序章【オワリノハジマリ】

魔王転生 〜Of feminization servant of the past〜

 序章【オワリノハジマリ】

それは、今よりはるか昔。
 サキュバスから即位した現・魔王よりも、幾代か前、一千数百年以上も前、遥か昔の物語。
 すべての魔物が女性化することなく、人と魔物が殺し合っていた頃………
 とある大陸において、既に数十年間続く、人と魔の………主神教会率いる人間界VS魔界の戦争。
 当初戦局は、圧倒的な戦力と潤沢な神聖装備を供えた人類側有利に傾き、魔界の4割が制圧され、魔界が滅亡するのも時間の問題かと思われた。
 しかし、防戦一方に加え、あらゆる状況に対し、後手に回り続ける現魔王に業を煮やした魔族の一部が造反。
 『ゼオンクロト』と名乗る、若き魔族率いる反乱軍は、僅かな期間で魔界全土を制圧した。
 暴竜将軍を名乗る古の巨竜『シャムシェイド』が率いるドラゴンの軍勢は天空を制し。
 死軍元帥を名乗る死霊術師にして吸血鬼『シャルル・ド・ブラッド』が率いるアンデッドの軍勢が大地を制する。
 魔導参謀を名乗るバフォメット『シャーディ』が、配下の魔女達を用いて情報をかき集め、作戦を立案し、策を練る。
 魔軍総司令官と称されるエキドナ『シャクナ』が、彼らを手足のごとく指揮し、冷酷なまでに正確無比に作戦を遂行する。
 そして、常に最前線に立ち、自ら剣を手に戦い、圧倒的なまでの強さとカリスマで持って、後に“四天王”と称される彼らを率い戦う魔族『ゼオンクロト』。
 その姿は、魔界の奥深く、魔王城に引き籠って、常に後手に回り続ける現魔王から、魔界の民の支持を奪うのに十分すぎる程だった………
 
 そして、魔王の代替わりにより、その戦況は大きく覆されることになる。
 
 現魔王を下し、新たに即位した『魔王ゼオンクロト』。
 そして配下の“四天王”が率いる魔王軍は、一気に反転攻勢を仕掛け、戦局は逆転。
 瞬く間に制圧された魔界の土地を奪い返し、逆に人間界へと侵攻を開始する。
 魔王自ら最前線に立ち続ける魔王軍の士気は、衰えることを知らなかった…………
 魔王軍の反転攻勢開始より数年後には、人間界の大半を制圧することに成功する。
 一転して、滅亡するのは人間界かと思われたその時、再び戦局は覆されることとなる。
 たった一人の『勇者』の誕生によって……………

 
 数ヵ月後。
 魔界と人間界……その境界に位置する平野『ゼオングラード』
 その中心に、魔界の奥地より移築された魔王城がある。

「…………勝ち目は無いな、この戦」

 玉座に座する現魔王ゼオンクロトは、一人呟く。
 周囲に控えるは、四天王……現魔王軍最高幹部の四柱である。
 あどけない少年の面影を残した、死軍元帥シャルル。
 半人半分獣の体に羊の頭、それらをフードとマントで覆い隠し、巨大な処刑鎌を携えるは、魔導参謀シャーディ、
 鋭く釣り上った瞳に碧色の肌、そして腰から下の蛇体をくねらせる、魔軍総司令官シャクナ
 暴竜将軍シャムシェイドのみが、その巨大な竜身を玉座の間に収めることができず、バルコニーより首だけを覗かせる。
 四天王全員が、沈黙する。
 事実、既に戦局は5分5分まで押し戻され、占領した地域も奪還されて、領土は互いに元通り。
 しかし、人類軍のこの勢いは止まらないだろう。
 現在、魔王城の周辺を人類軍が包囲し、魔王軍が全力で応戦しているが……戦況は芳しくない。
 敵の戦い方を見るに、特攻も辞さない決死の覚悟で攻勢をかけている。
 此処で魔王を討ち、すべてを終わらせる……そう信じての底力だろう。
 しかし、本命は…………十中八九、魔王城に侵入した勇者を、魔王のもとへ送り届けるための、陽動。
 『勇者』が現れて以来、人類側はその戦術で此処まで押し返してきた。
 勇者が指揮官、隊長等の頭を遊撃で潰し、軍が崩れたところを一気に攻める……それが、現人類軍の基本戦術。

「おそらく、勇者は来る…………この俺の首を獲るために……それを、迎え撃つ……!」 
 
 確証は無い、侵入された形跡もない…………だが解る。
 カンとしか言いようがないが、確信している。
 勇者は、来る…………!

「完全勝利は捨てた……だが、負けるつもりなど、無い……俺を殺せば魔王軍は総崩れになると思ってるらしいが…………条件は同じだ……勇者が死ねば、人類軍の勢いは止まる……! 逆に言うなら勇者を倒す唯一のチャンスだ……!」
 
 いまだ、その眼には火が点る。
 勝てぬと理解してなお、戦意は一層燃え盛り、『負けない』結果を導くために進む決意を瞳に宿す。
 『聖剣』と『聖盾』という二つの力を備えた勇者は正に無敵、絶対に勝つことはできない…………しかし、負けないことはできる。
 最大の攻撃力と最強の防御力を持つ敵
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