「−−はいっ、たぁ……♪」
空を仰ぐ、淫魔の甘い嬌声。
オレの大事なところにまたがって、彼女は幸せそうな表情を浮かべている。
まだ入れただけだというのに、天にも昇る心地を体現したようなだらしない顔だ。
「あへっ……は、へぇっ……♪」
――――いや、コレ……本当に意識が天に昇ってるんじゃない?
だらりと垂らされた舌から、ポタポタと涎が滴る。
翼も、尻尾も、力なく垂れ下がっている。
何より……虚ろな目をしたまま、動く気配がない。
「ね、ねぇ……キミ、大丈夫……?」
恐る恐る、声をかけてみる。
「はひぃっ……♪」
声にならない、うめき声のようなものが聞こえてくるだけだった。
これまでも、意識が飛びそうになるぐらいの快楽を味わった事は何度もあった。
いや、けど……本当に意識が飛ぶのを見るのは、初めてだなぁ。しかも、オレじゃなくて彼女が。
……一旦抜いた方がいいんだろうか、これ。
そんな風に、心配が思考の大半を占めた時だった。
「〜〜〜〜♪」
「っ!?ぐ、ぉあっ……!!」
彼女の膣内(なか)が、突然脈動を始めたのは。
淫魔の意識が戻ってきたわけではない、彼女は相変わらず呆けた表情で動く気配がない。
動いているのは……肉棒を包む、桜色の肉壁だけだ。
どうやら意識を失ってもなお、オレの精を搾り取らんと彼女の体は動いているようで……はっきり言って、かなりまずい。
いつものように締め付けられるだけでも、オレはいつも彼女のペースに翻弄されっぱなしだ。
今は違う。体を使った大きな動きがないので、動き自体は非常に小さい。
それこそ、振動と言った方がしっくり来るぐらいに細やかで……その分、絶え間ない刺激を与えてくるのだ。
それは、無数に生えた舌によって四方八方から舐められているかのように錯覚する程で。
じゅくじゅくとその膣壁が蠢く音が、小さな部屋の中で淫靡に響く。
結合部から、彼女の愛液とオレの先走りが混ざった物が垂れる。
下半身から伝わる強烈な快楽は、体を動かす事さえ許さなかった。
「えへへぇ……♪」
笑顔を浮かべる彼女はきっと、オレの肉棒の感触に浸っているのだろう。
意識を半分以上なくして、だらしなく涎を口の端から垂らして。それでも……オレと繋がっている事は、感じていてくれているのだろう。
――――嬉しいな。それだけ、オレと一つになる事を悦んでくれているなんて。
翻弄されてばかりの頭でも、そんな事だけは考える事ができた。
それにしても彼女の顔に注目しすぎたのだろうか、ぐんぐんとその顔が近づいているように見え……
「…………っ!?」
「んむっ……♪♪」
視界の全てが、彼女の顔で満たされて。
次の瞬間には、唇に柔らかいものが触れていた。
上半身だけを倒れ込ました彼女に、唇を奪われたのだ。
ぬるり、と生暖かいものが口内に侵入する。
粘ついた液体が、喉を通過する。
甘い、と感じた。見ていなくとも、流し込まれたそれが彼女の唾液だという事はわかったというのに。
オレの体ももう、淫魔と生きる為のものに作り変えられてしまっているのかな……
などとのんきな事を考えるのは……それだけ、限界が近くなっていたから。
「んむぅ……!!ふ、うぅっ……!!」
「……♪……♪♪」
口内を縦横無尽に暴れまわる、上の舌。
肉棒を押さえ込む、無数に生えた結合部の舌。
体の内側と外側から、水音が反響する。
体をがっしりと抑え込まれ、逃げ場のない快楽を上から下から。その舌から、与えられ続けて……五感の全てが、快楽によって支配される。
そのまま思考さえも、白く染まりかけた時だった。
「んむむううううううううううう…………!!」
もう駄目だ。それだけが、頭に浮かんだのは。
「んんっ……♪♪んんんっ……♪♪♪♪」
ドクドクと、溜まった物が吐き出される感覚。
強烈な責めをくらった体は、耐えきれずにその中に放出をしてしまっていた。
膣内はそれに合わせて余計に締まり、精を絞り尽くさんとぎゅうっとくわえ込む。
びくん、びくん、びくん……
「ふ、ぅっ……♪」
精の濃厚な味わいに、満足そうに彼女は目を細める。
ぷはっ、と唇を離す。銀の架け橋がぷつりと切れて、オレの唇に垂れる。
その様子を見届けた彼女は、幸せそうににやけて……くたり、と。その体を、俺にもたれかからせた。
仮にも人間(と同じ見た目)の体が倒れてきたというのに、驚く程俺に負担はかからなかった。その辺りは、流石に魔性の者といったところか。
「すぅ……すぅ……」
あれだけ激しい動きをしていたから、もう疲れてしまったのだろうか。とはいっても、その寝顔はとても安らかなものだ。
恋人となった今でも何度見ても飽きない、可愛らしい寝顔。
大好きな『キミ』の、新しい姿
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