竜翼通り。
ドラゴニア皇国の顔ともいえるこの大通りでは、観光客や旅の商人、地元の竜族などが行き交っていた。食事時が近いせいか、幾つかの建物からは炊事の煙が立ち上っている。
肉が焼ける香ばしい匂いにつられたようで、ドラゴンは腕を組んだ伴侶を連れて店へと入っていった。店先では竜のカップルが提供された食事に顔をほころばせている。
その反対側の通りでは、ドラゴンの少女の集団が店先に並んでいた。店員のワイバーンが肉を焼き、リザードマンがそれを切り裂いてパン生地に収める。芸術とも呼べる一連の流れに、少女たちは黄色い歓声を上げるのだった。
通りの所々には赤いマントを羽織った騎士が騎竜と共に歩いている。彼らの表情は緩み切っており――自分たちに課された見回りという仕事がなければ――今すぐここでキスを交わしそうなほどに甘い空気を作っていた。
喧噪あれど、諍いはない。穏やかな時間がお昼のドラゴニアの日常である。
――そして、その日常が一組の夫婦により壊されることを、この時は誰も知らなかった。
「おい、離れろ。これじゃ歩けないだろ」
「やぁん
#9825;」
大通りの真ん中で一人のドラゴンゾンビが背後から男に抱き着いていた。だらしなく緩んだ体を摺り寄せながら、決して離すまいと両の腕で男の腕をしっかり押さえつけている。彼女が動く度に丸々とした胸がぐにぐにと形を変え、甘い香りをまき散らした。
「ったく、発情してるんならもう帰るぞ」
「やぁだ
#9825;ここでシたいの、我慢できないの
#9825;」
男は腕を振りほどこうともがくものの、ドラゴンゾンビの体が離れることはなかった。逆に男が抵抗したことで嗜虐心に火がついたのか、彼女は触れている肌の動きを激しくした。どうやら彼女は興奮しているようで、緑色の肌はほんのり朱に染まっていた。
周囲の人や竜はその光景を正面から、或いは横目で窺っている。しかし、彼らの中に夫婦のいちゃつきを止めようとする者はいなかった。彼らを見つめながらどこか羨ましそうに、伴侶や友人と小声で言葉を交わしている。
「ねえ、アタシもあんな風にしたいなぁ」
「仕事が終わるまで待ちなさい」
「じゃあ、終わったら激しくシてよ
#9825;」
「いいなあ、私も早くかっこいい人を見つけたいなあ」
「うーーっ、見せつけるのなら他所でやってよ!」
「ちょっとちょっと、落ち着いて。睨んじゃダメだって」
彼らの視線を受け、ドラゴンゾンビの動きはますます激しくなった。彼女は男の耳元に口を近づけると、ふぅと息を吐く。桃色の吐息を受けた男の体がびくりと震えたのを見ると、彼女はにんまりと口を歪めた。
「ねぇ、気持ちいいでしょ?」
男の返事を待つことなくドラゴンゾンビは彼の耳へと顔を近づける。そして大きく口を開けると
「は〜むっ
#9825;」
男の耳を咥えこんだ。
「あむ、んむ
#9825;……んっ、くちゅ、ちゅぱ……
#9825;」
「こら、やめなさい……くっ」
耳を舐め、吸い、甘く食む。耳を愛撫するドラゴンゾンビの口からは、悩まし気な吐息と粘液が滴る音が漏れていた。時折耳から口を離すと、桃色の吐息を吹きかけて男の反応を愉しむ。
「くすぐったいんだ、やめ――おい、こら! 当てんな!」
動いているのは口ばかりでない。ドラゴンゾンビは体を動かすと、己の胸を男の背に擦り付けるようにした。重さで垂れさがった胸がぐにぐにと形を変える。朱く色づいた乳房は、どことなく熟れた桃を思わせた。
「……ふっ、んっ、んふふ、えいっ
#9825;」
ドラゴンゾンビが胸での奉仕を繰り返すうちに、次第に彼女の肌に珠のような汗が浮かんできた。汗は肌を伝い、鱗を通ってポタポタと地面に落ちる。汗が通った場所は妖しげな光沢を放ち、地に落ちた汗は霧となって辺りを漂った。
「本当、いい加減にしないと怒るぞ!」
「え〜、まだ言うの? だったら、その気にさせてアゲル
#9825;」
ドラゴンゾンビは男を抱いている腕を動かし、男の衣服を裂く。そして男の肌に赤黒い爪を立てると、ゆっくりと爪の先端を差しこんだ。そして己の所有物であることを示すかのように、肌に痕をつけるように線を引いた。
「くっ……うあぁっ」
男が呻き声を上げる。肌に刻まれた赤い線は、まるで体の中に溶けるように消えてしまった。竜がつけている魔界銀製の爪は男から魔力と抵抗する心を奪い、代わりに快楽とそれを欲する感情を流し込む。
「れろ……あみゅ、ちゅぷ……じゅるるるるっ
#9825;」
「あ……くっ……はぁ、はぁ……うぁ、あ……」
初めは抵抗していた男だったが、耳を貪られる度に、吐息を吹きかけられる度に、体を嬲られる度にその抵抗も弱まっていく。やがて観念したのか、ド
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録