように淡々と。
されども、その距離は誰よりも近く。抱き留める腕は情熱的で。
ひぅっと心臓が締まる。
相反した感覚。
その温度差に心が割れてしまいそうになって、体が硬直した、その隙に……端正な顔が徐々に近寄り
ぷちゅっ……
キスをされた。唇を重ね合わせるキス。
ぷるんと弾力のある唇が押し付けられ、アルコールで鈍っていた脳が更に痺れ始める。多幸で埋め尽くされるような、天にも昇る感覚。
彼女の身体という大きくて狭い匣の中に閉じ込められ、強制的に幸福が襲い掛かる。想像を超える心地良さ。それはもはや、価値観を塗り潰す洗脳に等しく。
ちゅ…じゅるっ……
痺れ緩んだ唇から舌が入り込む。とても肉厚で我が物顔で入り込み……こちらの舌をめざとく見つけ出すと、ナメクジのように絡み付く。
まずは頭をすりすりと擦り合わせて……
ちゅぅ……
#9825;
じゅるる……
#9825;
徐々にその体へと這うように。接着面が多くなるよう、捻れ、絡み、巻き付き、ねぶる。
まるでソレ自体が別の生き物のように、器用に形を変え、どこまでもねちっこく追い掛ける。
歯の奥にすら滑り込んできて、舌の根元すらも擦り合わせるように、口内の粘膜をひとつ残らず根こそぎ持っていくように、蹂躙される。
ぷちゅっ……
#9825;
#9825;
じゅるっ
#9825;
じゅるるるっ
#9825;
#9825;
唇同士に挟まれた唾液がぷちゅり、と音立て、中身を啜り出すように思い切り吸われる。
その唾液を寄越せと、下品にも音を立てながらバキューム。蛇が巣穴に籠った獲物を無理やり引っ張り出すように、舌で舌を巻き絞められぐぐぐと引きずり出されつつ、啜られる。食べられる。
ろくな呼吸も許されない。密着したディープキス。
握られた右手は、熱を帯びた彼女の左手にすりすりと絆され、堅く閉じていた指と指の間が緩んでしまい……滑り込まれる。
いわゆる、恋人繋ぎ、へと。知恵の輪のように絡みつく握りへと。移行させられる。
ちゅっ……
#9825;
ちゅぅっ……
#9825;
#9825;
一回、もう一回と舌を絡められる度に、揉むように手を握り直される度に、脳の奥がじんわりと温かくなって徐々に塗り潰される。
この一ヶ月が、これまでの人生が、おぞ気がするほど甘い瞬間に。
自我すら塗り潰されそうな感覚に生存本能が拒絶反応を起こす。ぶるるっと奥から沸き立つ生理的な震え。肉の匣から逃げ出そうと僅かに身動ぎしてしまい
「……」
ぎゅっ
ぐりっ……
逃げるな、と命令するかの如く、乱暴に太ももを股間に差し込まれ、ぐりぃ……と強引にすり潰すように持ち上げられる。
いわば、金的。
「っっ!!?、っっ〜〜っ
#9825;
#9825;」
唐突な行為から身を守ろうと、反射的に身体が竦むも……やってきたのは鈍くて暴力的な快感。あの耐え難い痛みを全て快感に置換してしまったかのような、抗えない快楽。
快楽処刑、なんて言葉が脳裏に浮かぶ。
パンツスーツ越しでも何度も実感してきたむっちり質感に、睾丸とペニスが埋め潰されて、震えが快感のモノへと塗り潰される。どうあがいても脳が白く弾け、表情筋が蕩けて、口端がだらしなく緩むような……もう、ひどい顔になっているのが自分でも分かって……
#9825;
それでも、彼女の表情は緩まない。
これからエサになる家畜を見つめるように淡々と、冷徹に。端正な顔を整えて。
その冷たさが、背中を焼き焦がす。脊髄すらも焦がして、ビリビリと痺れさせるほどに。
もう……空気がろくに入らず、代わりに湿った吐息を吹きこまれ、冷徹さに焼き焦がされて、そんな拷問に心が屈服したがって
ちゅぅっ……
#9825;
ぐぐぐぐっ……
#9825;
#9825;
引きずり出される。舌が、口の奥深くから。
閻魔が舌をちょん切る時のように、舌を上へ上へと引っ張り出されて……ぷにっとした唇で挟み込まれ
じゅぷっ
#9825;じゅぷっ
#9825;
しゃぶられる。アイスをはしたなく食べるように。甘味を意地汚くも長く味わおうとするように。
その度に、心のナニカが舐め溶かされるような感覚がして、耳の後ろがぞわぞわと痺れる。
そしてひとしきり舐めしゃぶられ、ずるる……と名残惜しそうに離れるかと思いきや……
「れろー……」
ちょんと残った舌を伝って、唾液を流し込まれる。粘度の高い唾液はまるで蜜のように甘く、彼女の薫りがたっぷり詰め込まれていて……全身が悦びで震える。
甘い味が舌を、頬を、染み渡る度に、支配が強く、更に強くなるような気がして
「……んえー……」
赤い瞳は鋭
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