傷痕

 登場人物

 アイオン
 故あって妖精の国まで旅をし、辿り着いた戦士。
 盲目であったが、魔人となることで片目を得る。

 ニヴ
 旅の初めのころに出会い戦ったヘルハウンドの魔物娘。
 故あって旅の仲間となり、ともに妖精の国へと至る。



 第一 命燻る日々

 ……妖精の国、それは穏やかな森や平原、小川が広がる常春の国。
 森の木々は青々と美しく、平原には花々が広がり、小川はうっすらと輝き澄んだ水が流れ決して枯れることはない……妖精の女王が統べる、妖精たちの故郷……

 異界にあるというその地の森。暖かな木漏れ日と柔らかい風が吹き抜けるその場所で、妖精の国にはいささか不釣り合いなものたちがいた。
 そのものたちは互いに自然な姿、その身に何も見つけることなく、そして妖精たちの目を気にすることなく……見せつけるように……絡みついていた。

 「ほら! ほらっ! もっとアタイといこうよぉっ!」

 鍛え抜かれた、傷だらけの戦士の上に黒獣が火の粉を散らしながら跨り、尾を振りながら淫らに舞う。

 「くっ! ニヴ、待ってもくれっあっ もうっ!」

 貪るように舞い踊る獣の下に組み敷かれた戦士は獣の名を呼び、呻くように息を漏らしてその全身を震わせる。その震えが移ったかのように、ニヴと呼ばれた獣の体が震え呆けたように口を開けてその長い舌を垂らす。
 「あっ! ああっ! ……あっ……はぁぁ……」
 ぎゅっと、獣の“下の口”が戦士の“隠し剣”を噛むと、力を抜くように……そして少し物足りなさげに、しかして満足気に笑むと咥えこんだまま戦士の上にその身を預ける。大柄な黒獣が覆いかぶさる様子は捕食にも似ていたが、獣はぺろぺろと愛おし気に戦士の顔を舐める。



 「よかったよ、アイオン……やっぱヤる時は森の中が良いね……暖かくて、柔らかくて……いひっ、アタイのことだよ」
 愛おしく、獣は戦士の名を呼ぶ。
 妖精たちが見守る森の中、ニヴとアイオンは裸で抱き合うように……ニヴが覆いかぶさって……過ごしていた。アイオンの上でニヴは甘えるように顔を擦り付け、その尾を振る。ごわごわとしつつも柔らかく、少しばかりちくちくとする黒毛が心地よくアイオンの肌を撫でる。
 黒目に縁どられた赤金色の燃える瞳が満足気に揺らぎ、ぴくぴくと両耳を震わせる。そのまま、つぅっと爪でアイオンの引き締まった腹筋をなぞっていく。
 「あんたは、もちろん満足してくれたね」
 聞くまでもない、というようにニヴはぺろりと口づけ代わりに頬を舐める。ガーラとは違う、より荒々しい獣の薫りがニヴから漂う。黒い肌は熱く火照り、香油のように汗が滲み出ては互いの肌を溶かすように緩やかに広がっていた。
しなやかで強靭な手足をアイオンに絡ませ、秘部をこすりつけるように腰を押し付ける。むわりと湿気の強い熱気がニヴの炉から放たれており、そこが如何に淫らに燻ぶっているかを物語るようであった。そうでなくとも、ガーラほどではないが豊かな黒い双丘をうりうりと押し当て、隠すことのない情欲をその吐息から漏らしていた。

 「……なァー……もう、いいだろ?」
 身を起こし、跨った足を開くと己の炉の扉を指で開き燃え盛る中を見せつける。すでにそこには先ほど流し込んだばかりの溶鉱が、とろりとニヴの炉液と混ざり絡められている。そのままアイオンの返事も待たず、ニヴは炉心にさらなる火を入れるべくアイオンの炉掻き棒をそのまま無遠慮に己の炉へと突き入れる。
 「! ニヴ!」
 「っ あぁぁーっアァー……!」
 じゅっと、先が焼ける。ニヴの胎内は灼熱の渦のように、無遠慮な侵入者へと巻き付き締め上げる。ぎゅうっと、蜜と共に巻き上げ締め付けながら飲み込まれていく“熱さ”にアイオンはたまらず腰を浮かす。突き上げられ、ぶるんと黒く弾む肉体とその実り。ニヴは深く腹そこから息を吐き出すと、にったりと艶めかしく微笑む。
 「あゝ……アイオン……アイオーン……アタイ、幸せだよぉ……」
 陶酔するように、燃え盛る両目を潤ませながら、ニヴは歓喜にその身を震わせる。それに呼応するようにぎゅるぎゅると炉は渦巻き、肉襞は牙のように噛みつきながら奥へ奥へと呑み込むように収縮を繰り返す。ふるふると顫動する膣内は蜜に溢れ、先ほどから何度も吐き出している精と混ざりちゃぷちゃぷと卑猥な水音を響かせている。
 「うっ……ニヴ……俺もだ……」
 アイオンの言葉に、さらに強くニヴの胎が抱き着き、尾が立つ。
 「ああぅっ うぅぅ……本当? 本当にィ? うれしい! うれしいよぉ……っ!」
 空を仰ぎ、吼えるようにニヴは喜びを発露する。無上の喜びを表すように、その乳房の先はピンと突き立ち、その全身からは見えわかるほどの熱気が放たれ空気が揺らぐ。

 喜び

 それを表すさまは、歓喜のあまり
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6 7]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33