触手の森。
魔力を与えられた土から産み出される触手植物が、何らかの原因で与えられた大量の魔力によって群生するようになった魔性の森のことである。
旧世代における触手とは、男は食らいつくして、女は犯して孕ませる凶悪なものであったが、魔王が代替わりしたこの時代においては、その習性も快楽を与えて魔力を啜る、比較的大人しいものへと変化している。
宗教国家レスカティエ教国は、優秀な勇者を多数輩出することでその名を諸国に知らしめていた一方で、周囲を森に囲まれた『閉じられた国家』として、他の国に対して排他的なことでも有名であった。
その国が魔界化してしまったことで、国から漏れ出る魔力を浴び続けた森は、全て触手の森と化してしまったのである。
エルダの部隊は、その森を平然と通過していた。
だがそれは、皮肉な事に部隊が追い詰められた一因である彼等の装備、魔硝石で出来た鎧が魔力を打ち消し、触手が彼等の存在を察知できなくなったおかげである。
だが、今のエルダは事情が違う。
鎧を脱ぎ捨て、レスカティエを走り続けた彼の体には、本人に自覚はないが今や多量の魔力が纏わりつき、彼の身体を少しずつ作り替えている。
触手の側からすれば、生身で魔力をたっぷり纏ってやってきた彼は、正にご馳走であった。
それ故にエルダは狙われ、こうして捕らわれてしまったのである。
「殺すなら…さっさと殺せ…!!」
触手の生態系に関して無知なエルダは、にじり寄って来る触手に殺そうという意志が無いことを知らず、憎々しげに吐き捨てる。
身に纏う物を全て剥ぎ取られ、手足を縛り付けられて地面に磔にされる屈辱極まりない格好になっても、まだエルダの中には騎士としての誇りが残っていた。
だからこそ彼は、敵の手に落ちて無様に生き延びるぐらいなら、誇り高い死を選ぶ。
「どうした、まさか怖じ気づいたのもがっ……!?」
しかし、触手はそんな事などお構いなしに、自身の本能のままエルダの口の中へと一本の身体を潜らせた。
(く、身体の中へ入る気ですか……!?)
口の中でなまめかしく動くその異物感に、エルダは咄嗟にその口を閉じて触手を噛んでしまう。
ぶしゅっ、と潰れたトマトのように触手の中から液体が弾けだした。
「んんっ!?ん、んぐっ……んっ……!!」
吐き出す間も与えられずに、触手が放出した液体はエルダの喉を通過する。
味のしない、独特の粘り気のある液体を無理矢理送り込まれてエルダは何度も吐きそうになるが、口内にぴったりとはりついた触手がそれを許さなかった。
放出が終わるまでの時間は、実際には1分と経っていないのにエルダには数時間の長さにも感じられるようだった。
「……ごほっ!!げほ、げほぉっ!!」
放出を終えた触手が満足そうにエルダの口の中から出ると同時に、エルダは強く咳き込む。
呼吸がある程度落ち着くと、口の中にまだ残っている液体を唾と一緒に勢いよく吐き捨てた。
(水責めの、つもりか……?でも、途中で止めたのは、どういう……)
酸素がろくに回ってない頭に浮かんだ疑問は、すぐに解消される。
「はぁっ、はぁっ……ぁ……うぁ……?」
ぐらり、とエルダの視界に映る景色が揺れて、全身から力が抜ける。
身体の感覚がどことなく鈍くなり、意識がはっきりとしなくなる。
だというのに、ある一点の変化だけは敏感に感じ取ることができた。
(……あつ、い……わた、しの、せいき……が……)
エルダの男としての象徴、衣服を全て剥がされて露出した男性器だけは唯一、存在を主張するかのように股の間でそそり立っていた。
触手が大量に撒き散らした媚薬は、対象が男性であろうと関係無しに効果を発揮していた。
エルダには、性行為に対する知識が全くないわけではない。
しかし、淫らな行為を汚れたものとする教団の教えを信じ切っていた彼に自慰の経験などあるわけもなく、ましてや自らが強制的に興奮させられたこともわからない。
自分の身に何が起きたか把握できていないエルダには、下半身へと伸びた触手の行動も理解できなかった。
その触手は、女を犯し孕ませる目的のものと異なった形状をしていた。
本来ならば尖るべき先端部分は窪み、その中に粘液でどろどろになった空洞を形成している。
その目的は、乳房に吸い付くことで、母乳に含まれる魔力も逃さず啜ろうとする為のもの。
それは、品定めするようにエルダの肉棒の前で動きを制止する。
――そして、立派にそそり立つそれを、一気にくわえ込んだ。
「……っ……!!ぁ……ぅぁ……!!」
エルダの口から、声にならない叫びが漏れた。
粘液を潤滑液として、触手は性器を柔らかく包み込む。
その感触は、さながら男性用の性具――親魔物領では、オナホールと呼ばれる物のよう。
ただでさえ媚薬の作用で敏感になっ
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