最終楽句〜奏者と魔女と聖女の関係〜

演奏ももう終わってしまう、そんな時に、遠くで作戦終了の合図が次々と上がっているらしく、周りがなにやら騒がしくなってきた。
しかし、演奏に夢中になっている僕はそれがなんなのか気にせずに、ひたすら自分の演奏をつづけ、そして……最後の音も、余韻だけを残して僕の指から離れていく。
演奏が、終わってしまった。
曲の終わりに達成感を感じつつも、もう終わってしまったという寂しさも感じる中で、僕は席を立ち、久しぶりだというのに未だに抜けない感覚のために一礼を行う。
……こんな忙しい時に拍手もなにもあったものではないのにね……と自嘲気味に思っていると、不意に前から拍手の音が聞こえる。
拍手の主をみると、それはメリカさんであった。
どうやら、作業を中断して拍手をしてくれたらしい。申し訳ない限りだ……
メリカさんの続いて、他の魔女さんたちも作業を中断して拍手をしてくれる。

「まったく、拍手なんていいですよ。みなさん忙しいでしょう?」
「そうでもないさ。いましがた海と一部を除いた各部隊から作戦終了の合図が上がった。地上のほとんどの敵兵は拘束されておるから、あとはもう残党狩りと一緒じゃよ。わしらの作業はもう終わったも同然じゃ」

言われて、よかった、役に立てたみたいだ。と安心しつつ、ふと気になったところを聞く。

「そういえば、アミリちゃんのところはどうしました?」
「……残念ながら、まだ終わってない。……いや、敵部隊自体はすでに拘束を終えているとの報告を得たのじゃが、同時に変なものが現れてアミリがそちらに向かったという報告も聞いての……」
「エル、ですね」
「そうとしか考えられんの。未だにメシュエル殿を拘束したという報告もないし、アミリのやつもやはり女じゃと言うべきか、勘が鋭いからの……とりあえず、わしはこれからそちらに向かい、地上の残存勢力の掃討とアミリの様子を見にいく。ハーラデス殿は……」
「僕も行きます」
「いやしかし敵はほとんどいないとはいえここは戦場。ハーラデス殿を連れていくのは危険だと思うのじゃが……」
「その危険からこの人を守るのが、私の仕事でしょ?」
「む、むぅ……」

僕の同行に、メリカさんは若干気が進まないようだったが、護衛役のクーさんの一言で反論材料が見つからなくなったようだ。
結果、メリカさんはしぶしぶ僕の同行を許可してくれたのだった。


××××××××××××××××××××××××××××××


戦闘開始をエルおねぇちゃんが告げてから、アミィたちは一歩も動かず互いに睨み合ってました。
でも、その状態はすぐに持たなくなりますです。

「いきますですよ、“ファイア”っ!」
「甘い甘い!そんなんじゃ当たらないよっと!」

先手はアミィが取りました。
まずは準備です!
アミィの放った火の玉を、エルおねぇちゃんは前に跳んで避け、アミィとの距離を詰めてきます。
そしてそのまま、構えられていた鎌が横薙ぎに振られたから、アミィは後ろに向かってジャンプして、さらに魔術を飛ばします!

「“ブリザド”!“ファイア”!もくもくコンボなのですよ!」
「せぃっ!ってあ!?」

アミィの攻撃を弾こうと思ったのか、おねぇちゃんは振り切った鎌をもう一回振り戻して氷の玉に当てます。
その時なのです。エルおねぇちゃんが鎌に当てて氷の玉が止まったおかげで、後に放った火の玉が氷に当たって、白い霧がいっぱい出てきたのです!

「一気に攻めるですよー!!“ジオ”!“アギ”!“マハジオ”!ビリビリコンボ!」

魔術を空中で飛ばした影響で都合よく霧の外に着地したアミィは、そのまま霧の中に連続して魔術を放ちます。すると、放った魔術が融合して、雷が絨毯みたいに広がる魔術に変化しました!
これこそ、アミィがメリカお姉ちゃんたちから教わった魔術の一つ、コンボマジックなのです!複数の魔術を組み合わせて大きな効果を出すのです!……その代わり、とっても頭を使うのですよぉ……
ビリビリコンボが霧の中を襲った後、しばらくはなんの音もしません。アミィは、警戒して杖をしっかり握ります。こんなので、エルおねぇちゃんが倒れないのはわかりきってるのです。
ヒュゥッと風が吹いて、溜まっていた霧が流されます。同時に、おねぇちゃんらしい影が見えたので、アミィは杖をその影に向けまた魔術を放……

「……やらせないわよ。“ムドオン”」
「っ!!」

魔術を放とうと準備をしたところで、エルおねぇちゃんの攻撃が来ました。
おねぇちゃんが魔術を発動した瞬間、アミィの足元に真っ黒な魔術陣が展開されたです。
思い出したのは、ハーモニアでおねぇちゃんがアミィを気絶させた時の魔術。……ついにきましたですか!
攻撃開始直前だったので焦りながらも、アミィは対抗するためにすぐに攻撃魔術を止めて、メリカお姉ちゃんたちから
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6..10]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33