朝起きる。
また叔父にいびられる
___どうでもいい___
朝食を食べる。
そういえば、今日から高校生になるのか
___どうでもいい___
一時間かけて学校に登校する。
___どうでもいい___
入学式、大人しく終了を待つ。
___どうでもいい___
クラスの自己紹介。
___どうでもいい___
友人ができる。
___どうでもいい___
学校が終わる。
___どうでもいい___
また一時間かけて家に帰る。
___どうでも…………
「お〜い、そこの君〜!」
……いい___
××××××××××××××××××××××××××××××
「うえっ、おぇっ!」
「だから言ったじゃないですか。読まない方がいいと」
壁に本棚がギッシリと詰まった、円形の無機質な部屋の一角で、私は吐きそうになって口を手で抑え、開いていた本を落としてしまった。
そんな私の様子を見て、隣に立っている男が、無表情なままため息をつく。
「なぜあなたはそんなにもそれを知りたがるのですか」
「そんなもの、決まってるわよ。私はなにも知らないまま終わらせたくないだけ」
「……そうですか」
私の答えを聞いて、また男は表情を変えずにため息をつく。
「……まったく、“彼”が気づいてないからいいとはいえ、無茶をする方ですね……っと、そろそろ“時間”です」
「そう。邪魔したわね」
「全くです。……が、別に構いませんよ」
そろそろここにい続けることが危険になってきたことを男が教えてくれたため、私は出口へと向かう。
そんな私を見ながら、男は私がここにきてから始めて表情を変えて、ポツリとつぶやいた。
「……“彼”と“あいつ”以外のここの住人は皆、あなたがくることを歓迎しているのですから」
××××××××××××××××××××××××××××××
「……なるほど、とするとあなたも僕と同じ考えですか」
「そうですね、愛した者の死というのは、あまりにも深い傷になり得ますからね……っと、そろそろ時間のようですね」
「そうですか。そしたらお会計は……340円ですね」
「はい、これでお願いします」
「340円ちょうど、お預かりします。ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
年も明けて、現在は1月8日。
店のお客さんの出入り、年末年始から元に戻り始めてきた。
とはいっても、やはり午前の人の入りは少ない。
特に仕事のない僕は、珍しいお客さんと魔物に関する考察を交換していた。
が、そのお客さんももう戻る時間になったようで、コーヒーなどの代金を払って店を出てしまった。
にしても、あの人は面白かったな……
たしか、故郷は僕と同じ日本だったな……
よくここにこれたものだ。
……いや、本来ここはそういうところだったな……
……帰れるのか……
羨ましい限りだよ……
と、そんなことを考えていると、新しいお客さんがやってきた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「えと……二人、です……」
「テーブル席とカウンター席がございますが、どちらにいたしますか?」
「テーブルでお願いします……」
今回のお客さんは二人。
一人はぼぉーっとしたような感じの、髪、コート、インナーシャツ、カーゴパンツ、ブーツ、ほとんどが黒色の青年。
もう一人は、……ほほぅ、珍しい。
こちらもまた、片方と同じように、ほとんどが黒色の少女であった。
黒色のワンピースを来ており、顔立ちは可愛らしい……のだが、はたから見れば地味だと思われるタイプだ。
肩にカバンをかけており、頭には教会のシスターがつけるような……なんていったっけ……そうそう、たしか、ウィンプルってやつ……だったはずだ。
二人を観察しながらも、僕はテーブル席へと案内する。
そして、仕事もないため、離れた場所から観察していると……
「…………」
「……ん?ナナイ、どうしたの?」
「いや、さっきからあの男がこっちを見ているのが気になって……」
あ、バレた。
何かに気がついたように男性の方が僕を見てきて、その様子に気がついた女性の方が気になって男性に訊き、彼女もこちらを見てきた。
おかしいなぁ……気にならないように視線をおくってたはずなんだけどなぁ……
まぁ、気づかれたのは仕方がない。
とりあえず僕は、二人のもとに行って注文を聞くことにした。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「え、あ、えと……」
「それよりあんた、ずっと僕達のことを見てたよな……?」
突然……かどうかは置いといて、話しかけられた女性の方は、びくっとなって口をモゴモゴさせる。
そんな彼女に注文を聞こうとすると、男性の方が、僕のことを睨みながら手に持っている刀をカチャッと鳴らして威嚇してきたため、僕は驚いて二歩ほど後ずさった。
「え、えと、まぁそうなんですが…
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