……………………ん…………?
不意に嫌な感覚がして、僕は目を覚ます。
ここは………………たしか……
と、そこまで考えたのだが、僕は、一旦それを保留しなければならなくなった。
何故なら…………
「……………………で、なんで二人がここにいるのかな? それもこそこそと隠れるように…………」
目の前に、アーシェとラナさんがこそこそと動いていたからだ。
二人は、僕が起きていることに気がつくと、気不味そうな苦笑いをした。
「え……いや、な? これは、お主を起こそうと思っての?」
「そうそう。そうよ。決して襲いに来たわけじゃあ…………」
「……………………はぁ…………」
そんな二人の様子に、僕は溜息つく。
大体ここに滞在し始めて一週間。毎日こうなんだから、そりゃ溜息をつきたくもなる…………
最初のうちは、ベットに侵入されたりしたんだけど、流石にこんなに連続で来られると慣れてくる。
ところで…………
「ここ、どこだっけ…………?」
「お主はまたか!?」
いつものように忘れていた。
いや、流石に一週間ここにいれば自分の部屋くらいは分かるが、残念ながらここは僕に割り振られた部屋ではない。
僕の部屋はこう……もっと飾りっ気がない。
しかし、ここは僕の部屋と違って、こう……女性らしい……と言えばいいんだろうか……?
ちなみに、僕とアーシェは別々の部屋を割り当てられている。
そして、この洞窟の構造なんだけど……それぞれの部屋の前に、別の空洞が広がっている、という風になっている。
どうやら、居住スペースで戦闘を行わないよう配慮してこうなっているらしい。
そして、前にアーシェとラナさんが暴れていたのはその空きスペースだったらしい。
どんだけ凄いんだろうな、ここ…………
まぁ、それはともかく、今僕は他の人の居住スペースを借りている、ということになる。
でも、誰に借りたんだろう…………?
「ここは二ティカの部屋よ。たしか、流石に毎日襲われるのは嫌なんで、今日だけ部屋を変えて欲しいって頼まれたって言っていたわね。本当に忘れたの?」
二ティカさん…………………………………………ああ、思い出した。
「そうだった。昨日の夜に二ティカさんに頼んだんだった」
「………………本当に忘れてたのね…………何回か見たっていうのに、まだ信じられないわ……こんなにも物忘れが激しいなんて…………」
「たしかにの。これではまるで…………誰かに………………?」
何かを言おうとして、アーシェは止まった。
どうやら、何かに気付き、考えているようである。
そして、少し考えた後、ポツリと呟いた。
「…………そういえば、鶴城達に出会って話している時に、蓮杖のやつが何か言っておったのぅ…………たしか…………」
「…………“魔法っていうのは、とても理不尽だ。でも、理不尽だからこそ平等だ。相手に理不尽な力を放ち、そして自分には………………”」
…………僕は、アーシェの言おうとした智也の台詞を紡ぐ。
ただし、途中まで。
ここから先は、あまり心配されたくないので、自分からは言わない。
アーシェが思い出さなければ、知らないままで終わる。
しかし、それを聞いたアーシェは、内容を完全に思い出したようで、僕が言わなかった台詞の続きを、僕の代わりに言った。
「………………“そして自分には、代償を払わせるのだから”……」
それは、智也が魔法について説明する時に、必ず言う台詞。
僕も、彼から話しを聞いた時、一番最初に聞かされた。
「……思い出したぞ。そうじゃ。魔法には、みな代償がある。…………ルシア、何故隠していた?」
「いや、隠してたわけじゃないんだけどね…………ただ、言いにくかったんだ……心配かけたくなくて…………」
アーシェが少し怒ったように訊いてくるので、僕は苦笑しながらも誤魔化さずに答えた。
「………………んで、その代償っていうのはいったいなんなの? …………と言っても、大体予想はつくけど……」
「ははは……予想ついてるならいいじゃないですか……」
まさに確認、といった感じでラナさんは訊いてきている。
たぶん、二人とも、代償がなんなのか、分かっている。
でも、本人の口から直接聞かないと信じることができない。
いや、信じたくないって言うのが正確かな?
だって、二人とも僕にレテを使わせていたんだから…………
…………二人の目を見る限り、誤魔化しは効きそうにない…………
…………仕方がない。話そう…………
意を決し、僕は答えた。
「…………僕の魔法、“レテ”、その代償は簡単です。“僕が不定期にランダムでレテの効果を受ける”というものなんですから」
「「…………………………………………」」
僕の答えを聞いて、二人は黙ってしまった。
……おそらく、負い目を感じているんだろう。
「何
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