だめっこりゅーさん

「朝ですよ、起きてください」

『やー』モソモソ

「やーじゃないです、ほら、とっとと起きてください」

『うー……あとちょっと……』

「何分?」

『ごふん……あ、やっぱじゅっぷん……』

「十分後に起きれます?」

『……むり。あとごじゅっぷんくらい……』

「低血圧にもほどがあるだろ! 布団が片付かんからとっとと起きろ!」

『やー……このままがいーの……』

「はぁ、まったく。そんなにお布団が好きならお布団の子になっちゃいなさい」

『えへへぇ……じゃあおふとんのこになるの……おやすみなさい……ぐー』

「おい寝るな。目を覚ませ。お前は龍だ、それは分かるな?」

『やだぁ……わたしきょうからおふとんなの……おふとんからうまれたおふとんになるの……』

「そんな鱗びっしりのお布団がある訳ないだろ! いいからとっとと起きなさい!」

『おふとんがわたしをはなしてくれないからむりなのぉ……』

「いい加減にしないと布団剥ぎ取るぞ」

『いやん、えっち……でも、らんぼうなのもすきなのぉ……
#9825;』

「そうかそうか、乱暴なのが好きなのか」

『うん、らんぼうにしてほしいのぉ……
#9825;』

「よし、お前の気持ちはよーく伝わった――俺も覚悟を決めよう」スチャ

『えへへぇ……あさからだいたんなのぉ……
#9825;』

「右手にお玉を! 左手に鍋を! 眠れる龍に正義の鉄槌を! 秘技・死者の目覚めッ!!」ガンガンガン

『に゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛!!』

§

『あたまいたい……』

「さ、とっとと起きて顔洗ってきて下さいね。ご飯できてますから」

『むり……うごきたくない……』

「どんだけ朝に弱いんですか……ほら、洗面台まで抱っこしてあげますから、畳の上でだらんとしてないでしゃきっとしてください」

『おふとんといっしょじゃなきゃやだ……』

「どんだけ我侭なんですか、まったく。我侭言う子は尻尾ひきずりの刑にしますよ?」

『らんぼうなのはやだぁ……』

「……あのですね、少し前に自分が言ったこと覚えてます?」

『おふとんになる……そうだ、おふとんにもどらなきゃ……』モゾモゾ

「水責めの刑一名様ご案内ー」ズルズル

『ああぁぁぁぁ……おふとんぁぁぁぁ……』

「さあお布団さんにさよならしなさい、別れがあるからこそ人は成長できるんですよ」

『やだぁぁ……わたしおふとんだからそだたなくていいのぉ……』

「どんだけ引っ張るんだそれ! 無駄な抵抗をするんじゃない、とっとと――」

『はなさないのぉ……おふとんにうもれてたいのぉ……』

「布団を引っ張るなぁぁーー!!」

§

「はい、背筋伸ばしてしゃんとしてください」

『うー……いじわる……』

「ちゃんとやることやったらお布団戻っていいから、ね?」

『……ほんと?』

「ホント、ワタシウソツカナイ」

『ぼうよみ……うそくさい……』

ボソッ「何でそんなとこだけ鋭いんだよ畜生……」

『かみさまをばかにするなー……』

「だったら馬鹿にされないようなお姿を見せて下さい、そんな姿を見られたら幻滅されて信仰が無くなりますよ?」

『えらいんだぞー……すぴぃ……』

「立ったまま寝るんじゃあないっ! 随分器用になったなこいつ!」

『えへへぇ……もっと褒めてえ……』

「(褒めてねーよ)あーよしよし、いいこいーこ、えらいえらい」ナデナデ

『てへへぇ……
#9825;』

「さ、いい子なんだから顔くらい一人で洗えますよね?」

『……うん、がんばる……』パシャパシャ

「(正直な所、顔を洗わせるだけでここまで苦労するとは思ってなかったなぁ)」

『…………』パシャパシャ

「(黙っていれば確かに威厳はあるのにどうしてこうもアレなんだか……)ん?」

『……ぶくぶく』

「……あのー……もしもし? 龍さん? りゅーさん?」

『……たしけて』ポコポコ

「――何溺れてんだ馬鹿野郎! それでも水神か!」

§

『おはないたい……』

「自業自得ですから我慢してください」

『さいきんつめたくなったね……』

「これまでの所業を見てどうして優しくなれるのか問い詰めてみたい」

『おみずといっしょ……えへへ、うまいこといえたぁ……』パチパチ

「全然上手くないんで一人で手をぱちぱちさせないでください、発情中の魔物娘の方がまだ知性がありますよ?」

『……くすん、いじめる?』

「ちゃんとご飯を食べればいじめません、ほら、お箸持って」

『……うん』

「じゃあ頂きます」『いただきますぅ……』

ポリポリ「うん、漬物もいい漬かり具合だなぁ」

『あ、おみそしるにわかめはいってる……』

「今朝貰ったばかり
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