―――――― ハクラト表通り
辺りは既に夕暮れ近くなり、ここ表通りも殆どの店が閉まり、人が数える程しか外に出ていない。
あ…しまった。宿取ってねぇや…。そもそも、今から探して見つかるもんなのか?
「びえぇえ゛ぇぇ!」
…うっせーな。
突然聞こえてきた泣き声の正体を見つけようと辺りを見回してみると、通りにある街灯の下に小さな影を見つけた。
「びえぇえ゛ぇぇ!」
…あれか。おーい嬢ちゃん、どうした?
「ふぇ…?」
小さな影と泣き声の主は、薄い水色をした髪を短くポニーテールにした褐色肌の少女。しかも壷の様な物を服の代わりに着けていた。
(壷…。あ、………あー…?何だっけ…。つぼ…つぼ…?しまった、姐さんに魔物の事詳しく訊いときゃよかった…。)
「おにいちゃん…だれ?」
ん?
見知らぬ男に声を掛けられて少し警戒してるのか、涙を浮かべながら少女がおずおずといった表情で俺を見上げてきた。
俺はラグナロク・リヴァイス、しがない旅人さ。
「たびびとさん…?」
ああ、その通り。
「…いぢめる?」
いぢめないいぢめない。ただ単に嬢ちゃんが泣いてたから、どうしたのかなと思ってな。
「くすん…あのね?」
うん?
「ママと…はぐれちゃったの。」
案の定迷子ですか。しかもこんな夕方に…。
(あー…あー…。エリー、この子の数時間前の過去を…。)
『…………。』
(…エリー?)
『…………。』
(居ないのか…?…ったく、肝心な時に役に立たねぇな…。)
「おにいちゃん…?」
ん?ああ、ごめんごめん。ちょっと考え事をしてたんだ。にしても困ったな…。嬢ちゃん、お家はこの街かい?
「うん…。」
そっか…。んじゃ、ちょっくらお母さん捜ししますか。…あ、そうそう。
「?」
嬢ちゃん、名前はなんて言うんだ?
「…チコ。」
よし、じゃあチコちゃん。どうやって此処まで来たのか、覚えてるかな?
「えっと…ママといっしょにごはんをかいに『サンドリース』にいったの。」
ふむ…成る程な。まずはその『サンドリース』ってとこに行くのが妥当だな。場所は…まあそこらの奴に訊きゃ分かンだろ。
「?」
さ、行こうか。
「どこに?」
何処って…チコちゃんのお家に。
「…ママがしらないひとについていっちゃだめって…いってた。」
ん〜…。あ、そうだ。
「?」
きょとんとしているチコちゃんを安心させる為に、背が同じになるようしゃがみ込む。
さっきさ、お兄ちゃんと名前教えあってお話ししただろ?
「うん。」
だからチコちゃんと俺はもう知らない人じゃなくて、お友達だ。
「…おともだち?…チコと?」
おう。
「ほんと?」
本当。…さ、『サンドリース』に行こっか。
ゆっくりと立ち上がり、チコちゃんに右手を差し出す。
「…うん!」
チコちゃんは満面の笑みを浮かべると、俺の右手を小さな両手で握った。
まずは聞き込みだな…。んー…。お、良い所に。おーい!!
「はい、何か?…って、ラグナロク様!?」
ん?
偶々通りがかった人を呼び止めると、それは昼間の少年、リーフだった。
おー!リーフじゃねぇか!!何してんだ、こんな所で?
「ちょっと家に荷物を取りに…って、ラグナロク様こそ何をしてらっしゃるんです?」
荷物?何だ、引っ越しでもすんのか?
「…はい、下宿していた場所から工房に。」
お、じゃあ…。
「はい、ラグナロク様のお陰で成功しました。」
…俺のお陰?おいおい、馬鹿言っちゃいけねぇよ。
「へ?」
俺はな、お前の決心をほんの少し後押ししただけだ。だから俺のお陰なんかじゃねぇ、全部お前の勇気の賜物さ。
「…ありがとうございます。」
ま、どうしても恩返しがしたいってなら、この子の母親を探すのを少し協力してくれ。
「構いませんよ。…初めまして。」
「は、はじめまして…。」
ありがとうよ。んで、『サンドリース』ってのは、何処にあるんだ?
「『サンドリース』なら、そこの角を曲がって暫く行った所にありますよ。」
そうか、ありがとな。
「そんな、お礼を言われるほどの事じゃありません。」
いや、助かった。…じゃあな、末永くお幸せに。
「…はい。」
さ、チコちゃん。行こうか。
「じゃあ、またね。」
「バイバーイ。」
俺達はリーフに別れを告げ、『サンドリース』へと足を急がせた。
―――――― 雑貨屋・サンドリース
…ここか、結構デカイな。ま、いいや。邪魔するぜ。
カラン♪
あまり装飾の無いドアを開くと、魔法の照明で明るく照らされ、商品であろう物が棚に綺麗に片付けられた店内が目に入った。
「いらっしゃ…あれ?見かけない顔だね。旅人さん?」
店内に入ると、左側にあったカウ
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