第十二楽句〜つかの間の休息〜

「……ふむ、まぁ構わないが、お主は大丈夫なのか?」
「とりあえずは大丈夫です。スートの方が護衛についてくださいますしね。それよりも、本当にいいんですか?」
「ああ、いいとも。お主のことを考えれば少し心配ではあるが、きっと大丈夫だと信じているからの」
「……ありがとうございます」
「ハーおにぃちゃ〜ん!準備できたよっ!」

エルのメッセージが届いてから3日が過ぎた。情報では、明後日に教団がくるらしいので、みんな……無論、僕も、それぞれその日に向けて頑張っていた。
しかし、ずっと気を張るわけにもいくまい、とメリカさんが、前日に追い込みを控えさせて、僕らに休みを取ってリフレッシュするように言われた。ということで、僕はこれからアミリちゃんとお出かけだ。
メリカさんとこのあとのことなどを話し合っている間にアミリちゃんが準備を済ませて僕の元に戻ってきた。

「お、アミリちゃん、今日はおめかしかな?」
「はいなのです!ちょっと気合をいれてきたのですよ!」
「ちょっとしたお出かけなのに、気合入れすぎだよ……」
「ハーおにぃちゃん、アミリ、似合ってますか!?」

そう言ってクルッと回って自分の服装を見せるアミリちゃん。
今着ているのは、いつもの魔女の服ではなく、白いワンピースに麦わら帽子という、普通の女の子、と言った感じのものだった。
いつも同じような服だったから、なんというか、新鮮である。
なんというか、年相応というか、アミリちゃんらしい服装であったので、うん、似合ってるんじゃないかな?と僕は答えた。

「えへへ……よかったのですよ!」
「……じゃあ、アミリちゃんが来たことですし、メリカさん、先ほどの話、よろしくお願いします」
「うむ、任された。では、いってらっしゃい、なのじゃ」
「はい。じゃあアミリちゃん、行こっか?」
「はいなのです!」

とりあえず、相談した件はメリカさんに任せて、僕はアミリちゃんとお出かけにいくのだった。

「さて、と……まずはまたミルフィーさんのところだったよね?」
「はいなのです!メリカおねぇちゃんがアミィ用に杖を新調してくれるから、アミィはそのための魔石選びをするの!」
「そっか。アミリちゃんに合った魔石、見つかるといいね?」
「はいなのです!」

アミリちゃんがエルを倒すために頑張っている、と聞いた時、僕は少なからず驚いた。
理由は……まぁ、わからなくもない。約束、したからね……
時々その修行風景を見てるけど……なんというか、メリカさん、案外スパルタだなぁ、なんて感じたものだ。
最初に話を聞いた時はたった5日で……なんて思ったけど、エルが手加減してくれるのであれば……もしかしたら、簡単に勝てるかもしれない。いや、エルが本気を出しても、きっといい勝負になるだろう。
でも、無理はしないで欲しいよな……
そう思わなくもなかったけど、言ってもきっとアミリちゃんたちは、自分たちがしたいんだから僕が気にする必要はない、それに無理もしてないと言うだろうし、実際メリカさんに言ったらそう返されたので、黙っておくことにしている。
そんなこんなで、ミルフィー魔石店に到着。

「いらっしゃい……っと、アミリちゃんにハーラデスさん、こんにちは。アミリちゃん、なんか珍しい格好してるわね?今度こそデートかしら?」
「そうなのです!」
「違いますよ、ただの買い物です」
「えっ?」
「えっ?」

ミルフィーさんの質問に対する答えが違ったため、僕とアミリちゃんは顔を見合わせてから首を傾げた。
そんな僕たちの様子を見ながら、はいはい、わかったわかった、とミルフィーさんは苦笑する。

「まぁとりあえず、好きに魔石を選んでちょうだいな」
「は〜いなのです!」

ミルフィーさんが言ったところで、アミリちゃんはすぐにトテトテと店の中を見回りに行ってしまった。
とりあえず、僕は魔石についての知識はほぼ皆無に等しいので、ミルフィーさんと話をすることにした。

「……あ、そういえば疑問なんですけど、魔晶石と魔石って、なにか違うんですか?」
「ええ、純度が違うわね。魔晶石の方が純度が高いわ。でも、魔具に使われるのはほとんど魔石ね」
「え?どうしてですか?純度の高い方がいいものができますよね?」
「純度が高過ぎるから加工しにくいし一点特化型の魔具に偏るから、あまり好まれないのよ。だから、魔石は道具に加工、魔晶石が魔術や魔具の燃料、というのが一般的ね。まぁ、俗にいう天才ってのは、魔晶石で汎用性の高い物を作っちゃうらしいけどね……」
「そうなんですか……」

はいどうぞ、とレジカウンター近くに椅子を置いてもらったため、お礼を言いながら僕は座らせてもらうことにした。

「そうそう、メリカから話、聞いたわよ。大変ねぇ、教団に狙われるなんて」
「いえ、実際に襲撃された場所やこ
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