「……ほいっと。これで完了だ。ったく、よくこんなになるまでもってたよな。もう魔力がすっからかんだよ……」
外に出てから、私は騎士の男の方に治癒魔術をかけてもらい、傷を治療してもらった。
その場には、寝ている智也と私の治療を行っている騎士の男、無表情の鉱夫みたいな男、中性的な男という先ほどの四人と、どう見てもサキュバスな女性と、寝てはいるが、可愛らしい、しかしどことなくなにかに似ている少女の二人がいる。
「すまない。まぁ、私はこれでもドラゴンだからな。生命力は高いんだ……流石に今回はかなり危険なところまで追い込まれたが……」
「それは仕方が無いですよ。あれは対魔物武装……魔力に干渉し、ほぼ無効化する教会の秘密兵器ですからね。最近は仮量産が始まって一部の騎士団に支給されてるみたいで、おそらくそれがあなたに回ったのでしょう」
「なるほどな。たしかに、我々の鱗などは魔力によって強化されている……とも言えなくもないな。だからあんなに攻撃が通らなかったり、逆に攻撃を防げなかったりしたのか。…………さて、そろそろ私の問いに答えてもらってもいいか?」
彼の考察にある程度納得してから、私はまだ自己紹介をされてないので、それを求めた。
「ああ、そうですね。そしたらまずは僕から。僕は鶴城 竜司(つるぎ・りゅうじ)。君と同じ智也の友人……であり、僕と智也たち三人を初期メンバーとするパーティー、“スート”の代表をさせてもらっています」
「……次は俺だな。小華月 治樹(さかずき・はるき)。スートのメンバーの一人で同じく智也の友人だ」
「そしたら次は……」
今度は騎士が自己紹介しようとして……後ろにいたサキュバスに割り込まれてしまった。
「私はレーナ・ミリオン。一応スートのメンバーで、この人……リオの恋人よ♪そしてそこで寝ている女の子はクー・リードロン。彼女は……まぁ、蓮杖君の助手みたいなものかな?」
「そして最後に……まぁ、説明の必要はないね。蓮杖 智也。一応言っておくと、スートのメンバーだね」
「おいちょっと待て。俺はどうした!?俺の紹介は!?」
「「ああ、いたんだ(のか)」」
「……おぃ、泣くぞ?本気で泣くぞ……?」
サキュバスのレーナが自分と寝ている少女の紹介をし、鶴城という中性的な男が最後にと智也を念のために紹介して、それで終えようとしたので、騎士の男……たしか、レーナにはリオ、と呼ばれていたか?は、終わらせるなと異議を唱え、そしてわざとらしくない、とても自然な流れで鶴城と小華月に居たんだと言われ、すごく落ち込んだ。
「泣かないでよ気持ち悪い」
「……あ、いじめられて泣いてるのに、気持ち悪いですませちゃうんだ……」
「……なんだか、若干彼が可哀想に思えてくるんだが……」
「気にするな。いつものことだ」
「まぁ、冗談はともかく、ほらリオ、自己紹介」
「あ、ああ。そうだったな。俺は富御 圭一(ふみ・けいいち)。スートのメンバーで、まぁ、一応レーナの恋人で、智也とは……言わなくてもいいと思うが友達だ」
「そうか、よろしくな」
と、手を差し伸べてきたのでとりあえず握手をして、ふと疑問に思うことがあった。
「そういえば、富御はそこの二人にリオと呼ばれているのはなぜだ?名にはリオの二文字は入ってないはずだが……?」
「あー、まぁリオは本当は富御圭一なんて名前じゃないからね」
「なに?」
ちょっとした疑問から衝撃発言がでてきた。
「……つまりは、偽名を使っているというわけか?」
「まぁ、そういうことだな」
「おいお前ら、余計なこというなよ……」
自分が偽名を使っていることをバラされたからか、富御……いや、それは偽名だったか?は、焦ったように二人を非難して、それからバツわるそうな顔をして、説明をする。
「一応言っておくと、事情があって偽名を名乗ってるんだからな。俺の真名は知られるのは構わないけど、調べられるとあとで厄介なことになるんだ。だから、わざわざ隠して偽名を名乗ってる。わかったか?」
「……なるほどな。まぁ、事情があるなら仕方が無いな」
親からもらった名をなんだと思っている、と思ったが、それが問題の種になるというならば仕方が無いだろう。
私だって堂々と街中を歩きたかったが、ドラゴンが街に出るとなるといろいろと問題であるから、人化の魔術を使っているしな。
さて、そしたら先ほども言ったが、改めて自己紹介をしようか。と、とりあえず私も自己紹介をする。
「私はナギ・ラミエル。ドラゴンで、智也の古い友人、と言ったところだ」
「ドラゴンかぁ……まぁ、一応見た目でわかったけど、なるほどなぁ……ん?というと、あの洞窟にはお宝なんかがあるのか?」
「というか、教会騎士団の狙いはそこだったんでしょね」
「いや、残念ながらそういうのは全て母のもの
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