この街、ラインは、周りは草原に囲まれており、大きな障害物がなく、大量の兵が現れたらすぐにわかる。
……のだけれども、やっぱりその分足止めなんかがしにくいから、私観点からすると結構攻めやすいのよねぇ……
それでもやっぱり戦争で一度も負けたことがないのは、この街の領主の実力が素晴らしいからだろう。
……まぁ、いつもはただのイチャラブバカップルにしか見えないんだけど。
それはともかく、私とジンは街からちょっと離れた草原で向かい合っていた。
「さて、場所は用意したから、あとは勝負の決め事しないとね。と言っても、簡単にだけど」
「ああ、いいぜ。なにを決める?」
「まずはルール……はなんでもあり。魔術もスキルも反則も、なんでも使っていいわ。これは交流試合でよく使うルールだから、文句は言わせないわよ」
「……後悔するなよ?俺はあれから死ぬ気で頑張ってんだ。なめてかかると痛い目合うぜ」
「そっちこそ私をなめないで頂戴。私だってずっと鍛錬してるし、なによりあの頃のままでもあなたを負かすのなんて簡単よ」
ルールの決定で既に火花を散らしあってる私達は、なおも話を続ける。
「あとは……勝敗条件ね」
「勝敗条件?そんなのどっちかが倒れるまででいいんじゃねーか?」
「ダメよ。それだと時間がかかる。……そうね、お互いに敗北条件を出しましょう」
「……そうだな。そしたら俺の敗北条件は……致命傷となりうる一撃を出すこと、にする。まぁ、簡単に言や俺が降参する様な一撃を放つってことだな」
「なら私は……私の実力の四割を出させること、にするわ」
「…………なめてるのか?」
私に言葉を訊いて、ジンはいきなり殺気を私に向かって放ってきた。
どうやら、怒ったらしい。
反射的に私は殺気を放って、ジンの殺気を押し返す。
「四割、だと?……俺はあんたよりも強いと思っちゃいない。だが、四割……なめてるとしか思えねぇ。ふざけるな」
「……はぁ、なにを言い出すと思えば……」
私はジンの言葉に嘆息し、放っていた殺気を霧散させてなくし、そしてまっすぐとジンを見て、言う。
「“自惚れんじゃないわよ”」
「っ!!」
「……ああ、よかった。流石にコレの意味がわからないほど愚かになったわけじゃないのね。意味がわからなかったら恥ずかしくてもうあなたを人前に出せなくなるところだったわ」
「…………まぁ、俺は別にあんたと一緒にいれるなら人前にでなくていいんだけどな」
「嫌よ。教え子は飽くまで教え子だもの」
「ちぇっ、フられちまったな」
「そんなことより、敗北条件はこれでいいわね?」
「……わかったよ。それでいく」
若干面倒なやりとりがあったけど、とりあえず勝負の準備が整った。
私とジンは、戦闘体勢にはいる。
互いに一撃と防御、両方を出しやすい形を取りながら、距離を保つようにして移動する。
「……まぁ、先攻はあなたに譲るわ。いつでも来なさい」
「……あんたはいつもそうだよな。まぁいいや。じゃあ……行くぜっ!!」
そう言って、ジンは私に真っ向から突進して、そして、視界から消える。
まぁ、真正面から突っ込んでくるのは愚の骨頂よね。と冷静にそう思いながら私はジンが奇襲を仕掛けてくる方向に裏拳を放つ。
その方向は……
「右斜め後ろ!!」
「っ!!」
適格に攻撃する場所を察知され、ジンは放った拳を弾かれ、さらに上回られた威力のせいで後方に大きく飛んだ。
……まぁ、こんなもんかな?
「うん、奇襲は70点。相手の真正面から攻めようと見せてから縮地で回り込む作戦は上手いわね。攻撃の位置も死角かつ回り込んで消費する時間を最小限に抑えた斜め後ろっていうのもポイントね」
「……ったく、余裕だね、人の採点してるなんて……」
「事実、余裕だからね。まだ一割だし」
「……ありゃ一割って威力じゃない気がするんだが?」
「まぁ、力はこれ以上入れないから安心して頂戴」
「それは、これ以上実力は出さないってことか?」
「違うわよ。そこまで馬鹿になってないと思ってるんだから、訊かないで頂戴」
「まぁ、だいたいあん時と同じだろうから、分かってるけど……よっ!!」
そう言いながら、ジンはまた私との間合いを急速に詰める。
スキルと同じ氣を使った移動法、縮地。
それを使ってジンは私の後ろに回り込んで奇襲を仕掛けてきた。
今度もそれを使って間合いを詰め、そして自分だけが攻撃できる距離を保ちながら一方的に攻撃してくる。
うーん、体格の差をついてきたかぁ。さすがの優秀だなぁ。
私の体は普通の大人の人間よりも背が低く、またそれに比例して腕、足も短いため、リーチが短い。
ジンはそこをついて一方的に攻撃してきているのだ。
うーん、これは、まぁ仕方が無いか。
攻撃を防いだり受け流したりしながらそう思い、私は次の攻撃を防御する代わりに回
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